商社マンの転職市場における市場価値の実態について③ ~自らの経験を基に~

前回の続きです。
自分が転職活動で多くの会社から話を聞いた実感として、経営企画ポジションの場合、スタートアップと上場企業を問わず年俸1,200~2,000万円のレンジが多かったと記憶しています(ストックオプションとのバランスもありますが)。

現在、大手商社は資源価格高騰に伴い賞与水準が高い為、転職により給与を改善させることは難しいですが、上手く転職先のニーズとマッチすればこのレンジの範囲内でオファーが出ることは珍しいことではありません。

大手商社に残り個人のスキルセットとは無関係に振り込まれる賞与を享受する代わりに、加齢と共に個人の市場価値を下げる

あるいは

年収が減少しても60歳定年退職後も見据え、リスクを取って社会で通用するキャリアを歩みに行くか

といった、もはや生き方の選択になるかと思われます。
尚、純粋に高年収を追求したい場合は、Private EquityやVenture Capitalという選択もあります。年俸2,000万円を上回るポジションも存在しますが、この辺のポジションは競争相手がゴールドマンサックスやマッキンゼーの30歳前後となることが多く、四十路を超えた中年ど真ん中の未経験商社マンでは歯が立ちません。また、仮に若手商社マンであったとしてもその競争に勝つことは難しいと思われます。就活生の間では、財閥系商社に比肩するのはゴールドマンサックスかマッキンゼー(及びボストンコンサルティング)くらいだそうですが、残念ながら能力には雲泥の差があります。

後者は組織でアウトパフォームしなければ生き残れませんが、大手商社は何もしなくても2,000万円近い高年収が確保されます。常に頭が動いている環境(ゴールドマンなど)と、思考停止状態が跋扈している環境(大手商社)とでは、若い頃の鍛えられ方にも大きな差が生じると思われます。

最近は大手商社で若手の子会社への出向が増えています。経営人材を養成することが目的なので、若手で子会社の経営企画部など中枢部門へ出向するのはエリートコースです。手前味噌で恐縮ですが、自分も2013年当時、年間売上7,000億円規模のグループ最大子会社の経営企画部へ2年弱出向した経験があります。

そして、この子会社出向経験が外部で評価されると思っている商社マンが実に多い事もまた事実なのですが、一方で、これも世の中そう甘くはないという事もまた事実であります。次回に続きます。

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