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chapter0:はじまり 『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』

 2020年は30歳の節目になる年だ。いろいろとキリがいいので、新しいことに挑戦しようと地道に準備してきた。人生初の出版に向けて、1年以上かかってようやく校了まで辿り着いた。いまに至るまでのことと、これからのことについて書いていきたいと思う。まずは出版にあたって、編集をお願いした嶋田くんとの出会いについて。

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 2019年のはじめ、フィンランド帰りの先輩とトーゴ帰りのぼくとで、それぞれが海外で感じてきたことをシェアする会をした。そのときぼくは京都信用金庫を退職してアフリカに渡り、スコップを握りしめて会社をつくって、調達してきた布を京都の職人の工場で加工してもらい、それを東京のバイヤーに持って行ってボコボコにされてきた直後くらいで、あるものといえば、布くらいしかなかった。しかしそのプロセスのなかで、なぜかぼくは手応えを感じていて、布しかないのに自信満々でプレゼンテーションしていた。それを聞いてくれていたのが、嶋田くんだった。ぼくは大したスキルは持ち合わせていないが、運だけはめちゃくちゃいい。このとき彼と出会えていなかったら、いまのタイミングに出版はできなかった。

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 そのときに嶋田くんから聞いた絵本の話がとても素敵だった。それは海のなかの物語で、「オクトパス建設」に勤めるタコが「おおなみ」という食堂で働くイカに恋をするという内容だった。ヤバいと思った。頭で考えるまでもなく、体で「いい」と感じられるほどのセンスに脱帽した。すぐに彼に話しかけに行くと、なんと同い年で、ぼくの学生時代の友だちの高校の同級生だったことを知ったりして、すぐに仲良くなれた。

 天才的なセンスをもつ嶋田くんが立ち上げた、ひとり出版社「烽火書房」のコンセプトは、「弱くても、届くべき人に必要な時に届く烽火(のろし)のような本をつくりたい」というものだ。彼が世に出した『のろし vol.1 なぜ彼らはインターネットで創作活動を続けてきたのか?』は「ドイツ装」という、めちゃくちゃめんどくさくてコストのかかるやり方の製本でつくられている。しかもその表紙はシルクスクリーンで一色一色、手刷りしている。この執拗なまでの手の凝り方によって、インターネットにまだ「いいね」がなかった時代から創作活動を続けてきたアーティストたちの原動力を探っている。

 こうした世の中に対する目の付けどころが、ぼくは好きだ。そしてそこに生きる人たちを、優しくて芯のあるような描写で表現しているのもいい。そんな彼と、気づいたら本づくりがスタートしていた。


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