経営戦略としてのDX
デジタルトランス・フォーメーション(DX)という言葉が巷で溢れています。テレビのコマーシャルでも「御社のDXはお任せください」と。
これだけ騒がれているけど、「DXとは何?」と問いかけたら、ちゃんと答えられる人は少ないのでは。「デジタルを使って、何かをする」というように捉えている人が多い。間違いではないとは思うけど、本質はズレているのではないかと思う。
デジタルと言う言葉で、「何かよくわからない」「取り敢えず、放っておこう」と考えている企業も多いのではないかと思います。
結論から言うと、デジタルはあくまでも手段。DXは経営ビジョン実現のための経営戦略の一部と捉えるべきものと考えています。おまけに、DXに取り組まないと市場から退場しなければならないと言われています。
当社には関係ないと放置していいものではなく、経営者自らが取り組まなければならない課題と言えます。ただし、デジタルに対する知識がないとできないというものではないと考えています。
以下にDXは経営戦略であるということの理由を述べていきたいと思います。
DXに取り組むべき背景
DXへの取り組みを強く求めたのが、経済産業省が発表した「DXレポート」です。冒頭に何故、取り組むべき背景が書かれています。
背景を図にしてみました。
ポイントは、以下と考えています。
日本は、慣習や業界ルールといった縛りの中での企業間競争が行われ、独特の商取引形態や流通形態が、海外・異業種の参入を拒んできた。対して、デジタル活用した新規参入者は、旧来の慣習やルールとは異なる商取引や流通形態を生み出し、既存企業が同じ土俵で戦えない環境を作り、さらに低コスト化、短納期化を実現し、日本市場を席巻している。
インターネットを使った物販で成長しているAmazonが、最たる例ではないだろうか。
国内企業が淘汰されることを危惧した経済産業省が警鐘を鳴らし、「早急にD Xに取組み、競争力を維持・強化せよ。さもなければ淘汰され市場より退場せざるを得ない」と言っている。
DXの定義
DXの定義は、様々な考え方があると思われるますが、「DXレポート」の定義を示します。
DXレポートの定義を分解し、図示してみます。
つまり、DXは以下に取り組むことです。
当内容は、経営戦略そのものと考えます。DXはデジタル活用を手段にするということです。
これまでとの違いは、対峙する新規参入者がデジタルを高度に活用していること。従来のやり方では、勝機を見出せない。デジタルには、デジタルでということだと思います。
従来から取り組んできた業務効率化のためのデジタル活用(IT化)とは、異なるものだと考えています。
DXの本質
また、DXの本質についても書かれています。
ポイントは、「これまでの固定観念を捨て、新しい姿を作れ。それは、経営トップ自らが主導して進めよ」と言っている。
この点でも、DXがデジタルを活用するだけのものでないと考えます。
まとめ
●DXは、経営戦略の一部。単なるデジタル活用ではない。
●デジタル武装した競争相手には、従来の延長線上では勝負できない。
●デジタルには、デジタルで対抗せざるを得ない。
●DXは、従来からの固定概念を捨て、新しい姿をつくること。
●DXは、経営者が主導してこそ、成果を得られる。
付け加えると、DXは、「デジタルの知識がないとできない」というのは誤りと思っています。「デジタルを用いて、こんなことができれば、競争優位が生み出せる」という発想ができれば十分。技術的な面は、社員や外部の専門家に考えさせればいいと考えます。
まずは、経営者がDXの必要性を理解して、全社一丸になって進めていけるようにすることが重要です。
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