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ビジネス書をいかに売るか?

先日から「ビジネス書を出版するには?」をテーマに、出版の目的と、以下のような出版するまでのプロセスを簡単に紹介し、1の「出版企画を練る」2の「出版社を探し企画を通す」、そして、5と6をまとめてを深堀り下げてみた。

1. 出版企画を練る
2. 出版社を探し企画を通す
3. 出版社決定
4. 仕様(ページ数、サイズ)と販売価格を決める
5. ページ構成を決める
6. 執筆する
7. 原稿の完成
8. 初稿(ゲラ)が出る
9. 表紙デザイン決定
10. 校了
11. 印刷
12. 出版


上記のように苦労に苦労を重ね、魂を削るような思いで出版にたどり着いたとしても、その本が読者に届かなければ、全く意味がないといっても良いだろう。

いわゆるビジネス書をいかに売るかを考えることは、とても重要なことであるので、出版する2~3ヶ月前からは、プロモーションの打ち手を入念に練る必要がある。

特に書籍出版が初めての人は、処女作で重版がかからない本を出してしまうと、2冊目以降の本は出しにくくなってしまう。なぜなら、出版社から「売れないビジネス書を出した人」というレッテルを貼られてしまう。そんなことにならないように、特に処女作は重版は必須である。

先日も伝えたことを繰り返すが、出版社側の都合も知っておこう。

出版社にとっては、1冊40%程度の粗利があるので、3,000部を販売できれば損はしない。内容のクオリティがあることが前提で、重版がかかれば著書に感謝することになるだろう。ただし、1,000~1,500部程度しか販売できなかった場合は、初版3,000部刷った場合は、残りは半分以上が在庫となり、数年で廃棄することとなる。そうなると、出版社側としては、利益は出ないところか、廃棄での費用もかかる。なので、いくらクオリティの高い内容を書いたとしても、売れなければ「売れない著者」というレッテルを貼られ、2度と出版の声がかかることはない。逆に処女作から、それなりに重版がかかると、次の本を書いて欲しいと同じ出版社から間違えなく声がかかる。それどころか、売れている本は分かるので、他の出版社からも声がかかりやすくなる。なので、処女作は、意地でも重版をかける必要がある。

いくら重版することが重要だからといって、1,000部も2,000部も自身で買取るとしたら、負担がかかりすぎて、何のために本を出すのか分からなくなってします。本が多くの人に届き、本業につながり稼ぐためにやっているわけだから。

ほとんどの出版社が、著者割というのがあり、著者自身の本を買取る場合は、定価の20%割引程度である。

定価2,000円の書籍としたら、20%割引1,600円で、買取る時にかかる費用は次のとおりとなる。
1,000部×1,600円=1,600,000円
2,000部×1,600円=3,200,000円

このように、1,000部買取るとしても160万円もかかる。

定価2,000円の書籍を初版3,000部刷った場合で、印税率8%として著者に入る印税額は、2,000円×3,000部×8%=480,000円 となる。

なので、印税が入ったとしても、1,000部買取したら100万円以上も持ち出しとなので、現実的な話ではない。

では、重版をかけるために、販売につなげる打ち手とは何があるだろうか?

そもそも、私もそうだが芸能人や著名人でない限り、本をたくさん売るのは簡単なことではないことは前提にしておこう。

出版社に広告を依頼する

まずは、出版社側でも、何かしら広告を売ってくれるはずだ。基本的には、最低限の新聞広告は打ってくれるとは思うが、出版企画が通った段階でそのあたりのことを確認しておいた方がよいかもしれなない。
それと、売る気満々の著者には、新聞広告の枠を用意してくれやすい。中身はもとより、売る気はやはり大切。そのエネルギーは出版社にも伝わるものだ。

リアル書店の攻略法はドブ板営業

次に、今や書店も力がなくなったとはいえ、本の流通は、インターネットかリアル書店しかない。

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※出典元
ヤフーニュース「リアル書店とインターネット経由の出版物の売上動向をさぐる(2019年公開版)」
https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20191007-00144733/

