『男は度胸』(1937年・PCL・原作・脚色・演出・渡辺邦男)
J.O.スタヂオとP.C.L.映画製作所 初の協同作品、岡譲二主演『男は度胸』(1937年・原作・脚色・演出・渡辺邦男)を色々と面白く観た。
P.C.L.からは岡譲二、滝澤修、小杉義男、堤眞佐子、伊達里子、英百合子、J・Oからは山田好良、深見泰三、冬木京三、石川冷、五條寛子、常盤操子と、それぞれの専属俳優が出演。
岡譲二主演なので、青春熱血活劇なのだが、主人公・村田健三(岡譲二)のが青年科学者。その師匠が、国家のために窒素の研究をしている殿村博士(滝澤修)。健三の婚約者は、殿村博士の娘・鈴子(堤眞佐子)で、家庭を顧みないワーカホリックの殿村博士に泣かされている母(英百合子)の悲劇は繰り返すまじと、愛情優先の家庭を築く決意をしている。
で、有閑マダムとなっている鈴子の母は、鈴子とともに小唄の師匠(伊達里子)に稽古をつけてもらったり、贅沢三昧。で、この小唄の師匠が実は、国際スパイ団の手先で、ボス・須永(小杉義男)に命ぜられて、殿村博士の研究を盗み出すために暗躍。
研究を完成させなければ、日本の損失になるからと、師匠は健三を誘惑したり、須永は酒場でチンピラたちに健三を襲わせるも、熱血漢の健三は逆にチンピラたちをノシてしまう。
ところが出入りの植木屋(石川冷)から、健三の武勇伝を聞いた殿村博士は、国家に仕える研究者にあるまじき行為と激怒。健三を離縁してしまう。国際スパイ団にとって千載一遇のチャンスとなり、殿村博士は実験中の事故で負傷。瀕死となってしまう。
とまあ、この頃のPCLやJOには珍しい娯楽活劇で、ステレオタイプの人物たちの物語は、格好の見せ物。滝澤修の老けメイクはさすがで、マッドサイエンティスト風でもあり、その実験室のイメージは、ジェームス・ホエール監督『フランケンシュタイン』(1931年)的でワクワクする。
岡譲二は、他の映画同様のタフガイで、喧嘩は強い、正義感は誰にも負けない。何にも考えてなさそうな筋肉脳のタイプだけど優秀な科学者というのが特撮ヒーローもののようで楽しい。
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