娯楽映画研究所ダイアリー 2022年5月9日(月)〜5月15日(日)
月曜更新!今回は映画評論家・佐藤忠男先生について、切通理作さんと語り合っています。
【佐藤利明の娯楽映画研究所】「佐藤忠男さんを語る」
5月9日(月)『ラヂオは笑ふ』(1932年10月14日米公開・パラマウント・フランク・タトル)・『だまされて貰います』(1971年4月29日・渡辺プロ・坪島孝)
ハリウッド・ミュージカル史縦断研究。パラマウント名物「大放送」シリーズ第一弾。一度もソフト化されていないので8000文字ほど微細に詳説しました。ビング・クロスビー「プリーズ」が素晴らしい!名手・エディ・ラングのギターも! キャブ・キャロウェイの「ミニー・ザ・ムーチャー」のかっこよさ!『ラヂオは笑ふ』(1932年10月14日米公開・パラマウント・フランク・タトル)
ハワイ→ニューヨーク→ラスベガス→ネバダ砂漠ロケを敢行!最後の「クレージー作戦」シリーズとなった「だまされて貰います」考察。深夜の娯楽映画研究所シアターは、東宝クレージー映画全30作(プラスα)連続視聴。
29『だまされて貰います』(1971年4月29日・渡辺プロ・坪島孝)
5月9日(月)は、昭和46(1971)年のゴールデンウィークに公開された久々の海外ロケーションによるクレイジーキャッツのメンバー全員出演による「クレージー作戦」シリーズ最終作『だまされて貰います』(1971年)をスクリーン投影。製作は渡辺プロダクション。製作協力に、プロデューサー、脚本でもある田波靖男さんのジャック・プロダクションと近代放映株式会社。後者は昭和44(1969)年、元日活撮影所・製作部長の青木藤吉さんが創設した制作会社。『銭ゲバ』(1970年10月31日・和田嘉訓)から東宝配給作品を製作していた。おそらくセット撮影や海外ロケーション実務などを担当していたと思われる。
5月10日(火)『コーダ 愛のうた』(2021年・シアン・ヘダー)・『1936年の大放送』(1935年)・『日本一のショック男』(1971年12月31日・渡辺プロ・坪島孝)
今朝の浅草。朝から歯科医へ。クリーニング後、日比谷へ。これから上映終了間近の「コーダ 愛のうた」をTOHOシネマズ日比谷で観ます。
なんと気持ちの良い映画なのだろう。家族の映画であり、優れた青春映画であり、師弟の映画であり、最高の音楽映画。やっぱり「青春の光と影」のところで泣いてしまう。
娯楽映画研究所シアター・ミュージカル部門。昨夜は「ラヂオは笑ふ」(1932年)。今宵は「1936年の大放送」(1935年)をスクリーン投影。つまりパラマウントの”BIG BROADCAST”シリーズを連続視聴中。
深夜の娯楽映画研究所シアターは、東宝クレージー映画全30作(プラスα)連続視聴。30『日本一のショック男』(1971年12月31日・渡辺プロ・坪島孝)。「クレイジーキャッツの音楽史」講座に合わせて、思い立って始めた東宝映画クレージー映画連続視聴。これでメインストリームの30作目となる『日本一のショック男』(1971年12月31日・坪島孝)をスクリーン投影。前年の『日本一のヤクザ男』(古澤憲吾)から、渡辺プロダクション単独製作、東宝配給となったクレージー映画もこれが最終作となった。シリーズとしても、昭和38(1963)年の『日本一の色男』(古澤憲吾)から数えて10作目となる。時代は高度経済成長から低成長時代、オイルショックの時代へと大きく変化してきた。その無責任男の変容を、この1ヶ月、公開順に検証してきた。
5月11日(水)「豹/ジャガー」(1968年・セルジオ・コルブッチ)
早乙女勝元さんにはラジオ「みんなの寅さん」の御縁で、柴又帝釈天での平和を考えるトークをご一緒したり、本当にお世話になりました。ありがとうございます。ご冥福をお祈りします。
早乙女勝元さんと山田洋次監督。「明日をつくる少女」(1958年・井上和男)の縁で、「下町の太陽」(1963年)の脚本作りに早乙女さんが協力。その時、高砂在住の早乙女さんが、柴又の高木屋老舗に山田監督を案内。寅さんの故郷が柴又になったのです。
早乙女勝元さんは、下町の町工場を舞台にした「美しい橋」「ハモニカ工場」などの美しい青春小説を執筆。それが「二人だけの橋」や「明日をつくる少女」として映画化。日本映画界に「町工場もの」というジャンルが生まれました。吉永小百合さんの青春映画が下町を舞台にしていたのはその影響です。
この前、Netflixでセルジオ・コルブッチのドキュメンタリーを観て、久しぶりに血が騒いだので、コルブッチといえばの快作「豹/ジャガー」(1968年)のDVDを棚から出してきてスクリーン投影。
メキシコを舞台に、凄腕のジャガー(フランコ・ネロ)と、革命を夢見る盗賊・パコ(トニー・ムサンテ)の友情と裏切り、そしてまた友情を確かめ合う。二人の命を狙う非道なカーリー(ジャック・パランス)、そして二人を愛するメキシコ女性のコロンバ(ジョヴァンナ・ラッリ)。
エンニオ・モリコーネの音楽と、痛快な展開に酔いしれる107分。
マカロニ・ウエスタン数あれど、小学生の頃、木曜洋画劇場で観て、かなり痺れた映画。やっぱり、面白かった!
