心の傷VOL-5

大学生の時、いくつかのアルバイトをした。スーパー、イタリアンレストラン、カルテの整理、荷物運び、そして株式会社諏訪商店。
1番面白かったのが諏訪商店、一番辛かったのも諏訪商店
1番モチベーションが低かったのが、イタメシ。
どっちの話からしようか?やっぱりイタメシから。ここの店長がなんか好きになれない。私は、まだ上司に左右されてしまう力のない男だったし、何も知らなかった。パルメザンチーズも知らなかったのだよ。私は心の中で「パスタっていうな!スパゲティーだろ!しかもなんでパスタは色々な形があるのだ!ミートソースとナポリタンで十分だ。」って思っていたよ。イタリアンなんてまったく興味なし。だからなのか?あまり教えてくれないし、お前はバイトだろ!みたいな扱い。だからまるっきりやる気なし。勉強、スポーツ、仕事、いろんな場面があるけど、人生で一番やる気のないひとコマだった。                                しかも、今だから告白すると、店長に「お前はクビだ❗️来なくていい❗️」と言われたのだよ。そう!なんと私は解雇されたことがあるのだ!                                原因は、寝坊。前の日、人生で最初で最後のオーナイトをしてしまった。寝ないと死んでしまうと思っていた私がオールナイトをしてしまったので、とにかく寝なくてはならない。そして電話がかかってきて目覚めた。バイトなんてすっかり忘れていたし、今は寝る。絶対に寝る。でも人として一応電話にでた。そして、今日は休むと伝えると、さっきのフレーズ

「お前はクビだ❗️来なくていい❗️」

これはもう完全に私が悪い。心の傷だ。本当に私は人間ができていなかった。サブリーダの方が、何度か家に来た。もう一度復職しろと言う。そんなのまっぴらごめんだ!でもそれ以来徹夜はしたことない。

諏訪商店でのアルバイトは楽しかった。大学生は長期の休みがある。夏休みと春休み。そして、冬は短いけど冬休み。その度に諏訪商店でアルバイトした。楽しかったのは、仕事そのもの。中小企業診断士で勉強していることがリアルでわかるし、父にもたくさんいろんなことを聞いた。注文をとり、荷物を集め、伝票を書いて配送する。ちょうどお得意先様に大手コンサルティングファームが入っていてその資料をもらったり、父に就業規則を作ってくれと言われ、作ったり、給与規程もつくって賃金表まで作った。いろんな先輩たちと周り、いろんなことを教わり、最終的に私は諏訪商店のお得意先様ほぼ全てを回れるようになっていたと思う。そんなやつ諏訪商店には私しかいなかったのだよ。そして、辛かったことは、やはり社長の息子だから、ここぞとばかりに会社に対する不満や社長に対する不満をダイレクトに私に言ってくるんだ。身内の悪口はやっぱり嫌だよ。そんな大人たちに大きな不信感を抱くよ。そのころ諏訪商店を全員辞めてしまう夢をみて寝汗でびちょびちょになって起きることがしばしばあった。俺まだ大学生だぜ。かわいそうな俺。完全に心に傷ができる。

同じ時期、先にも書いたけど、中小企業診断士を勉強している時、多くの多くの大人と付き合うようになってもいた。いろんな大人がいるんだなーと思ったよ。よーーーく大人を見極めるようになった。やはり何かを成し遂げる人、夢に突き進んでいる大人たちは主語が自分であり、行動も自ら起こしている。「私は、こう思うから、こうやった。」という感じ。と同時に、なんとなくいけてない大人たちは、「あいつは、こうだからダメなんだ」と主語が自分ではない。大学生という多感なときに、いろいろな大人たちと付き合えたことは本当に貴重な経験だったとも思う。いけてたのは、父を含めた諏訪商店の役員の人たちと数人の社員の方々、あと中小企業診断士を勉強しているときに出会った方々。で、感じたのは能力が高いとか、優秀とかはもちろん必要だけど、気持ちのあり方で人生はどうにでもなるなと思ったよ。

そして、傷は癒えるということ。心の傷は、体にできた傷と同じで、跡形もなく治ることもあるし、傷が残ることもある。傷が残った場所は皮膚が厚くなる。骨が折れた場合は、骨が太くなる。次への耐性ができる。だから、負った傷が多いほど、強くなれるのかもしれない。でもそれは、傷を治せなかったら厄介だ。諏訪商店に入社まであと2年。

ここでの教訓はこうだ!

「どんなに嫌なことからも学ぶことはある。どんなに嫌なことからもだ。未来にそれが生きてくるんだ。心の傷は皮膚の傷と同じで厚くなる。少しづつ和らぎ耐性ができるよ」



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