見出し画像

🕷蜘蛛の糸 【クリスマス物語7】


日本の商業施設では
クリスマスが終わると、
一夜にしてクリスマスの装飾は
一掃され、
一気にお正月ムードへ
盛り上がっていきますが、
西洋では1月6日の公言日までクリスマスは続きます。
公言日とは東方の三人にマギ(占星術師)が
イエスさまのもとに到着した日です。


我が家も27日に
クリスマスツリーをしまいました。
ツリーをしまう時にいつも思い出す
クリスマスのお話があります。



蜘蛛の糸」といえば、
真っ先に浮かべるのは
芥川龍之介「蜘蛛の糸」ではないでしょうか。

今日お話するのは
クリスマスツリーに飾ってある
キラキラしたモールのことです。



 シリアに伝わる、美しい伝説があります。
 実は、クリスマスツリーに飾る、金や銀の糸は、
この伝説から生まれたものだとも言われています。
 
ベツレヘムに新しい王様が誕生したことを知ったヘロデ王は
イエスを拝みにいった三人のマギを呼びよせ、
話を聞き、自分の王として立場が脅かされるのではないかと
大変不安になりました。
そこで恐ろしいことを思いつくのです。

 

「ベツレヘムとその付近の地方とにいる、二歳以下の男の子を、すべて殺せ」


聖書を見ると、そのときの悲惨な出来事は、
旧約聖書の預言の成就として記録されています。

 

「叫び泣く、大いなる悲しみの声がラマで聞こえた。
ラケルはその子らのためになげいた。
子らがもはやいないので、
慰められることさえ願わなかった。」
                                               (マタイによる福音書2章18節)
 

 
ところが、
この惨事の前に天の使いが夢に現れ、
ヨセフにエジプトに逃げるよう告げました。

ヨセフとマリアは、
すぐさま荷物をまとめて、
夜のあいだに
ベツレヘムをあとにしました。

ちなみにここで、
ヨセフはマギから贈られた黄金を使ったとも言われています。
 
さて、伝説は、
エジプトに向かって旅する三人の様子を伝えています。
 
荒野のまんなかで、とっぷりと日が暮れかかった時、
やっとのことで、ヨセフは小さなほら穴を見つけました。
赤子イエスを抱いたマリアをいたわりながら、
そのなかに入り、一夜を明かすことにしました。
 
ところで、ほら穴の入り口に、
一匹のクモが住んでいました。
 クモは思いました。

《砂漠の夜はとても冷え込む。
なんとかあたたく過ごさせてやれないものだろうか》
 
そして急いでほら穴の入り口にクモの巣をかけはじめました。
有らん限りの力を出して巣をかけました。
これまでみたこともないような
大きな大きな巣をかけました。

そして、
大きな巣はほら穴の入り口をすっかり塞ぐほどの
みごとなクモの巣をなりました。
 
クモはつぶやきました。
 「よし!こうしておけば、
 冷たい風が吹いても大丈夫。ほら穴のなかまで入ってこない」
 
もちろん
クモの巣なんかで、冷たい風を防げるはずがありません。
でも、クモは、イエスさまのために
自分としてできる、最善を尽くしたのです。

 
その真夜中近くになって
突然、遠くから馬のひずめの音が近づいてきました。
 
 ひずめの音にマリアとヨセフは
ハッと目を覚ましました。
駆け足で近づいてくる音は
ますます大きくなってきます。
 
「ヘロデの軍隊に違いない」
ヨセフはマリアにそう言いました。
 
マリアは、すやすやと眠っているイエスをキュッと抱きしめます。

もしも、あかちゃんのイエスさまが泣き声をあげたら・・・。
兵隊に見つかってしまう。

ふたりは息を殺して、
耳をすませました。

すると大きな声がしました。
 
「おい、ここにほら穴があるぞ。お前、このほら穴を調べてみろ」
 

ヨセフはマリアを抱きしめ、マリアはイエスをしっかり抱き、
二人は心のなかで、必死の祈りをささげました。
<神さま、神さま、助けてください>
 
「ザク、ザク、ザク、ザク」
 
兵隊のくつの音がほら穴の入り口でピタリと止まりました。
 

 ところが、兵隊は入り口に立ったまま、入ってくる様子はありません。
そのとき、再び先ほどの声が聞こえました。
 
「おい、どうしたんだ。
なぜ、ほら穴のなかに入って調べないんだ」

すると別の声がしました。
 
「隊長、ほら穴の入り口はクモの巣で塞がっています。
この中に逃げ込んだなら、
くもの巣は破れているはずです。
このほら穴の中に人がいるはずはありません」
 
「なるほど。それもそうだ。
ここにはいないな。さあ、別の方を捜してみよう」
 
兵隊たちは馬に乗り、
ひずめの音をひびかせて荒野のかなたに消えて行きました。

ほら穴の入り口には、夜露を浴びた大きなクモの巣が
月光に照らしだされて、
ピカピカ、キラキラ、ピカピカ、キラキラと
輝いていました。

次の朝、ヨセフとマリアは神さまに感謝して
朝日を受けて輝くクモの巣を破って
エジプトを目指していきました。

小さなクモもしたことに二人が気づくことはありませんでした。
しかし、すべてのことを見ていらした神さまは
クモの愛の行いを良しとされました。
 

クリスマスツリーにかける、
金や銀の糸は、実はこのときのクモの巣をあらわしているのですね。

 

 ♪愛のわざは小さくても
  かみのみ手がはたらいて
  なやみのおおい世の人を
  あかるくきよくするでしょう
    (讃美歌 ちいさなかごに より)
 

 

讃美歌は母校のYouTubeです。


私はこのお話が好きです。

クモの巣で風を防ぐことなんてできるわけないよね。
無駄だよね。

やっても無駄。
やるだけ損。

損得を考えれば損の方が多いのが人生です。
 
でも、愛を伴った行為には無駄なんてありません。
思った以上のことが起きるのです。
そして、これを「奇跡」と呼びます。

クリスマスには多くの奇跡が起こります。

その奇跡を起こすのはあなたです。

このお話を持って、クリスマス物語は
おしまい、おしまい。

良いお年をお迎えください。

 
#クリスマス物語
#クリスマスツリーとクモの糸

 

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?