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インバウンド営業とアウトバウンド営業の違い

インバウンド営業とアウトバウンド営業は、企業が顧客と接点を持つ方法が大きく異なる営業手法です。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあり、状況に合わせて使い分けることが重要です。


インバウンド営業とは?

インバウンド営業(インバウンドセールス)は、営業がプッシュ型で顧客にアプローチするのではなく、顧客が自ら情報を求めてくるような状況を作り出し、そのニーズに応えることで営業活動を行う手法です。プル型営業とも呼ばれ、顧客からの引き合いを待ち構えるスタイルといえます。

インバウンド営業の特徴

顧客起点

インバウンド営業の核心は、顧客を起点に商談が始まる点にあります。この手法では、顧客自身が自発的に情報を求め、企業とコンタクトを取ります。顧客の興味や問題意識が出発点となるため、押し付けがましさがなく、顧客のニーズに沿った自然なコミュニケーションが可能になります。

情報提供

インバウンド営業では、質の高い情報提供が重要な役割を果たします。ブログ記事、ホワイトペーパー、ウェビナーなど、様々な形式を通じて、顧客に価値ある情報を提供します。導入事例、役立つノウハウ、最新トレンドなどが定番のコンテンツです。

マーケティング

インバウンド営業では、様々なマーケティング手法を用いてリードを獲得し、育成します。SEOで集客を増やしたり、SNSを活用してブランド認知度を向上させたりします。また、リードナーチャリングの手法を用いて、見込み顧客との関係を段階的に深めていきます。

インバウンド営業のメリット

成約率が高い

インバウンド営業の大きな利点の一つは、成約率の高さです。この手法では、顧客が自ら情報を求めて接触してくるため、初めから高い関心と購買意欲を持った見込み顧客とつながることができます。また、コンテンツを通じて信頼関係が構築されており、商談がスムーズに進みやすいです。

成約までのスピードが早い

インバウンド営業では、成約までのプロセスが比較的速く進行する傾向があります。これは、顧客が自ら情報を収集し、ある程度の知識や理解を得た上で企業に接触してくるためです。意思決定の準備ができている場合も多く、提案から決定までの時間が短縮されます。

営業担当者の負担が軽減される

アウトバウンド営業では、見込み客を見つけ出し、興味を持ってもらうところから始める必要がありましたが、インバウンド営業では関心を持った顧客が自ら接触してきます。そのため、営業担当者は新規顧客へのアプローチや、見込みの薄い顧客への対応に時間を費やす必要がなくなります。

インバウンド営業のデメリット

即効性がない

インバウンド営業の課題の一つは、即効性がないことです。この手法は長期的な戦略であり、短期間で劇的な成果を期待することは難しいです。質の高いコンテンツを継続的に作成し、それを通じて見込み客との信頼関係を構築していくプロセスには、相当な時間と労力が必要です。

売上予測が立てづらい

顧客が起点となるインバウンド営業において、問い合わせの件数は月によって不規則になりがちです。この点が、適切な人員配置や資源の配分を難しくします。安定した問い合わせ数が見込めない場合は、精度の高い営業計画や売上予測を立てにくくなります。

マーケティング活動が必要になる

インバウンド営業を成功させるためには、効果的なマーケティング活動が不可欠です。そして、高品質で有益なコンテンツを定期的に作成・公開する必要があります。これには専門知識を持つ人材や、外部パートナーへの依頼が必要となり、時間と費用がかかります。

アウトバウンド営業とは?

アウトバウンド営業(アウトバウンドセールス)は、企業が起点となり顧客に対してアプローチし、商品やサービスを販売する営業手法です。新規顧客の開拓や売上目標達成に有効な手法ですが、顧客からの拒否反応や営業担当者の負担といったデメリットも存在します。

アウトバウンド営業の特徴

企業起点

アウトバウンド営業の根幹は、企業を起点とした活動にあります。この手法では、事業戦略や営業目標に基づいて行動計画を立て、ターゲットとなる顧客リストを作成します。その後、電話、メール、訪問などの手段を用いて、直接的なコンタクトをとり、商談へとつなげます。

新規開拓

アウトバウンド営業は、新規顧客の獲得と市場開拓に特に効果を発揮します。既存の顧客基盤に頼らずとも、未開拓の市場や新たな顧客層にリーチすることができます。例えば、新製品やサービスの導入時、新しい地域への進出、あるいは競合他社の顧客獲得を目指す際にも有効です。

即効性

アウトバウンド営業の大きな特徴の一つは、その即効性にあります。営業が直接顧客に働きかけるため、短期間で多くの見込み客と接触し、すばやく結果を得ることができます。この特性は、四半期の目標達成や新規事業など、急速な成果が求められる状況で特に重宝されます。

アウトバウンド営業のメリット

営業対象を選べる

アウトバウンド営業の大きな利点の一つは、営業先を指定できることです。自社の製品やサービスに最も適した顧客層に限定してアプローチすることが可能になります。例えば、特定の業界、企業規模、地域、または特定の性質を持つ顧客群をターゲットとして選定できます。

潜在的な顧客にアプローチできる

アウトバウンド営業の利点として、自社の存在を知らない潜在的な顧客にもアプローチできる点があげられます。電話やメール、チャットなどを通じて、顧客に直接コンタクトを取ることで、新たなニーズを喚起したり、既存の問題に対する新しいソリューションを提案したりすることができます。

営業活動をコントロールしやすい

アウトバウンド営業では、企業が主導権を持って営業活動を展開できるため、市場拡大のペースをコントロールしやすくなります。例えば、営業チームの規模を拡大したり、営業活動の頻度を増やしたりすることで、短期間で多くの見込み客にリーチすることができます。

アウトバウンド営業のデメリット

顧客からの拒絶反応を受けやすい

アウトバウンド営業は、企業側から顧客に一方的にアプローチするため、顧客から「迷惑」や「営業お断り」といった拒絶反応を受けやすいというデメリットがあります。営業のスタンス次第ではありますが、顧客に不信感を与えてしまい、今後の関係構築を難しくしてしまう可能性があります。

ニーズに合致しないと押し売りになりがち

アウトバウンド営業では、顧客のニーズを十分に把握せずに、一方的に自社の商品やサービスを提案してしまうことがあります。これにより、顧客のニーズと合致しない場合は押し売りとなって、成約率が低くなるだけでなく、企業の評判を損なう可能性もあります。

体制維持のコストが高い

アウトバウンド営業を継続的に行うためには、体制維持に多額のコストがかかります。特に、テレアポや飛び込み営業など、人海戦術的な手法を用いる場合は、人件費が大きな負担となります。また、営業の難易度が高く、メンバーのモチベーション維持が難しい点も考慮する必要があります。

まとめ

ここまで見てきたとおり「インバウンド営業」と「アウトバウンド営業」は、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットを持っています。

とはいえ同時に活用できない手法ではないため、多くの企業では、インバウンド営業とアウトバウンド営業を組み合わせて営業活動を行っています。

スタートアップや新規事業などで、これから営業組織を立ち上げる際は、まずアウトバウンド営業に取り組み、結果を出せてから、インバウンド営業を併用する方法がおすすめです。

自社の状況に合わせて、その時々で有効な手法を活用していくとよいでしょう。

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