5月12日(木)『ガンマン大連合』(1970年・伊・西独・西・セルジオ・コルブッチ)・『奇々怪々 俺は誰だ?!』(1969年9月27日・東宝・坪島孝)
明日が待ちきれないので、今夜はコルブッチの『ガンマン大連合』(1970年)を観てから、「科特隊出撃せよ」→「電光石火作戦」→「遊星から来た兄弟」→「禁じられた言葉」をBlu-rayでスクリーン投影する覚悟でおります。
Netflixで『ジャンゴ&ジャンゴ:コルブッチとマカロニ西部劇のレガシー』を観て大興奮、そこで久々、コルブッチのマカロニ・ウエスタンの世界へ! 少年時代の体験を含めて書きました。
『奇々怪々 俺は誰だ?!』(1969年9月27日・東宝・坪島孝)
深夜の娯楽映画研究所シアターは、東宝クレージー映画全30作視聴、いよいよプラスαへ突入。まずは谷啓さんと坪島孝さんの「やりたいことを、やりたいように」映画にした不条理SFの傑作『奇々怪々 俺は誰だ?!』(1969年9月27日・東宝)。坪島孝監督は、前年のゴールデンウィーク大作『クレージーメキシコ大作戦』(1968年4月27日)以来の谷啓さんとのコンビ作、ということになるが、これはクレージー映画にはカウントされていない(主観的な問題だけど、ずっとそうなっている)。が、ぼくの中では『クレージーだよ奇想天外』と並ぶ谷啓さん主演の傑作SF(こちらは不条理だけど)である。
5月13日(金)『シン・ウルトラマン』(2022年・東宝・樋口真嗣)・「タブレット純20周年リサイタル」
幼き日「長篇怪獣映画ウルトラマン」を観た日比谷で、待望久し「シン・ウルトラマン」を観ます。あの時は千代田劇場、今日はTOHOシネマズ日比谷。
日比谷に到着。いきなりS学館のMさんと、グッズ売り場で遭遇。ロビーにいるだけで旧知の方々に会う率高し。これからIMAXで「シン・ウルトラマン」。
「シン・ウルトラマン」
知恵とチカラと勇気の空想科学映画でした。
何を言ってもネタバレにあるので、ひとこと。
「ありがとう!!」
「シン・ウルトラマン」を観ながら「クレージーだよ奇想天外」(1966年・坪島孝)を思い出していました。谷啓さんのミステイクセブンこそ、プレ初代マンだったのではないかと。
「シン・ウルトマン」観終わって出てきたら、T社の友人が待っていてくれて、そのままオフィスへ。たっぷり感想を語り合いました。なのでネタバレ書き込み防止になりました^_^
中野ZERO小ホールで「タブレット純リサイタル」。大盛況!よくぞここまで来たと、不肖の兄貴分としては、この晴れ舞台に感無量。なんと影アナを徳光和夫さんが!
第一部は、ジュンマキ堂のバッキングで、チンドンサウンドで股旅歌謡など。圧巻は歌謡浪曲「俵星玄蕃」
三波春夫先生の大作を、よくぞマスター
ハラハラしながら^_^ いやいや圧巻
まさるちゃんのアコーディオンのサポートも見事
第二部は、五木ひろしさんの演奏をつとめているバイオリニストとのユニット「ホッピー姉妹」として、「長良川艶歌」やオリジナルの「わたしとラジオ」など。続いてGSコーナー。「クールな恋」「エメラルドの伝説」「君だけに愛を」「たどりついたらいつも雨降り」を熱唱。
ムード歌謡&ジャズソングコーナーでは「ゴッドファーザー愛のテーマ」「ムーンリバー」。フランク永井さんの「好き好き好き」「16トン」で、「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」など。最後は新曲「七色のブルース」「百日紅」。全ミュージシャン集結して、タブレット純が最近レッスンしているバンジョー演奏で大団円! お見事でした!
