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『ダラス』(1950年・ワーナー・スチュワート・ヘイスラー)

6月7日(火)の娯楽映画研究所シアターは、ゲイリー・クーパー主演の西部劇『ダラス』(1950年・ワーナー・スチュワート・ヘイスラー)をアマプラからスクリーン投影。

これは面白かった。戦後、ハリウッド映画はGHQのCIE管理下のセントラル・モーション・ピクチャーが配給していたが、昭和26(1951)年、講和条約を前に、各メジャー会社の日本支社へと配給が切り替わっていく。これはワーナー・ブラザース日本支社再開の第一回作品。

南北戦争後のテキサスに、北軍の勇士でボストンの坊ちゃん・マーティン・ウェザビー(リーフ・エリクソン)が連邦保安官に任命されてダラスへ赴任する。スペイン人の牧場主・フェリペ(アントニオ・モレノ)の娘で婚約者のトニア(ルース・ローマン)を守ろうと意気軒高。

ダラスでは、無法者のブライアン(スティーブ・コクラン)と兄・ウィル(レイモンド・マッセイ)のマーロー兄弟がやりたい放題。マーティンは彼らを逮捕すべく、途中、伝説の保安官・ワイルド・ビル・ヒコック(リード・ハドレー)に声をかけるも断られる。代わりにマーロー兄弟退治に名乗りをあげたのが、南軍の勇者で今はお尋ね者のブレイド・ホリスター(ゲイリー・クーパー)だった。

ブレイドは、銃の腕前も心許ないマーティンを名乗って、マーティンを弟に仕立てダラスへ乗り込み保安官となる。果たして、マーロー兄弟とその一味を一掃できるのか?

すでにベテランのハリウッド・スターだったゲイリー・クーパーをフィーチャーしてのタフガイ西部劇としてもお見事。アクション、またアクション。一筋縄ではいかない展開。お尋ね者が身分を隠して保安官として活躍していく面白さ。しかもマーティンの婚約者・トニアは、彼に惚れてしまい、三角関係となる。連邦保安官とお尋ね者のコンビが、本当の悪に戦いを挑む。ラストはもちろん胸がすく展開なのだが、スチュワート・ヘイスラーの演出は西部劇のツボを押さえていて、小気味がいい。

ヒロインのルース・ローマンといえば、アルフレッド・ヒッチコックの『見知らぬ乗客』(1953年・ワーナー)のヒロインを思い出すが、クーパーとは2年前の『善人サム』(1949年・RKO)でも共演。息を呑むほど美しい!


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