ブランケット

　気が付いたら、私を包んでいた毛布はぼろぼろのタオルケットになっていた。少し寒いなと思って包まっていたのだけれど、体温を維持するには幾分か心許無い。
　暖かいなと思って包まっていたのだけれど、それまではタオルケットではなかったのだろうか。毛布だと思っていたものが、本当に毛布だったのか今では自信がない。

　今必要なものは毛布だ。さあ、押し入れから取り出そう。あれ、どこにやったっけな。そうだ、引っ越した時にどこかに押し込んでしまったんだ。ああ、部屋が段ボールだらけだ。きっとこの中に毛布があるんだろうけど、もう見つからないな。いや、きっとあるはずなんだけどな。君も一緒に探してくれないかい。

　タオルケットからフリージアの香りがした。きっと笑っているんだ。