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chapter4:再校『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』

 さらなる高みをめざす嶋田くんとの本づくりの終盤戦、校正に基づいて文章を修正しながら、ぼくたちは写真のキャプションと脚注にも本格的に着手した。このキャプションと脚注は、本書のこだわったポイントのベスト3に入るかもしれない。ここの部分だけで、一冊の本が出来上がってしまうくらいに趣向を凝らした。テーマとしたのは、トーゴ共和国という多くの人には馴染みのない国での生活をよりリアルに、そして楽しく想像してもらうことだ。今回はその一部を公開したい。

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 たとえば、この写真に当てはめたのは次のとおりだ。

「ケンテ職人たちの小さな喜びはラジオから流れてくるポップな音楽だったりする。ナイジェリアのポップソングが人気で、みんなリズムに乗りながら、軽快に布を織っていく。」(『Go to Togo 一着の布を旅してつくる』p.131)

 この写真は、本書では白黒で挿入しているが、章末に挿入する写真は贅沢にカラーにした。そして現場で感じたことを、できるだけそのまま言葉にした。そこでの情景をすこしでも伝えることができたら、地域単位での営みにフォーカスできると思った。そういうマクロというか、グローバルな感じではなくて、もっとミクロな、ローカルなところにある価値を見直したいと考えた。そうしたことが、本書の一貫した切り口だったりする。

 脚注も、かなり豊かだ。ザっと、一気に読んでほしいところ以外は、できるだけ脚注を挿入するようにした。たとえば、「空港を出るとバイクタクシーや車がビュンビュン行き交っていた」(前掲書、p.36)という箇所には、「車」に次のような脚注を入れた。

「当時のトーゴは、1970-80年代くらいのトヨタカローラが主流。フロントガラスはバリバリ、シートはベロベロ、車内はノリノリだった。」

 本書の目線は、こうした感じのものだ。ぼくの気持ちとしては、やはり現場の体験に勝る情報はないと思っている。だからこそ、事業では現場の体験をセットにした商品サービスを展開しようとしている。しかしながら、その体験について伝える努力をしないのは、あまりにお粗末だ。そういう意味で、本書のキャプションと脚注は、ぼくなりの努力の結晶でもある。

 そんな結晶を一つずつ結合させていき、内容に厚みをもたせた。そうしてどんどんクオリティが上がるにつれて、ぼくたちのテンションも上がった。このときにはぼくも、ちょっとでもいいものを世の中にぶつけたくなっていた。嶋田くんは「ようやく80%くらいまできた」と言っていて、ぼくも同じく、あと20%くらいは上げられる余地はあると気持ちを同じにしていた。ぼくたちは泊まり込みでラストスパートをかけた。


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中須俊治(アフリカドッグス代表)
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