アンコールはまさるちゃんのピアノで、マヒナスターズの「泣かないで」。タブレット純20周年にふさわしい構成。トークや着替えのグダグダ感も健在で、ステージの完成度とのアンバランスこそ、タブレット純の最大の味であり、魅力であると得心しました。
5月14日(土)『さすらいのガンマン』(1966年・セルジオ・コルブッチ)・『喜劇 泥棒大家族 天下を盗る』(1972年10月28日・渡辺プロ・坪島孝)
一夜明けて「シン・ウルトラマン」の興奮が冷めやらない。この感覚は「スタートレック」の新作や、MCUの新作を観る時の熱量をと同じである。
2022年、人類は初めて「ウルトラマン」という銀色の巨人に出会う。つまり「ウルトラマン」のいない世界に生きてきたわけで、それこそマルチバース体験に他ならない。「ホワット・イフ?」の世界なのである(当たり前だけど)。
だけど、効果音、飛び人形、BGMなどが、オリジナル世代の初代マン体験を刺激して、それだけでたまらないしね。
ああ、まだ何を言ってもネタバレになるか・・・
シン・ウルトラマンと(シン・)ネロンガ、(シン・)ガボラ戦は、古谷敏さんが中島春雄さんと対決! これだってマルチバース!
しばらくは、何度か「おかわり」して、落ち着いたところで「総括」しないといけませんなぁ。
阿佐ヶ谷ネオ書房で「佐藤利明の娯楽映画研究所」収録。おかげさまで3年目に突入しました。「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」「シン・ウルトラマン」「その場所に女ありて」「日本一のショック男」などなどについて語りました
セルジオ・コルブッチ監督、バート・レイノルズ主演「さすらいのガンマン」(1966年)は、イタリア西部劇とは思えないほど、アメリカ映画のような傑作。レイノルズのしなやかな肉体のアクションに惚れ惚れ。ネイティブの物語としても秀逸。日本なら間違いなく佐藤允さんが似合う役!
深夜の娯楽映画研究所シアターは、東宝クレージー映画全30作(プラスα)連続視聴。5月14日(土)は、『喜劇 泥棒大家族 天下を盗る』(1972年10月28日・渡辺プロ・坪島孝)をスクリーン投影。これも、後期クレージー映画同様、渡辺プロダクション作品で、未ソフト化である。クレージー映画最終作となった『日本一のショック男』(1971年12月31日・坪島孝)から10ヶ月後、昭和47(1972)年のゴールデンウィーク、東宝創立40周年記念作品として製作公開された。
5月15日(日)『続・荒野の用心棒』(1966年・セルジオ・コルブッチ)・『シエラ・デ・子ブレの幽霊』(1964年)・『喜劇 負けてたまるか!』(1970年6月13日・東宝=渡辺プロ・坪島孝)
今宵の娯楽映画研究所シアターは、日曜洋画劇場ということでセルジオ・コルブッチ監督『続・荒野の用心棒』(1966年)を吹替版で、フランコ・ネロ=小林清志さん版で。見事なヴァイオレンス、見事なアクション、見事な構成、これぞマカロニ・ウエスタン。小学生が観るものではないかもしれないけど、小学生の時に観ることができて良かった。ラストの墓場での満身創痍の戦いは、まさにプロフェッショナル! やっぱりジャンゴ!カッコいいぜ!
続いても日曜洋画劇場。世界一怖いホラー映画『シエラ・デ・コブレの幽霊』(1964年)を、初の字幕版(アマプラ)で! マーチン・ランドーの建築家=超常現象の専門家が取り組む怪奇、恐怖、戦慄の幽霊案件。げに恐ろしいのは人間の業。幽霊のヴィジュアル・ショックは初見の時ほどではなく、むしろ微笑ましいけど、ヒッチコック劇場のようなテイストでやっぱり面白い。よくぞ配信してくれた! 米版DVDを持っているが字幕(かなり稚拙な訳だけど)で観ると色々再発見。
で3本目は、東宝クレージー映画プラスα、『日本一のヤクザ男』の併映、谷啓さん主演、野坂昭如さん原作『喜劇 負けてたまるか!』(1970年・坪島孝)。これはかなりの傑作。タイトルが弱いけど、谷啓さんと坪島孝監督による、戦後マスコミ史としても秀逸。おそらく『日本一の裏切り男』(1968年)と対になるクレージー現代史! ヒロインの浜美枝さんが抜群にいい! これは改めて分析いたします。後半、谷啓さんがサングラスで、なんちゃって野坂昭如先生になるのは「シェラ・デ・コブレの幽霊」以上のヴィジュアル!(笑)萩原哲晶さん作曲による主題歌「水虫魂」も最高
『喜劇 負けてたまるか!』(1970年6月13日・東宝=渡辺プロ・坪島孝)
深夜の娯楽映画研究所シアターは、東宝クレージー映画全30作(プラスα)連続視聴。プラスα作品として、1970年6月13日『日本一のヤクザ男』(古澤憲吾)と二本立て公開された、谷啓さん主演『喜劇 負けてたまるか!』(坪島孝)をスクリーン投影。久しぶりに見直して、これは面白かった。坪島監督&田波靖男脚本+谷啓さんらしい「被虐的主人公による戦後マスコミ史」ともいうべき快作。原作は野坂昭如さんの自伝的小説「水虫魂」。
よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。