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企業にとって「ブランド」はどのようなメリットをもたらすのか?

本題に入る前に。

最近、冒頭でよく使っている「今日この頃です」の使い方が誤っていないか心配になってきたので、ググってみたけど、問題なさそうで少しほっとしている今日この頃です。


さて、本題に入ります。

前回から、ブランドは「消費者・顧客」と「企業」で、それぞれどのようなメリットがあるのかを双方の視点で見ていくということで、まずは、「消費者・顧客」の視点で、ブランドはどのようなメリットをもたらすのかを見てきました。

今回は、「企業」側の視点で、ブランドはどのようなメリットをもたらすのかを見ていきたいと思います。

ブランドは企業にとって多くのメリットをもたらします。以下のような6つのメリットがあります。強いブランドの構築に成功すれば、その効果はさらに増大するでしょう。

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企業から見たブランドのメリットのうち、
①~③を「エクスターナルブランディング(外向き)」
④~⑥を「インターナルブランディング(内向き)」と呼びます。

ブランドが企業に与えるメリットは、企業内や社員だけにとどまらず、取引先、地域社会、ひいては社会全体といったステークホルダーにまで及びます。

では、1つ1つ見ていきましょう。

①競合商品・サービスとの差別化

企業がブランドを強くするためのリソースを投下することによって、消費者・顧客に対して「ニーズへの固有の連想」と「購入する意味」を与えることができれば、他社製品との差別化を図ることができます。このような差別化に成功すれば、企業はその後、多くのリソースをかけなくても、満足した顧客は確実にリピートしてもらえることになります。
これを「ブランド・ロイヤルティ※」と言いますが、同業他社の参入障壁を築くことができます。このように、強いブランドがが築けると、企業間での競争優位を築く強力な手段となるのです。

※ブランド・ロイヤルティ(Brand Loyalty)とは?
顧客によるブランドへの忠誠心のこと。高いロイヤルティを持っている顧客がいれば、売上や利益への強固な基盤となります。


②価格決定権を得られる

差別化に成功し「ブランド・ロイヤルティ」を高めることができれば、その製品・サービスは付加価値を増し、名指しで選ばれるブランドになります。そのとき、企業は、利益を得るための積極的な価格設定を行うことができます。
また、値引きを受けることも少なくなり、値引きに応じる必要もなくなるでしょう。むしろ、値引きを応じてしまったら、ブランドが毀損することすらなりかねません。価格競争から脱却し、価格決定権を得れることは、とても重要なことです。

ただ、価格競争に関しては、補足しておきたいことがあります。製品・サービスの成長曲線を見てみましょう。

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上記をプロダクト・ライフサイクルと言いますが、どのような製品・サービスでも、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4ステージをたどるという理論です。このことは、ブランディングを考える上で、押さえておきたい大事な視点です。

各ステージを簡単に説明します。

【導入期】
新たなカテゴリーのブランドが市場に投下されたばかりの時期。認知度が低いので、まずはそのブランドというよりカテゴリーの認知度を上げることが最優先されるため、プロモーション費用が大きくかかる。導入期で需要が生まれないまま期間が経過すると、このステージで撤退することも少なくない。

【成長期】
成長期は前半と後半に分かれる。前半は、新たなカテゴリーのブランドの需要が喚起されることで、導入期を乗り越えて売上が伸びる時期。まだ、競合の参入も少ないので、プロモーションにかける顧客獲得単価が低い。
後半は、カテゴリー市場がどんどん大きくなっていくので、競合の参入が増えてつつある時期。ここで市場シェアを大きく取らないと、強い競合に市場シェアを取られてしまう。

【成熟期】
カテゴリーの市場が、ある程度上限に達する時期。シェアの奪い合いが激化し、価格競争に陥る時期でもあるので、最もブランド・ロイヤリティを高めることが必要になるステージである。

【衰退期】
カテゴリーの需要が衰退し、市場が縮小し、売上や利益が競合とともに衰退していく時期。市場からの撤退タイミングを見極めることが重要なステージ。

このように、プロダクト・ライフサイクルで見られることは、新たなブランドを市場に導入する際、どのステージであるかを見極め、それぞれのステージで、リソースにかける配分を検討する必要がります。

導入期のステージでは、認知知されるためのプロモーションコストを大きくかける必要があるので、その予算が取れるのか? 取れるとしたら、いつまでどのような状況になるまでかけれるのかを検討する必要があります。
成長期後半から成熟にかけてのステージは、競合の参入が増え価格競争に陥りやすくなるので、「ブランド・ロイヤルティ」を高めるため、強いブランドを築くことを最も意識し実践する必要があるでしょう。
最後に、衰退期のステージですが、このステージにわざわざ参入することはないと思われるところですが、プロダクト・ライフサイクルの視点を持っていないと、衰退期でも参入する危険性ははらんでいると言えます。