上記は、少し古いデータではあるが、2018年時点では、出版物購買額の3割強がインターネット経由のものとなる。
「3割強もある」か「まだ3割強でしかない」のか、それぞれの見解はあると思うが、いずれにしても、まだ半分以上はリアル書店で売れているということになる。

だから、書店で売ることは、まだ必要なことなのである。

その際、押さえておくべきこととして、書店での売れ行きは最初の1~2ヶ月が勝負である。

書店の陳列方法ぱいくつかあるが、代表的なものは以下のとおり。

【平積み】表紙を上にして陳列する方法。
【面陳列】表紙を見せて陳列する方法。
【棚差し】背表紙を見せて陳列する方法。背差しとも言う。

最初の1~2ヶ月は、無名な著者でも、平積み、面陳列をしてもらえるだろう。出版社の各書店に対しての関係性や、出版社が力を入れている本かどうかということも大きい。

そこで、できることとして、まず出版社に著者本人が、書店回りをすることを伝える。そのために、どの書店が出版社にとって力を入れやすい書店なのかを確認しておく。このことによって、出版社が特定の書店に納入してもらいやすくもなる。

書店流通のシステムを簡単に触れておく。書籍は取次店と呼ばれる問屋 (日販、トーハンなどが代表的) を通して全国の書店へ運ばれる。書店は、決まった取次店とお付き合いをしているわけだが、日本の書店流通は「再販制度」といって、書店が本を返品できるシステムなので、日々新刊本を運び入れて、返品分をまとめて受け入れてくれる取次店の役割は重要になっている。※著者にとっては良くないシステムだが。

このようなことから、気をつけおきたのが、書店の担当者 (今回はビジネス書の出版のことなので、ビジネス書コーナーの担当者) は、新刊本がでたら、最初は、平積み、面陳列をしてもらえることが多いが、1~2ヶ月間の売れ行きを見て、売れていない本であれば、1冊だけを棚差しにし、あとは返品されてしまうのだ。

だから、平積み、面陳列をしてもらえる出版後1~2ヶ月で、少しでも売れている本だという認識をビジネス書コーナーの担当者に印象づける必要がある。

私は、処女作の場合は書店回りをした。都内在住なので、山手線一周で10店舗以上の書店にまわり1~2冊ずつ買取をした。この山の手線一周を日にちを変えて2周した。

その際に、事前にPOPを作り、POPスタンドも購入しておき、各書店に訪問する際に、著書だということで挨拶し、POPとPOPスタンド一緒に渡した。

書店の店員は、ちょっとしたツールにもお金をかけらないので、とても喜ばれるし、書店での良い置き場を優先してもらえる。時には「好きなところに置いていいですよ。」と言われる書店もあった。

2周する理由は、最初の訪問後 (2~3週間後) に再訪して、売れ行きを確認し、POPが最初の意図通りに設置してもらえているかを確認する意味もある。 ※処女作の場合は、私の著者仲間の多くがこの方法を真似した。

その他、書店の週間ベストセラーランキングを活用して販売に拍車をかける方法もあるが、これは著名人でない限り、ほんどやらせでやっているのだと思う。

例えば、1週間の期間を設定し、出版社を通しランキング掲載されるための販売数を確認し、買取る方法が一般的なのである。
恥ずかしながら私もやってみた。買取金額にもよるが、1週間程度なので、その後の影響が大きいとは言えなかった。

まだやることはあるが、今日はここまでにして、明日、続きを書いてみたいと思う。

いずれにしても、ここまですることで、ようやく重版をかけることができる。このように少しでも多くの読者に届けようとする行為は大切だ。
販売につなげる「しつこさ」こそが、処女作を重版にし「売れない著者」とレッテルを貼られないようにするどころか、無名だけど「確実に売れる著者」だというレッテルに変換することできる。そうすれば、2冊目以降も継続的、かつスムーズに本を出すことが可能となり、当初の目的でもある本業の稼ぎにつなげることができるだろう。

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