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ユーザー車検エピソード「少しの緊張、優しさ、驚き」

 少しの緊張

20年に亘り、ユーザー車検をもう何回もしてきた。 それなのに毎回少しの緊張がつきまとう。 
事前にエンジンオイルを交換し、バッテリーも替え、トルクレンチでホイールナットも適切に締め、ライト類やその他も確認した。 でも思わぬ箇所がダメと言われることもあるがあるからだ。

自動車検査登録事務所。この建物の中に4列になった検査ラインがある。
奥の方から入り、ライトやブレーキ、排気ガス、下回り検査等を受け、
問題なければ「合格」のスタンプを貰い、手前側に出てくる流れとなる。

優しさに ほっこり

受検の手続きを済ませ、検査ラインに入ったら、検査員の小父さんが声を掛けてきた。「あなた、車の色とシャツの色が同じですね。そんな人は初めてだ。サポートしましょうか?」。

カッコイイねとまでは行ってくれなかったが、それで気をよくした私は、「はい、お願いします。 私は経験はありますが素人です」と答えた。

車は若草色のパッソで、私のシャツも確かに同じ色だが、お洒落をして行こうという感覚は全くなく、油で汚れても「まぁ、いいや」と思える6年物のシャツを着ただけだったが、思わぬ言葉に気が和んだ。

一緒に車検のラインを進んだが、不安は的中した。車歴10年を超えたパッソは、ライト検査で左目が「×」と出た。
すると件の小父さんは、「出口でどの程度光軸がずれているかのデータをくれるから、それを貰って、調整して、もう一度ラインに入ってきてください」と親切に教えてくれた。
同日の再検査は、再申請料は掛からない。だから早く調整する必要がある。

最近はこのような不適合個所と内容を教えてくれるから、
分かり易い。

昔の車なら自分で調整も出来るが、今の車は上向きも下向ライトも一体化しているから、私には無理。テスターも必要だ。それですぐに近くの整備工場に直行。

この整備工場には以前一度行ったことがある。あの時の親父さんはいるだろうか・・・と思いながら訪れると、工場の親父さんは奥から元気な姿で現れた。やはりチョットでも接点のある人がいると安心する。
ライト検査のデータを見せると、親父さんは「じゃ、すぐに車を中に入れて下さい」と言い、一緒に作業を始めた。一緒と言っても私は重石代わりに運転席に乗って、点灯などの操作をするだけだが、「待合室で待っていてくれ」と言われるよりは、この方が良い。

ライトのアクリルカバーを磨き、左右のライト光軸調整を行い、説明も丁寧にしてくれた。信頼感が持てた。
そして何気なく親父さんの足元を見ると、ピカピカに磨き上げた品の良い黒靴を履いていた。 修理をしている親父さんでこんなに綺麗な靴を履いている人は見たことがない。センスの良い親父さんに会えて嬉しかった。

以前、お世話になった時は、1項目1,100円だった。あれからもう数年たっているから値段も上がっているだろうと思いながら、「お幾らでしょうか」と言ったら、以前と同じく「1,100円」という。
対応も親切、作業は上手、そして値段も親切価格だった。

さらには出る時に誘導してくれ、次の信号での曲がるコツも教えてくれた。
内心「有難う親父さん。でも値段はもう少し上げたらいいんじゃないかな・・・」と思いながら、再び検査場に向かった。

検査場では件の小父さんが再び来てくれた。そして今度はすんなり合格。
親切な小父さんに有難うと言って、事務所カウンターで電子化された新車検証を貰った。 緊張からはここで開放された。

驚きの文言

検査ラインの建物は、屋根と左右の壁があるだけで、エアコンはない。しかもラインに入る前のクラクションやワイパーチッェクは、完全に露天である。雨が降ったらカッパを着て行うしかないのである。国交大臣さん、その個所にせめて屋根だけでも付けてあげてよと思わず呟いた。

さて、検査ラインに入るとき、張り紙が目についた。読んでみると驚きの言葉があった。
検査ラインは撮影禁止なので、記憶の内容を要約すると次の2点である。

1・検査結果が不適合なのに、合格させろと恫喝したりする人がいる。
2・そのようなことがあると、警察に通報する。

まぁ、中にはそのような人がいるかもしれないから、検査員も大変だなぁ~。

#ユーザー車検 #エッセイ #親切  


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