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写真と日常 #12 【ライフワーク】

(ライフワーク)

 地元の美術館で開催されている写真展に行きました。
この写真展は知り合いの写真家の個展なのですが、そこには顔を見知った写真仲間が既に大勢いらっしゃいました。
 あちらこちらで写真談議に花が咲いておりましたが、写真仲間というのは同志でもあり、ライバルでもあるという関係性が常に付き纏うようです。私は写真を撮る楽しさを最優先にしたいので、どのグループにも属さないお気楽な写真人生であります。
 今回の個展を開催されている写真家には、既に亡くなられた師匠がいたそうです。生前に写真を志す者として、どうすれば満足な写真人生を送れるかを質問してみたとのこと。師匠いわく『自分は生涯かけてこれを撮って行きたい、というものを見つけることだ』と答えたそうです。
 端折りますが、彼は数年間自問自答の旅をし、あるダム湖に水没する予定の茅葺屋根の集落に辿り着き、ここを撮りたいと願い、住人達に受け入れてもらえるまで何年も通いつめ、ひたすらコミュニケーションをとり、ようやく撮影許可を頂くことが出来たとのこと。
 この水没する集落を撮ることを手始めに、他の寒村地域の集落の暮らしぶりを精力的に次々に撮影して行くのです。
 今回の個展はその長年にわたり撮りためて来た集大成の写真展でした。
遠方からの来館者も多く、大盛況の写真展になっておりました。
 一枚の写真の前でじっと佇んで動かない人、涙する人、感動しましたと告げて帰られる人。同じような寒村の田舎で育った私もつい貰い泣きです。
 そうです、この個展の写真家はほとんどが田舎の原風景と人々の暮らしぶりをフィルムカメラで克明に撮り続けて来られた方なのです。
 私は帰り際に「幸せな写真人生ですね、羨ましいです」と挨拶させて頂き美術館を後にしました。


canon s90


pentax k-7  +  ricoh xr rikenon 50mm f2.0 


pentax k-7  +  tamron 35-70mm f3.5 cf macro (17a)

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