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クリエイター採用時に聞くべきこと

昨日記載した「ある女性広告人の告白」の著者、小池玲子先生にクリエイターの採用面接に「どのようなことを聞いているのか?」を随分前に教えていただいた時のやりとりを記載します。普遍的な内容で、お互いの覚悟が決まる示唆深い話だと思います。


私「小池先生はいままで多くのクリエイターを育てていらっしゃると思います。クリエイターを育てる時に持っている小池先生自身のポリシーとか、こだわりみたいなものはありますか?」

先生「私の部下になる人に対して面接時に、あなたは何年いたら、どれぐらいまで伸びる。3年いたら、このレベルになるまで仕立てるよと言います。」

私「それを最初に言うのですか?」

先生「言います。べつに長期間いて欲しいとかそういう気持ちではなくて、こちらが唯一言えることは、2年いたらこれだけのレベル、3年いたらこれだけのレベルまで力をつけるようにすることは約束できると言います。」

私「それは人によってもちろん言い方は違いますよね。」

先生「ええ。この質問によって大変そうだから諦めようとする人は見ればわかります。」

私「最初にわかるわけですね。」

先生「ええ。どういう将来を持っているのかを聞いて、あなた、上に登っていきたいでしょうと・・・。あなたの将来設計の段階で、例えば28歳だったら、鉄は熱いうちに打てではないけど、20代でしか得られないものがあるから、2年間であなたがかなりのものを覚えれば次にジャンプできる。ここで一生働いてくれという気持ちは私もない。でも、ここにいる間にしっかりしたものをつかめると約束はできる。いま動けるのは35歳ぐらいまでですよね。そこからはかなりしっかりしたものを持っていないと動いていけない。
そのためにはまず人生設計を考える。ここの会社ではこれだけのことを教えられるから、それが必要ならば入りたいと思うし、そうでなかったら・・・。」

私「それを採用面接時に言うのですか? 夢はあるのみたいな聞き方もするのですか?」

先生「今後どうして行きたいのか? この会社にいてどうしたいのか? 人によっては、勉強したいとかいろいろと一生懸命言いますよね。将来をどう考えているか? 自分の人生をどう考えているのか? とか。みんな勉強します、頑張りますと言いますが、いや、それは何のために頑張るのか? と私は聞きます。」

私「抽象的ですものね。」

先生「何のために頑張るのかを聞くことが重要です。いい広告をつくりたいとか、そういうことをしたかったら、この会社では具体的にこのような考え方とか論理的なことを教えることができる。テクニックも教えられる。化粧品のこういう表現も教えられる。その他、別の業界のこういう表現も教えられる。それについてあなたはここに何年いなければ教われない。でも、そのあとはそれを基本にしてどこかへ行くなり、ステップアップするのも自由だよという話をします。」

私「成長の目安みたいなものを教えてあげるわけですね。」

先生「そうです。人生の中で何年か過ごすわけだから、この会社はあなたにこういうことが提供できるよという話をします。」

私「ものすごく参考になります。」

先生「そういうのがわかる子はわかる顔をするし、わからない子はわからない顔をしているから、そういう人は採りません。」

私「将来どうしたいのと聞くと、人によっていろいろなことを言うと思います。それに合わせて落とし込みを・・・」

先生「こう言いながら反応を見て、ああ、だめだなと思ったりする場合もあります。このようなことがまったくわからない子とかは、ただ、ただ、就職したいんだなと思うし・・・」

私「このようなことも考えないで、生活のためだけなんだなとか、とりあえず就職しようとか、いろいろなことがわかりますものね。」


いかがでしたでしょうか?

コロナ禍でリモートワークが進むようになった今、従来のメンバーシップ型である日本の雇用形態が、ジョブ型に移行されると言われています。欧米の会社は、以前からジョブ型だったわけですが、長年、外資系広告会社に勤め、最終的には副社長など役員も歴任された経験のある小池先生だからこその示唆深い話だと思います。

この採用時のアプローチは、クリエイターだけではなく、他の職種でも本質的なところは変わらないでしょう。


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