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米国のコロナ死亡者「50万人越え」のインパクト

米国での新型コロナウイルス関連の死亡者数が、50万人を突破した。このニュースを耳にした方は多いのではないかと思う。

では今回は、この数字が何を意味するを整理してみたい。

世界のコロナ死者数の5人に1人はアメリカ

 世界がコロナ禍で一変して約一年がたった現在、世界中でのコロナ関連死者数の合計は250万人に達している。

つまり、米国での50万人越えは、全死者数の約20%、世界でコロナで死亡した人々の5人に1人は米国で発生していること意味する。

アメリカの人口が世界の総人口に占める割合はわずか4%ほどなので、米国での死亡者数の比率は、人口比で見てもかなり高いことがわかる。

先進国の代表格である米国において、なぜこれほど死亡者数が多く、人口に対する死者数の比率が高いのだろうか?

正直、私は専門家ではないので、この答えはわからない。しかしながら、米国と日本の両国に住んだことのある自分自身の経験を元に推測すれば、

米国には、

手洗い、うがいの習慣がほぼ皆無
マスクに対する嫌悪感、違和感がもともと強い(これは欧米圏で共通するが、マスクは病人しかつけないもの、という認識が昔から強くある。つまり、マスクをつけることは自分自身を「病人」と認めてしまうことになるのでそうはしたくない、という「セルフ・イメージ」に関わる要素があったのではないかと感じている。)
もともと、肥満などの健康リスクを抱えている人々が多い

まだまだ他にも要因はあると思うが、科学者や医者ではない私の立場からでも、すぐに思い浮かぶ要素だけでこれだけある。

3つの戦争の死者数を超えた

ところで、この死亡者数が50万人を越えたというインパクトについて、米国のメディアはこのように伝えた。

ニューヨークタイムズ:「第一次世界大戦と第二次世界大戦、ベトナム戦争の3つの戦争での米国人死者数の総数を越えた」
AP通信:「第2次世界大戦とベトナム戦争、朝鮮戦争の3つの大戦で死亡した米国人の総数と匹敵する」

このように、過去の大きな戦争三回分の犠牲者が、この一年足らずのウイルスとの戦いにおいて、民間人の中で発生したということになる。

現在ワクチンの開発や接種が進んでいるものの、米国ワシントン大学に研究機関によると、さらに向こう三ヶ月で米国内で約9万人のコロナ関連死者数が予想されている。

つまり、3、4、5月と、平均すると毎日1,000人のペースで米国人の命が失われていくということだ。

すでに米国では、「家族や親戚、知り合いなど自分の周りの人々の中に、亡くなった人が全くいないというほうが珍しい」と国内の報道でも伝えられている。

2001年9月11日に起こった、衝撃の同時多発テロの死亡者数は約三千人だった。つまり、あれほどの惨事で亡くなった方々の総数と匹敵する死者数が、コロナウイルスによってわずか三日ごとに米国国内で生じているともいえる。

バイデン大統領「単に数字として見るな」「悲しみに無感覚になるな」

そのうような状況に対して、米国のバイデン大統領はホワイトハウスで行われた死者総数50万人の追悼セレモニーでこのように述べた。

 "We have to resist becoming numb to the sorrow." (「悲しみに無感覚になるということに抵抗しよう。」)
We have to resist viewing each life as a statistic.(「ひとつひとつの失われた命を、単に統計上の数字として見てしまうことに抵抗しよう」)

これらは、私たちジャーナリストやメディア関係者にとっても、大変戒めとなる、重い言葉である。

また、バイデン大統領はこのように続けた。

"We must honor the dead. But, equally important, to care for the living." (「亡くなられた方々に敬意を払うと同時に、今生きていいる人々、生きていることを大切にしよう」)

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