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【課題解決】中小製造業の技術経営 戦略グループと障壁

中小製造業の商品開発を伴走・支援 TECH-TOSHIです。

今回は、東京理科大学 MOT(技術経営)における 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『戦略グループと障壁』について、ご紹介します。


1.ポイント


内容は、
『障壁の大きさが戦略グループごとの収益率の差を生み出す』でした。

先の業界構造分析のフレームワークから、潜在的収益性を予想し重要な要因を明確化するのですが、その要因は業界内のどの企業にとっても条件は同じです。

なので、この分析結果から同じ業界内での、企業の収益の差に対する、戦略の違いを導くのは困難です。

また、自社が業界全体の構造を変革していくよりも、業界内でより収益性の高いポジションに自社を位置付けるほうが労力が少なくて済みます。

ここから、業界内部において、高収益と低収益の企業のグループを『戦略グループ』として区分することが提唱されたそうです。

これは、収益性の差異は、採用している戦略の違いによってもたらされるという考え方です。

<出所>マイケルポータ、『競争の戦略(新装版)』


その際に、障壁の議論となりました。

新規参入を狙う企業によって、『参入障壁の高さ』は、これから参入しようとする戦略グループごとに異なります。

また、業界内の既存企業にとっても、ある戦略グループから別の戦略グループへと移動するためには、克服しなければならない障壁、すなわち『移動障壁』があります。

つまり、障壁の高さは、戦略グループごとに異なっており、この違いが産業内での収益率の差を生み出す一因となっているということです。

この時、戦略グループの障壁が低く簡単に乗り越えることができる、すなわち模倣が容易であるならば、高収益を独り占めし続けることはできなくなります。

ここから、自社が高い収益性が期待できる市場セグメントを、競合に先駆けて発見し、先に市場を押さえ、自社の競争優位を持続させるためには、いろいろな障壁を築くことが必要 という考えに至るのです。

<出所> 網倉、新宅、経営戦略入門、P97-100

2.講義からの気づき


講義から気づいたことは、『自社にとって収益性が高くなる市場セグメントを探し、先に市場を押さえて障壁を構築する』ということでした。

簡単に模倣されないように、できるだけ、いろいろな手段により高い障壁を築くことが必要ということです。

3.過去の経験から


以前、勤務していた製造業の企業において、新たな商品を開発し、自社にとっては経験のない市場への参入を試みたことがありました。

障壁として、商品の構造からの知財を出願しました。その構造は、参入する市場においては初めての構造でした。

しかしながら、基本特許というレベルではなく、広く範囲をカバーすることによる高い障壁を築けたかどうかは、疑問が残るところでした。

4.解決策


解決策として、障壁を高められそうな要因を見つけることです。

障壁を高める要因は、コストに関連するものと、それ以外のものに分類されます。

◆コスト関連の要因
 1)規模の経済が強く作用
 2)範囲の経済:完成品としては別種の製品であっても、
   構造が類似しているなど、取り扱いの製品の範囲を拡大させる。
 3)経験効果:過去からの経験量が必要。

◆コスト以外の要因
 4)大規模な運転資金が必要
 5)流通チャネルへのアクセスが困難
 6)製品差別化の程度が高い
 7)政府の政策や法律で保護・規制されている

<出所> 網倉、新宅、経営戦略入門、P80-84

この中で、中小製造業が活用すべき要因としては、3)経験効果、6)製品差別化の程度が高い などでしょう。

5.今後の課題


今後の課題としては、障壁構築につなげるべく、現状の自社の保有する商品、技術、ノウハウの棚卸しをオススメします。

その中から、3)経験効果、6)製品差別化の程度が高い につながる、商品、技術、ノウハウを見つけ出したいです。

今回は、東京理科大学 MOTにおける 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『戦略グループと障壁』について、TECH-TOSHIよりご紹介しました。

 尚、その他にも、この分野においての実践的なノウハウを投稿しています。

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