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クレイジー音楽大全 クレイジーキャッツ・サウンド・クロニクル

1961年8月20日、ハナ肇とクレイジーキャッツ、そして植木等さんにとってデビューシングル「スーダラ節」が東芝レコードから発売されました。その二ヶ月前に、日本テレビで「シャボン玉ホリデー」がスタート。クレイジーキャッツの黄金時代が幕開けをして、翌、1962年には東宝映画『ニッポン無責任時代』が封切られ、文字通り、無責任ブームが高度成長のニッポンを席巻しました。

僕は1997年、町田心乱、鈴木啓之の両氏と「クレージー映画大全 無責任グラフィティ」(フィルムアート社)をまとめ、1998年には「植木等ショー!クレージーTV大全」(洋泉社)を上梓させて頂き、2013年には犬塚弘さんと「最後のクレイジー 犬塚弘 ホンダラ一代、ここにあり!」を書かせて頂きました。これを「クレイジー三部作」とし、もうクレイジーキャッツの本は出すことはないだろう、と思っていました。

2017年秋、四国放送のラジオ番組「日曜懐メロ大全集」で「ハナ肇とクレイジーキャッツ特集」が放送された時、僕は東京から電話でゲスト出演させて頂きました。スタジオにはパーソナリティの梅津龍太郎さん、岩瀬弥栄子さん、そして以前からクレイジー・ファンの先輩としておつきあいさせて頂いている、当時徳島経済研究所に在籍されていた田村耕一さんがおられ、いつものように楽しく、クレイジーソングのあれこれをご紹介しながら、お話をしていました。田村さんは、1970年代後半、クレージーキャッツ・ファンクラブとして、富樫直人さん、岡本恒雄さんとともに、ファン冊子を制作されていた、僕らの大先輩です。

番組の中で、その田村さんから「次は、クレイジー音楽大全を頼みます」と言われて、「じゃ、やりましょう」。その一言から出版企b画となりました。昨年秋は「植木等とのぼせもん」で、クレイジーキャッツと植木等さんが再び注目を集めており、それなら「いっちょブワーッと行くか!」と動き出し、シンコーミュージック・エンタテインメントの編集者との出会いがあり、企画が一挙に現実化しました。

シンコーミュージックの先代社長は草野昌一さん。僕らにとっては外国ポップスを日本語にした偉人・漣健児さんでもあります。その弟さんは、草野浩二さん。つまり東芝レコードの若きディレクターとして「スーダラ節」の現場に立ち会われた偉人です。その草野さんの会社から「クレイジー音楽大全」を出させて頂くことは、意義のあることだと、思い、企画書をまとめて提案しました。

発売日は「スーダラ節」記念日である8月20日にしよう。こうして「クレイジー音楽大全 クレイジーキャッツ・サウンド・クロニクル」が刊行されることになりました。

カラーページで、全てのレコード、アルバム、CDを紹介したい。さらにはこれまでの本では紹介しきれなかった日劇、東京宝塚劇場、梅田コマスタジアムでの公演パンフレットもなるべく多く掲載したい。マニアならではのこだわりで、巻頭80ページのカラーが実現しました。

「スーダラ節」がリリースされたのは、クレイジーの前身であるハナ肇とキューバンキャッツが結成された1955年から6年経ってから、植木等さんとハナ肇さんが出会ったのはさらに遡ること15年前、1946(昭和21)年のことです。


「クレイジー音楽大全」というからには、クレイジーキャッツ七人、それぞれの1945(昭和20)年8月15日から始めて、彼らがどうやって出会って、クレイジーキャッツになって行ったのかを辿ってみようと、思いました。

ディスクユニオンのサイトで原田和典さんの「JAZZ徒然草」でインタビューをして頂きました。この本への僕の思いがまとめられております。

http://diskunion.net/jazz/ct/news/article/6/76089?dss_mode=pc

本文概要です。

第一章 それはジャズ・ブームから始まった
・焼け跡と七人のネコたち
・植木等とハナ肇、運命の出会い
・クレイジーキャッツ、メンバーのジャズと青春
・フランキー堺とシティ・スリッカーズ
・渡辺プロダクション発足、ハナ肇とキューバン・キャッツ結成

第二章 クレイジーキャッツ伝説の始まりと、テレビの黄金時代
・キューバン・キャッツからクレイジーキャッツへ
・ハナ肇とクレイジーキャッツ、本格始動
・ジャズ喫茶のクレイジー
・おとなの漫画
・幻のテレビ番組「どら猫キャプテン顛末記」

第三章 スーダラ節と高度経済成長
・映画の音楽コントへの挑戦
・シャボン玉ホリデー
・作曲家・萩原哲晶
・「スーダラ節」誕生!
・東宝クレージー映画のスタート

第四章 クレイジーキャッツ・サウンド・クロニクル
・レコード、舞台、映画主題歌・挿入歌、クレイジー作品完全詳細解説
・昭和38年(1963)から平成18年(2006)にかけての全てのレコードセッション、映画、主な舞台の楽曲を徹底的に紹介

この本を刊行してから2年、NHK名古屋支局の女性ディレクターが、本書を手にして下さり、企画実現したのが、2020年7月1日放映「歴史秘話ヒストリア スーダラ節が生まれた」でした。

クレイジーキャッツの魅力を、こうして次の世代にバトンタッチすることが出来たこと、長年のファンとして、こんなに嬉しいことはありません!

クレイジー音楽大全 クレイジーキャッツ・サウンド・クロニクル 




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