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第2回東大本番レベル模試 文系数学所感

総評:やや易

全体的に方針の立ちやすい問題が多く、解ける問題をミスせず確実に獲れるかどうかが明暗を分けるテストでした。東大文系数学が近年難化傾向にあることを加味すればやや得点の取りやすいセットだったのではないでしょうか。

第1問:やや易

基本的な二次関数とその積分の問題です。今回の大問の中では最も得点の取りやすい大問でしょう。
(1):まず、定点を通る直線の方程式は傾きをパラメータとして表すのが定石です。但しこの時直線がy軸平行でないことも必ず示しましょう。そして、lとC1、C2の方程式を連立させるのですが、この時に解の公式を使って方程式を解いてしまうと、出てくる式が複雑でその後の計算の道筋が立ちません。そこで思い出してほしいのが解と係数の関係を用いた計算の省略です。今回の場合は求める必要があるのは2解の差だけですから解と係数の関係だけで処理できます。
(2):二次関数の基本的な積分を行うだけです。(1)が解けたなら絶対に落としたくない設問でしょう。また、検算として使える1/6公式も思い出しておきましょう。

第2問:やや易

本問のような三角形に関する問題では一つの角度や辺の長さを自分で置いて、正弦定理や余弦定理を用いて関係式を導くのが定石です。今回の問題ではその定石通りにやればあとは計算するだけで答えが出てきます。導いた関係式を解くとき、未知数の数と関係式の数が同じであることも忘れず確認するようにしましょう。但し、定石通りとは言ったものの、今の時期ではまだ角度をパラメータとしておく習慣がついていない人も多いでしょうから正答率はさほど高くはないかもしれません。出来なかった受験生は、本問を契機にこの定石を頭に叩き込んでおいてください。

第3問:標準

定数分離を用いる典型的な問題です。定数分離が思いつかなかった人は要反省です。(1)(2)は定数分離に気付けば何も難しいことは無いでしょう。(3)も解答のようにy=±xとの上下関係を見て処理することが思いつければなんということは無いですが、なかなか思いつきにくいかもしれません。

第4問:やや難

今回の大問の中で最も点数の取りにくい問題といってよいでしょう。戦略として、この大問は解きやすいところだけを解いて他の三問を確実に合わせに行くようにするなど柔軟な対応ができれば高得点が望めたかもしれません。
(1):感覚的に「当たり前じゃん」と思った方も多いのではないでしょうか。しかし数学ではそれでは全く証明したことになりません。当たり前と思えるようなことでもきちんとした証明法を用いて示すことができるようになりましょう。今回の場合は、数学的帰納法を用いて議論すれば綺麗に示せます。また、本問のように任意の整数nで成立する命題の証明では数学的帰納法が有用になるケースが非常に多いことも頭に入れておきましょう
(2):(1)で求めた関係式を利用して、同じく数学的帰納法で示すだけです。
(3):(2)で求めた関係式を利用すれば単純な確率の問題に帰着できます。
(4):場合分けさえできればこれまた単純な確率の問題です。
以上からわかるように、この問題の最大の山場は(1)かもしれません。実際、(1)をどう示せばいいのか分からず手が止まってしまい、それ以降の設問には手さえつけていないという人も多いのではないでしょうか。しかしどうでしょう。たとえ(1)が示せなかったとしても、その命題を利用すればそれ以降の設問は案外単純ではないでしょうか。このように、誘導の後半の設問の方が案外解きやすいというケースは東大入試本番でも珍しくありません。前半でつまずいてしまっても、必ず後半の設問まで目を通すことを忘れないようにしましょう。

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