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chapter2:原稿を書く『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』

 本づくりをすることになり、自分の年表をつくった。それを編集の嶋田くんに送ると、目次の構成案があがってきた。その目次を見ながらこれまでやってきたことを俯瞰すると、あのときのことが今に活きてるのかもしれないと実感することがたくさんあった。そう思うと、人生いろいろあるけれど、無駄なことはないのかもしれないという気にもなってくる。どんなときも目の前のことに自分なりにベストを尽くしていく大切さを胸に留めながら、どんどん原稿を書いていった。

 しかしこれが結構、たいへんだ。調子のいいときは1時間に3,000字くらい書き進められるのだが、思い返して感傷に浸ったりしていると2時間くらいがあっという間に経ってしまう。さらに原稿を書いているときに横を見ると娘が可愛かったりして、つい遊んでしまう。そこで、移動中などの隙間時間にiPhoneのメモに書きためていく作戦に出た。アフリカ大陸へ向かう機内で、またトランスファーのシャルル・ド・ゴールで、さらにトーゴでお腹を下しながら、ぼくはスマホ片手に親指をフリックさせ続けた。

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 文章を書くのは得意ではないけれど、抵抗感はない。会社を辞めたときから、定期的にブログを書いてきたから、それほど苦ではない。それに、書いているうちに書きたいことが出てきたりして、そういうときは自分の内なる声をきくことができる。そしてその内なる声を記録に残しておけば、いつかどこかのタイミングで過去の自分に励まされたりする。自分自身の声だったら、心が荒んでいるときでも耳を傾けることができる。

 そうして2019年の春ごろから、夏をこえて、秋が過ぎ、冬になるころまで書き続けた。予想外だったのは、事業にハプニングがありすぎて、原稿が追いつかないことだった。書いているあいだに、ぼくはフランスで飛び込み営業をして、トーゴのコットン畑を駆け巡り、初めての商品をお届けしていた。数週間に一度くらいのペースで編集の嶋田くんとオンライン会議をしていたのだが、そのときに進捗を報告しながら、構成と目次を修正してもらいつつ、とりあえずの粗々しい原稿を送り続けた。嶋田くんの手によって、それがどんどん一つの作品になっていく感覚があったから、原稿を送ればすぐに本ができると思っていた。しかしそれは大きな勘違いだったことを後になって知った。

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