Carl Zeiss Planar 50mm F2 ZM
Carl Zeiss
カール・ツァイス
光学の分野では有名なブランド。
カメラレンズだけでなく顕微鏡だったりメガネだったり様々な場所で名前を聞ける。「ツァイスといえば良いもの」というイメージを私も持っていて、カメラレンズにおいてもツァイスブランドのものは何だか特別に感じる。
今現在、一番の相棒となるレンズをしばらく模索している。
結局フィルムだったり現像液だったりで仕上がりも変わってしまうのだが、写真においてはやはりレンズによる所が一番大きい。(最近はフィルムにおける趣向みたいなのがだいぶ定まって来たのだが…)
一番最初に選んだのがNOKTON 50mm F1.5 vintage line の1型だったが、ボケも素直でシャープネスも十分だったと思う。が、何だかいまいちキャラクター不足を感じた為「次はThe 標準なレンズを使ってみよう」と思い次に選んだのがCarl Zeiss Planar 50mm F2 ZMだった。
Planar(プラナー)とはツァイスレンズにおいて対象型のレンズ構成のものに主に付けられる名前で、標準レンズに採用されることが多い。このZM版も4群6枚対象型のダブルガウス構成で、この構成によって象面湾曲や歪曲収差が抑えられ、画面全体で良好な画像を得られるのが売りのレンズ。名前の由来はドイツ語の「プラーン」から来ているらしく、これは「平坦」とか「まっすぐ」という意味を持ち、まさにその通りなのだろう。
ユーザーのレビューなんかでも「安心出来る1本」とか「ありのままを写してくれる」みたいな評価が多く、ボケや癖を楽しむのではなくてしっかりと描写してくれるのを期待するレンズなのだと思い、次はこれにしてみよう!とNOKTONと交換で購入。
購入したのはシルバーのレンズで、私が持っているライカとは同じシルバーでも若干ツヤ感が異なる。だが見た目のマッチ度は高く、別売りのレンズフードを付けると更にかっこいい。(高いけど)
NOKTON 50mm F1.5を付けているとレンズデザインも相まって工芸品っぽさが際立っていたが、Planar 50mm F2を付けると実用品っぽさが途端に出てとても良い。
このZM版のツァイスレンズは、実際の製造を行っているのはご存知コシナ。コシナの持つ高い製造能力だからこそツァイスブランドを作ることを許されたのだろう。コシナでは同じくドイツのフォクトレンダーブランドを取り扱っているが(NOKTONなど)、それとの違いで一つあるのが絞りを何段で刻むか。フォクトレンダーの方は2分の1段ずつの刻みに対して、ツァイスの方は3分の1段での刻みになる。小さな違いかもしれないが、露出をシビアに合わせたい場合は3分の1段で刻めた方が当然いい。
このプラナーが一番活躍してくれたのはnoteでも記事としてまとめた松山の旅だった。コンパクトで軽量なので持ち歩きが全く苦にならなかったし(二日間の旅路で二日とも天候が違った)「きっと全部写してくれるだろう!」という安心感からシャッターも進んだ。
実際現像してプリントもしてみると噂通りの真面目な写りだと感じた。
日中は基本絞り込んで撮っていたのもあるが、画面全体でビシッと結像して気持ちがいい。少し絞りを開けて撮っても変に流れたりもせず、自然とボケている感じがする。コントラストも高くてプリントがしやすい。
何というか、淡々と写してくれる、といった感じ。
悪い意味ではない。
50mmでF2、最短撮影距離70cmということもあり、ボケ量としてはそんなに大きくはないと感じる。撮り方によっては大きくボカすことも勿論出来るが、しかしそうやって使うレンズでもない気がする。
何かをクローズアップして撮るというよりかはやはりスナップで景色を切り取っていくのが向いていると思う。
そして結局はこのプラナーも手元を離れた訳なのだが、日々のスナップ用として残しておけばよかったなと少し後悔している。
コンパクトでかつ堅実に写してくれるレンズというのは「とりあえず君なら何とかしてくれるよね」みたいな感じで安心感に繋がる。立体的な写りを求めるならおそらく別のレンズを選んだ方がいいのだろうが、しっかり均質で堅実な写りを求めるならこのプラナーは大いにありだと思う。
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