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「P.C.L.映画の時代」(仮) この秋、刊行!

 子供の頃から「明るく楽しい東宝映画」が好きでした。「ゴジラ」映画などの東宝特撮映画、加山雄三さんの「若大将シリーズ」、植木等さんの「クレージー映画」、森繁久彌さんの「社長シリーズ」。幼き日、映画館や週末夕方のテレビ放映で観た東宝娯楽映画が、僕の映画ファン人生の始まりとなりました。

 その「東宝カラー」の原点は、1933(昭和8)年の『音楽喜劇 ほろよひ人生』(木村荘十二)に始まるP.C.L.寫眞化学研究所が生み出したモダンな音楽映画、コメディ、都会派ドラマの数々。戦前の東京風景やモダンガール、モダンボーイたちのハイセンスを味わい、映画に初進出したエノケンの『青春酔虎傳』(1934年・山本嘉次郎)や、古川ロッパの『歌ふ弥次喜多』(1936年・伏水修、岡田敬)、エンタツ・アチャコの『あきれた連中』(同年・岡田敬)などの伝説の喜劇人の映画などなど。

 二十代の頃から、戦前のモダン喜劇に惹かれましたが、なかなか観る機会がなく、なんとしても「観たい!」という思いで娯楽映画研究家を続けてきました。二十数年前、CSで映画チャンネルが立ち上がり、戦前作品も気軽に観られるようになりました。というわけで、この四半世紀、戦前映画を観続けてきましたが、配信時代になり、こうした作品はなかなか観るチャンスがなくなってきました。

 コロナ禍で始めたこのnoteは、依頼原稿ではく「書いておきたい映画」についての詳説をアップし続けてきました。P.C.L.映画についても、エノケン、ロッパ、エンタツ・アチャコ、成瀬巳喜男作品などもアップしてきました。それを一冊にまとめようと思っていたところ「是非!」と申し出てくださる編集者、出版社があり、ならばと、1933(昭和8)年から、東宝映画設立の1937(昭和12)年末までに封切られた111本のほとんどを公開順に詳説、前代未聞の「映画を語る」書籍となりました。原稿用紙にして1480枚となしました。かなりのヴォリュームです。

うちDVD化されているのは20本しかありません。配信や放送でも観る機会がほとんどありません。だからこそ「観れないからこそ語る」映画本を執筆しました。

 正式な書名、出版社、価格などは、情報解禁となったらご報告します。どうぞ宜しくお願いします。

Kindleに入れた「P.C.L.映画の時代」を読み込んでいて、既視感。なんだろうと思ったら、中学生の時に繰り返し読んだ「大特撮」(コロッサス篇 有文社)だった。

まだ観ぬ、いや観られないかも知れない「特撮映画」を、熱い筆致でぼくたちに伝えてくれた。幸い、その後、「大特撮」で取り上げられた映画の数々を、僕たちは観ることができ、今ではソフト化されている。

本としての役割は果たし終えたのかもしれないが、あの熱い文章を貪るように読み「どんな映画だろう?」とイマジネーションを膨らませた。

「P.C.L.映画の時代」では円谷英二監督のアーリーディズについても、「百万人の合唱」「かぐや姫」「新しき土」で詳述。長谷川一夫の「顔斬り」事件の項にも円谷英二監督は登場する。

10代の頃から、観たくて、観たくてたまらなかった。エノケン、ロッパ、エンタツ・アチャコ映画も、ニッポン・ミュージカルとハリウッド映画、ジャズとの相関についても筆が走りまくっている。

原節子、千葉早智子、霧立のぼる、伏見信子などのアクトレスについてもキャリアについて書いている。

木村荘十二、山本嘉次郎、成瀬巳喜男、矢倉茂雄、伏水修監督のモダニズムについても詳述。

そして1930年代の銀座、東京風景、建築、隅田川の復興橋などの情景についても!

また、ネットやデータベース、書籍では知り得ることが出来ない、映画の主題歌、挿入歌、ミュージカルナンバーも網羅。

配役、ストーリー、展開、オチも含めて原稿で再現。二度と観るチャンスがないかも知れないので、意味ある「ネタバレ」もしてます。

というわけで、価格も高めになるかと思いますが、二度とこういうチャンスがないので、刊行の暁には、何卒宜しくお願いします。

よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。