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もし自分が「freeeのCMO」だったら?/#13 マーケティングトレース

丁度年明けから利用しようと思っていた freee#マーケティングトレース   のテーマ企業に選定します。また、偶然にも書こうと思い立った12月17日に東証マザーズ上場したタイミングでもあります。

今回もマーケティングトレースのお題を明確にしておきます。

マーケティングトレースのお題

もし自分がCMOだったら、財務省がクラウド会計導入推進している中、競合他社とどのような差別化をはかり、売上を最大化するためにどんな戦略を立て実行するか?

財務省がクラウド会計をPushしている背景について

税制は普及するクラウド上の会計サービスへの対応が後手に回っていた。財務省が改正を検討する電子帳簿保存法もその一つだ。11月から本格的に始まる与党の税制調査会での議論も踏まえ、2020年度の税制改正大綱に電子帳簿保存法の改正方針を盛り込む。政府は6月に閣議決定した成長戦略で、税務手続きの電子化・自動化を進める対策を19年度中に決めるとした。(2019年10月17日 日本経済新聞)

上記にある通り、ペーパーレス化の動きが出てくることもありクラウド会計業界は盛り上がってくると予想される。

クラウド会計ソフト利用状況、シェアについて

まず、クラウド会計ソフトの利用状況を把握するため、市場感を把握したいと思います。

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簡単にまとめると、
・クラウド会計ソフトを利用している事業主はまだまだ少ない状況
 (法人も割合が変わらないためグラフは割愛)
・個人事業主には弥生会計、法人事業主にはfreeeが人気

財務省がクラウド会計をPushしている背景や、個人、法人利用のシェアについて状況の整理ができたので、#マーケティングトレース に入っていきます。

会社概要:freee株式会社について知る

会社名 :freee株式会社
所在地 :東京都品川区西五反田
設立  :2012年7月
資本金 :161億603万(資本準備金含む)
従業員 :506名
支社  :中部支社、関西支社、九州支社
営業所 :札幌営業所、京都営業所、広島営業所

業績推移

2020年にかけて売上は順調に伸び、営業利益は横ばいで推移すると予想。

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売上については、現在のクラウド会計普及率ターゲット顧客であるスモールビジネスを行っている潜在企業数から算出
営業利益は、エンジニアを始めとする採用強化の継続広告宣伝費などの販管費から算出されている。

※潜在顧客数補足資料※

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PEST分析:外部環境を分析する

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PEST分析から言えることはfreeeにとって追い風!でもあり新規参入を検討している企業もチャンスとも言えるので、競合参入の脅威とも言えそうです。

SWOT分析:事業の現状を分析する

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個人事業主の数は圧倒的に多く、フリーランス(副業従事者や起業含む)が増加傾向にあるとは言え、freeeとしてはインバウンドマーケティングにとどめている
これは増加傾向にあるフリーランスの数に対して対応可能な社内リソースに限りがあるためなのか、リソースが理由であれば致し方がないと言える。

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競合他社を知る

競合他社は、冒頭でクラウド会計ソフトのシェア状況で触れた様にマネーフォワード弥生会計が該当する。シェア状況は既に触れているので各社のサービス比較を行います。

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個人・法人ともに大差ありませんが、個人の「確定申告」の電子申告可否(弥生とMFはWeb版e-taxが必要)なのと、法人の「確定申告」の部分でしょうか。特に法人の「確定申告」においては、freeeは別サービス/別料金になるもののfreeeで完結できるのに対して、他2社は外部ツールに頼らざるを得ない状況

ただ、2020年5月にfreeeは個人事業主向けの料金プラン改定を予定しているそうで、それが反映されると以下の通りとなる。

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年間3~4,000円の値上げになりますね。2020年2月に法人向けプランの内容変更もあります。ミニマムのベーシックプランの内容を見ると、一部機能制限され、利用意向がある場合はプロフェッショナルプランへのアップグレードを推奨している様です。

今回の個人、法人プランの変更内容を見ると、MFと価格を揃えている様に見えます。

各社のサービスリリース時期を見てみます。

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弥生会計が後発なのがわかります。後発が故なのか、3社の中で低価格なのは、価格を抑えてシェアを取りに行こうとしている可能性がありますね。

freeeは個人事業主に対してサポート体制は組んでおらずセルフのみ
のため、法人顧客をメインに伸ばしていこうとしている様に思えます。

であれば、法人シェア2強のfreeeとマネーフォワードで比較し、マネーフォワードを突き放してシェアを伸ばしていくにはどうすべきか?を考えていくことにフォーカスした方が良さそうです。

