【課題解決】中小製造業の技術経営 コスト優位をもたらす経験効果
中小製造業の商品開発を伴走・支援 TECH-TOSHIです。
今回は、東京理科大学 MOT(技術経営)における 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『コスト優位の要因』について、ご紹介します。
1.ポイント
内容は、『コスト優位を実現する要因の代表的なものとして、規模の経済、範囲の経済そして経験効果がある。』でした。
コスト優位を実現する要因の代表的なものとして、
1)規模の経済、2)範囲の経済、3)経験効果 がある。
1)規模の経済
ある製品の生産・販売の規模を拡大することによって、生産・販売にかかわる費用、特に「単位あたり費用」が減少すること。
固定費の拡散効果と総費用の増加率が規模拡大の割合よりも小さくなる ことから。
2)範囲の経済
取り扱う製品範囲の増加が経済性をもたらす、すなわち複数の製品・サービスを生産・販売する場合の費用が、それぞれの製品・サービスを個別に生産・販売する場合の費用の合計に比べて小さくなること。
共通利用可能な未利用資源の有効活用など。 例)副産物の利用など
3)経験効果
経験が深まるにつれて習熟され効果的・効率的に実行ができることから、累積生産量(経験量)が倍増するたびに一定の比率で単位当たりコストが減少すること
過去からの歴史的な経緯がコスト低減の原因である考えられている。
現実に観察される経験効果には、規模の経済に起因するコスト低下も含まれており、両者の識別することは難しい。
出所)網倉、新宅、『経営戦略入門』、P166-176
2.講義からの気づき
講義から気づいたことは、
『中小製造業は、経験効果を最大限発揮するべき』 です。
経験効果がもたらすコスト差異は、歴史的経緯が原因となっている ということからも、中小製造業が長く取り組んできた経験の中にある技術・ノウハウが、コアバリューであること を認識すべきと考えます。
3.現状
以前、勤務していた製造業の車載向けの製品開発において、大手メーカー向けに売価の設定をしたことがありました。
この開発のケースでは、
差別化となる機能を発現する構造を持つ商品(知財出願済み)なので、せめて従来と同じ価格で と交渉したのですが、
顧客より、『新たな機能付加に加え、価格が下がらないと社内提案しにくい』とのことから、
さらに、毎年、値下げの要求が来ることも考慮した上での、売価設定から顧客へ提案をすることとなりました。
このように、大手メーカーとの垂直統合の元においては、他社との差別化となる技術を有していたとしても、自社の利益を向上させることは難しいようです。
4.解決策
そこで、差別化と集中に注力するとなるのですが、まずは、自社の過去の実績・経験してきた中で、差別化につながる技術・ノウハウを保有しているかどうかの確認が必要です。
ここで、M.ポーターは、コストのリーダーシップと差別化は両立しないと言っています。
となると、中小製造業は差別化と集中を併せた戦略を取ることが望ましいことになります。
但し、集中も競合にとっては模倣しやすいケースが考えられますので、まずは、差別化の検討から となります。
<参考>
5.今後の課題
差別化につながる、独自の技術・ノウハウの有無を確認した上で、差別化と集中を併せた戦略で、市場規模が小さいながらも新たな市場への参入を検討すべきと考えます。
なので、まずは、保有しているであろう技術・ノウハウの棚卸しをオススメします。
今回は、東京理科大学 MOTにおける 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『コスト優位の要因』について、TECH-TOSHIよりご紹介しました。
尚、その他にも、この分野においての実践的なノウハウを投稿しています。
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