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2024年8月実施 第2回東大本番レベル模試 スタッフによる所感【地理】


全体概観: やや易

現役生にとって、まだまだ社会に対して勉強時間が確保できていない時期ではあると思いますが、オーソドックスな問題や知識を問う問題が多いこともあり、夏の冠模試の最後としてよい練習になったのではないでしょうか。まずは見たことある問題でポイントを取りこぼさないように秋模試に向けて冠模試を復習しておきましょう。特に、苦手な単元がある場合は次の冠模試までに演習や知識を入れることを通して克服しておきましょう。

第1問

設問A:やや易

(1)まず、地図から主要国の判別ができるか、そしてそれぞれの国の地形や自然環境を知っているかを問う問題です。(2)へのヒントとなるでしょう。
(2)(1)を難なく解ければ、指定語句の使い方は見えてくるでしょう。再生可能エネルギーの欠点として発電量の制御が難しいということは知っておきたいです。
(3)D(フランス)は発電方法だけでなく、立地場所も聞かれていますが、E(ポーランド)は発電方法のみを聞いています。問われている内容を勘違いしないよう注意しましょう。
(4)鉄道、船舶、航空機、自動車のそれぞれの長所と短所、それに伴う輸送品の傾向(航空機は軽量、小型、高付加価値を満たす商品が多い など)を理解しておきましょう。

設問B:やや易

(1)(2)、(3)の問題文をヒントとして使えるため、解きやすい問題でしょう。各年度における特徴を理解しておきましょう。
(2)具体的な年数が与えられている問題は、その年度をヒントに考えると解きやすいでしょう。本問であれば1973年というところから石油危機を想起できれば解答の方向性は見えるでしょう。
(3)本問は2009年と2021年の間に何が起きたか(発電量構成の顕著な変化の背景)を聞いています。この期間と発電構成と聞けば、2011年の東日本大震災を思い出したいです。変化を問われているので、「原子力発電の割合が減った」だけでなく、「その分何が増えたのか」の部分にも言及してあげましょう。
(4)用語が多いので難しかったかもしれませんが、説明を読めば「使用済みプラスチックの適切な処理が進めば、海洋の環境はどうなるのか」という話なので、書く内容は分かりやすいでしょう。3行なので「静脈産業」など、与えられた用語を使って字数を短くできるとよりよいでしょう。

第2問

設問A: 標準

(1)南西部については絶対に押さえておきたいですが、北東部についてはあまり知らなかった人も多いのではないでしょうか。傍線部Aの「カリブ海」をヒントに、なぜスペイン語圏から遠い北東部にヒスパニックが多いのかを推測する必要があるため、少し難しかったかもしれません。これを機に覚えておきましょう。
(2)1980年代と産油国という傍線部からのヒントを使えば方向性は分かりやすい問題でしょう。
(3)1990年に出入国管理法が改正され、日系ブラジル人が日本国内に移住したり、労働したりしやすくったことは押さえておきましょう。
(4)1990年代に経済社会の変化というと、ソ連の崩壊を想起したいですね。
(5)難民の発生時期は大まかでもいいので把握しておきたいです。少し細かい内容かもしれませんが、これから受験本番に向けて学習していきたいです。

設問B:標準

(1)3つの与えられた指標の中から特徴的なものを見つけましょう(例えばアの国内線71%、イの国内線0%)。特徴を目印に国の判別をしていきましょう。
(2)割合が小さい→分母が大きい、分子が小さい の二つの要素に分けて説明してあげましょう。
(3)夏の東大実践でも似たような問題が出題されているので、受けた方は落としたくない問題です。
ハブ空港の機能を持つことで国外からの産業誘致を図る政策(西アジアの産油国を中心に)も知識として知っておきたいです。

第3問

設問A:やや難

(1)各県での主要産業がどのようなものであるかを把握しておく必要があるので少し難しかったかもしれません。「装置産業」などキーワードを使って簡潔に解答できるよう、模試の解答や教科書から用語を盗んで自分のものにしていく意識があるといいかもしれません。
(2)人件費の水準が高い話は比較的書きやすかったでしょう。逆に、一人当たりの付加価値の話については(1)の解答がわからないとなかなか回答しづらいでしょう。これを機に学習しましょう。
(3)高速道路網の発達によってIC産業が九州や東北で発達したのと同様に、滋賀県でも名古屋と大阪の中間地点にあるという利点を生かして工場が立地していることは知っておきましょう。
(4)まず問題文の条件に該当する県を読み取りましょう。
北海道、青森県、岩手県、秋田県、新潟県、鳥取県、島根県、高知県、鹿児島県、沖縄県の共通点、指定語句をヒントにしましょう。
どの都市圏からも遠い、産業の空洞化は書きやすい内容だと思いますが、新規立地の使い方には困った方も多いと思います。指定語句にとらわれすぎて時間を使いすぎないように注意しましょう。

設問B

(1)完全な知識問題ですが、過去問でも地理的語彙の意味を分かっていないと解けない問題が出題されていることから、「地場産業」だけでなく、意味があやふやな語彙は予め調べて、簡潔に説明できるようになっておきましょう。
(2)完全に知識問題ですが、知っておきたいです。
(3)地域ブランドとなるのは特に地方での特産品の工場が密集している地域なので、今回の倉敷の例は典型的な例と言えるでしょう。工芸品がブランド価値を上げようとするというのはよくある回答なので知識として入れておきましょう。
(4)少子化による市場縮小という課題を回答したいですが、それ以外の持続可能性の部分については複数の解答が認められそうなので、字数の余る限り何点かポイントを書けばよいでしょう。

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