各社のサービスサイトから、誰を狙っているのか見てみることにします。

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まず、freeeのサービスサイトで設定されているtitle,keyword,descriptionを確認します。

<title>
会計ソフト freee (フリー) | 無料から使えるクラウド会計ソフト
 <keyword>
クラウド,会計ソフト,freee,フリー,無料,確定申告,青色申告,白色申告,人事労務,給与計算,会社設立,開業,クラウド会計,経理ソフト
<description>
無料から使える、シェア No.1 のクラウド会計ソフト freee(フリー)。初めての決算書作成や確定申告も、簡単に行えます。中小企業の経理・会計を自動化し、時間を削減。消費税増税やマイナンバー制度など税制・法制改正に無料で自動対応するから安心

「中小企業の〜」と記載がある通り、中小企業(法人)をターゲットにしていることがわかります。

では次にマネーフォワード。

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<title>
バックオフィスの業務効率化なら「マネーフォワード クラウド」
<keyword>
なし
<description>
1ヶ月無料で使える「会計事務所が顧問先に勧めたいクラウド会計ソフトNo.1」のマネーフォワードクラウド。自動アップデートで軽減税率や働き方改革にも対応。個人事業主の確定申告から中小企業バックオフィスの経理労務業務まで、自動化で業務効率アップ。

マネーフォワードは、法人だけでなく個人も取り込もうとしているのかと思いきや、サービス設計上クラウド会計は法人のみの対応でした。
※個人事業主は確定申告の訴求でした。

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ということで、ここからは法人向けのクラウド会計に絞り込みます。

STP分析:ターゲットとポジショニングの整理

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freeeは「スモールビジネスを世界の主役に」をミッションとして掲げていることもあり、スモールビジネス事業主を対象としています。
(事業としては個人事業主も対象のため、ターゲットには入れてます)

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※titleやdescriptionや公式HPから2社のポジショニングを判断。

4P分析:マーケティングミクスで全体像整理

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freeeはスモールビジネスの経営者がユーザーではあるものの、経営者に対してヒアリングを行っていくと、「アドバイザーとして、会計のプロフェッショナルの支援はとても重要だ」という話が多くあったため、ユーザーにfreeeの価値をさらに届けるために、パートナーである税理士や会計士にもfreeeのプロダクトや想いを届けることが必要だと考えたことが背景にある。 

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マネーフォワードとの4P比較では、promotion方法に違いがあることがわかった。freeeは税理士・会計士に対するコミュニティーマーケティングの実施により地道に啓蒙活動してきた結果、今のシェアNo1を獲得してきたと考えられる。

もし自分がfreeeのCMOだったら?

お題は

もし自分がCMOだったら、財務省がクラウド会計導入推進している中、競合他社とどのような差別化をはかり、売上を最大化するためにどんな戦略を立て実行するか?

と設定しました。また法人顧客をターゲットとして考えた場合の打ち手は

フリーランス(個人事業主)に対してもコミュニティーマーケティングを行う

理由は2つあります。

①フリーランスになりたての頃、開業し始めの頃は会計や確定申告などを行う際に何を使えば良いかわからない。

→誰かに聞く、自分で調べるケースが多いのではないでしょうか。。
(友人や僕個人としても聞いたり調べたりしました)

②未来の法人顧客として、今から啓蒙活動を行っておく。

→開廃業数が多い個人事業主ではありますが、事業所得が一定以上(500万位)超えたあたりから法人成りする方が節税メリットがあるため。

個人事業主の数が増えている現状は放っておけないものの、サポート体制は限られる。ただ、中には法人成りする個人事業主も一定数存在するはずなので、そこを狙いたい。

そのためにも、freeeとして事業所得が一定以上ある個人事業主に絞ってアプローチしコミュニティ形成の働きかけを行う

個人事業主に対して、freeeを紹介すれば紹介メリットの特典を付与(例えば無料月を2ヶ月にするとか、料金を数%割引するとか。。。)すれば、アプローチした個人事業主経由のコミュニティ内でも拡散する可能性も高まる

と、今回のマーケティングトレースは以上です!

世間を賑わしていた企業で、なんとなくサービスを知ってはいましたが、今回の取り組みを機に色々分かってきたので選定して良かったです。

が、分析や打ち手、伝え方など改善点も多くあると思うので、読んでいただいた方は何かしらFBいただけると、とても喜びます!


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