喜納昌吉に関するささやかな思い出

高校生の頃、「AIR JAM 2000」というライブイベント(フェス)の映像にかじりついていた時期があった。文字通り食い入るように何度も見ては、朝から晩まで音楽づけのイベントというものに憧れていたものだった。

「 AIR JAM」は基本的に「パンク」のイベントで、主催のHi-STANDARDをはじめ、BRAHMAN、SCAFUL KING、LOW IQ 01、WRENCH、といった多くの印象的な「パンクマインド」を持つバンドが舞台を彩った。

そんな中、おそらく一番異彩を放っていたのが喜納昌吉&チャンプルーズであった。ビデオに収録されていたのは「花」と「ハイサイおじさん」。一応バンド形態だったからロックと言えないこともないが、他の出演者と比べると明らかに畑が違う。しかし、その浮きっぷりがかえって清々しく、喜納昌吉のオーディエンスを煽るような歌いっぷりは非常に印象的で、今でも脳裏に焼き付いている。その後沖縄音階が好きになってしまったのは、間違いなく喜納昌吉たちのおかげだろう。

この人のライブ中の決め台詞といえば、「戦争よりも祭りを!」である。映像を見ていた時は特になんとも思っていなかったが、今思えば戦争と祭りを対比させるのはなかなかユニークな視点かもしれない。

今年9月4日、喜納昌吉は39年ぶり(!)の新曲「富士山JAPAN(ふじやまジャパン)」をリリースした。YouTubeでショートバージョンを見たが、これがなんと、びっくりしたことにド演歌である。

ショートバージョンを聴く限り、正直曲として面白いとは思わなかったが、この人の振り幅というものは面白いし、沖縄というものにこだわってきた過去と合わせて考えると、退っ引きならない切実性を感じてしまう。かつては衆議院議員も務め、沖縄県知事選では筋を通すために民主党を離党してまで立候補し惨敗した。そうした近年の活動の挫折の果てに何かを担い直したのかもしれない。下のリンク先の記事を読む限りではそんな気がする。今後、喜納昌吉がどんな道を歩むか注目したい。


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