③法的保護を受けられる

ブランドは知的財産であり、法的保護を受けることができます。製品・サービスを製造するプロセスや、ブランドが作成したコンテンツなども法的保護を受けられます。

以下が、ブランドによって法的保護を受けられる領域です。

【商標権】 商品・サービスの名称、ロゴマーク
【特許権】 製造プロセス
【意匠権】 デザイン(グラフィック、プロダクト・パッケージ、UI、WEB、空間)
【著作権】 コンテンツ

さらに、価値ある知的財産からは利益を上げることもできるのです。

④自社内の意思統一と、社員モチベーションの向上

強くユニークなブランドの確立によって、社内にもポジティブな反応を引き起こします。まずは、そこで働く社員との一体感が高まりますし、社員の家族にまで、ポジティブな反応が連鎖していくのです。
ブランドを確立することで、自社内の意思統一と社員モチベーションの向上に大きく役立ちますが、「インターナルブランディング」で実現することができます。
※「インターナルブランディング」は別の機会で見ていきましょう。

⑤ビジネスパートナーやステークホルダーとの協力

企業がブランド通して影響を与える先は、消費者・顧客だけでなく、取引先、ビジネスパートナー、投資家(株主)、地域社会など企業を取り巻くあらゆるステークホルダーとなります。
ブランド・イメージがポジティブに影響できれば、ブランドの成功に欠かせないビジネスパートナーやステークホルダーからも、応援されるなど、好ましい反応を得ることができます。

⑥採用活動の効率化

ブランドづくりは、人材採用にも大きくプラスの影響を与えます。
ブランドを確立することにより、そのブランドの価値観に共感した人材が集まりやすくなるのです。企業規模のかかわらず、「求める」人材を集めやすくなるので、採用にプラスとなるのがブランドなのです。

特に採用活動では、顕著に現れるので、自身の体験談をお伝えします。
※以前にも同様の記事を書きましたが、一部付け加えています。

私が代表理事を務めているブランド・マネージャー認定協会を運営している事業には、3名のスタッフしかおらず、さらに退職者も出てしまったので、
昨年10月頃から数名の社員を募集してきましたが、応募してきた人がとても多かったように思います。

生々しい話しをしますと、たった20万円しか募集媒体に使っていませんでしたが、300人以上の応募がありました。コロナ禍ということも要因にはあるでしょうが、今までは経験したことがない応募者数です。

以前は、募集媒体に50万円とか、80万円とかをかけていたこともありましたが、50名の応募もあれば良い方です。

うちみたいな小さな組織では、お金をたくさん支払えるわけでもありません。それなのに、本当に多くの優秀な方々に応募をいただきました。ありがたいことです。ただ、優秀な人であっても様々な理由でお断りしなくてはならず、心苦しくもありました。

結局、事務局スタッフだけでなく、当社は事務局スタッフの募集でしたが、
応募者のなかにはプロモーション領域が得意な人も結構いたので、トータル4人も採用することとしました。

このように採用活動が効率化されたことは、昨年から強く打ち出し始めた「ブランディングで社会課題解決する実践コミュニティを作る」という当協会のビジョンをはじめ、ブランド構築にリソースをそこそこ注いだからではないかと考えています。
※リソースといっても「人、モノ、カネ」は乏しいので、「エネルギー、時間、知恵」とリソースがほとんどですが。

今回は、「企業」にとって、ブランドがもたらす6つのメリットを見てきました。

これらのメリットを知ることで、「ブランドがなぜ重要なのか?」を、企業の中で共有しておくことにより、ブランディングの大きな推進力となるでしょう。参考になればと思います。


追記です。

採用活動が効率的になってきていることを前述しました。
「ブランド・マネージャー認定協会」のブランドは10年以上となりますが、一昨年あたりから、プロダクト・ライフサイクルでいう成長期後半に入ってきている実感があり、昨年からは、そのステージとしての施策を意図的に仕掛けようとしたところ、コロナが襲ってきました。
このようなことから、現在、様々な打ち手を仕掛け、その打ち手を高速回転させ、先が見えない今の状況を、打ち手の数とスピードによって、新たな勝ちパターンを見出そうとしているところです。

次回からは、このように昨年から現在のチャレンジしていることを、できるだけ生々しい現場の試行錯誤を絡めて、言語化してみようと思います。

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