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【課題解決】中小製造業の技術経営 業界の構造分析

中小製造業の商品開発を伴走・支援 TECH-TOSHIです。
今回は、東京理科大学 MOT(技術経営)における 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『業界の構造分析』について、ご紹介します。 


1.ポイント


内容は、『5Forceを用いて業界の構造を分析する』でした。

①業界の構造分析は、「SCPパラダイム」に基づいている。
 企業が互いに競争する場の「市場構造(Structure)」が、各企業のとる「競争行動(=市場行動 Conduct)」に影響を与え、さらにその市場行動によって、業界全体としての「成果(=市場成果Performance)」が影響を受けると考える。

②業界の収益性に影響を与える要因をPorter(1980)が5つに大別。
 1)既存企業間の対抗度(敵対関係)
 2)新規参入の脅威
 3)買い手(顧客・流通業者)の交渉力
 4)売り手(供給業者)の交渉力
 5)代替品の脅威

<出所> 網倉、新宅、経営戦略入門、P70-71

③5ForceをMOTの視点で考えた無効化戦略
 1)自社の技術は、競合他社の製品・サービスの価値を無効化できるか?
 2)自社の技術は、新規参入の参入障壁として機能するか?
 3)自社の技術は、代替品や補完材の価値を無効化できるか?
 4)自社の技術は、買い手や売り手の交渉力を無効化できるか?

<出所> 一橋大学イノベーション研究センター『イノベーション・マネジメント入門(新装版)』日本経済新聞出版、2022、P249

④5Fs分析
 目的は、厳しい環境の中で、何をうまくコントロールできれば、競争を緩和できるか、収益を高くできるかを考える。
 分析のタイミングは、新規参入または継続・撤退を判断する時。

<出所> 牧田、フレームワークを使いこなすための50問、東洋経済新報社、2009、P84-85

2.講義からの気づき


講義から気づいたことは、思った以上にいろいろな要因がお互いに影響を及ぼし合うということでした。

エンジニア的に言えば、多変量解析における、寄与率が高いパラメーターがたくさんあるようなイメージでしょうか。

また、別の講義でも説明があったのですが、近年では補完材も、業界の収益性に影響を与える第6の要因として捉えるようです。

<出所> 網倉、新宅、経営戦略入門、P96


3.現状


以前、勤務していた製造業の企業においては、競合すなわち参入業者、そして、顧客である買い手にしか注意を払ってきませんでした。

代替品についての議論は、ほとんどしたことはありませんでした。

4.解決策


解決策として、自社の市場におけるシェアを確認した上で、競争要因のフレームワークを活用した業界構造を分析することが必要です、

『市場シェアが大ききれば大きいほど、供給業者との交渉有利な立場に立つことができる。』と述べられています。

 また、第6の要因である、補完製品の扱いについても、『製品やサービスだけにもとづいて競争しており、補完製品に考えが及ばなければ、あなたのビジネスはすでにトラブルを抱えている可能性が高い』とされています。

<出所> フィリックス・オーバーフォルツアー・ジー、『「価値」こそがすべて!』、東洋経済新報社P16-19

5.今後の課題


競合品だけでなく代替品の特定も重要です。

一見、異なる市場に存在し、競合にはなり得ないと思われていた製品なので、結果として、ある日、突然自社の市場へ参入することによりシェアを奪い始める、いわゆるディスラプションのようなイメージでしょうか?

今回は、東京理科大学 MOTにおける 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『業界の構造分析』について、TECH-TOSHIよりご紹介しました。

 尚、その他にも、この分野においての実践的なノウハウを投稿しています。

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