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大雪とレモン

2023年、とさレモンにとっては波乱の幕開けとなりました。
年末の12/23に高知県中心部に降り積もった大雪の影響で、高知市春野の農家、吉川さんのレモン(樹齢10年のリスボンとユーレカ)に大きな被害が出ました。
今年は豊作だっただけに、年末最後の1週間でできるだけたくさん収穫しようと計画していた矢先のことです。

雪は23日未明から降っており、朝6時の時点ですでに積雪20cm以上。こんなことは予想していなかったので車はノーマルタイヤ。レモンの畑へ飛んで行って雪を払い除けてやりたい気持ちはあっても身動きができませんでした。

「南国土佐」の大雪、翌日の様子。40cmは積もっています。

トマトのハウス栽培を生業の主とする吉川さんも、トマトの対応だけで到底レモンには手が回りません。何しろ、レモンの畑は山の中腹にあるため急な坂道を通らねばならず、たとえスタッドレスを履いていても到達することは無理でした。
雪は23日の昼間も勢いが鎮まることなく夜遅くまで降り続け、外出もできません。時折停電することも数回。レモンの無事を願いつつ、こんな機会は滅多にないと開き直り、思い切り雪遊びをしました。

庭に作ったかまくら。この日、南国高知のあちこちに雪だるまが出現したでしょう。

「南国土佐」と言われるだけあって、行政にも住民にも除雪力が乏しいのは仕方のないこと。交通量の多い国道でも、1週間以上経っても日陰では雪が溶けず凍結した道路があちこちにあり、事故や立ち往生の車もたくさんあったようです。
実際に畑に行くことができたのは3日後。凍った道を通らねばならずどきどきしながら辿り着きました。

枝は折れて実は凍結

畑のあちこちに雪が残る中、雪の重さで折れたり曲がったりし枝に実っていたレモンたちがたくさん地面まで垂れ下がっていました。
実は、このプロジェクトを立ち上げたばかりの2021年の正月も、10年に一度と言われる大寒波でマイナス7−8度を記録し、その時もたくさんのレモンの実が凍結してしまいました。そこから不作の1シーズンを経て、ようやく今年は豊作を迎え喜んでいたところでした。折れてしまったレモンたちを見た時、本当に日本でレモン栽培ができるのか、とても不安に思いました。


枝が折れたレモン。一見無事に見えても、外皮が一度凍結しているため青果流通はほぼできません。

加工と追熟に果実を選り分ける

幸い、みかんと異なりレモン(リスボン)はもともと外皮が厚いため、外皮の外側が凍っても中の果汁は空気に触れない限り問題なく使うことができます。ただ、一度凍ってしまった外皮は、時間をおくとそこから腐ってしまうことになるので、中の果汁を救い出すためには、大至急収穫して果汁を搾る必要があります。
「波乱の幕開け」と書いたのはそのこと。連日、木についている果実を触りながら、無事な果実はそのまま木で追熟に、凍結した様子があっても十分絞れるものは収穫、すでに腐敗が始まっているものは摘果….の作業を年明けから連日行っています。普通の収穫に比べると何倍もの手間がかかります。

外皮の一部が凍結したり、黒点病(枯枝が原因。外皮の見た目が悪くなる)のレモンをカット。凍結したものは若干”す”が入り始めているものもありますが果汁には影響はありません。

大雪のおかげでわかったこと

レモンを栽培する環境で大雪を経験することは、国内生産ナンバーワンの瀬戸内でも滅多にないことだと思います。今回の貴重な経験で、わかったことも多々。折れる枝には、日当たりなどの環境以外にも原因がある、ということ。自然栽培でレモンを育てるには、兎にも角にも、春先の剪定が「要」ということです。こまめで丁寧な剪定がいかに重要かということがわかりました。
おそらく、次シーズン(2023年の秋以降出荷分)に関しては、収量が大幅に減り、不作になると予想されます。(ただし、今回高知県の西部・東部ではこのような積雪はなかったため、問題なさそうです)

今シーズンのレモンに関しては、できる限り搾汁して果汁の状態で冷凍保存する予定です。外皮も一部冷凍保存しながら加工を試みたいと思います。

気候変動の怖さを思い知らされた今シーズンですが、わかったことも多々。半強制的に加工せざるを得なくなったのも、良い機会だと考えて色々試したいと思います。

自然栽培レモンの果汁、会員さまが優先となりますがご興味のある方はこちらからお問い合わせください。

それにしても今回の大雪、温暖化対策はいよいよ急を要していると地球から強いメッセージが来ていると感じます。水質汚染問題も然り。持続可能な社会への取り組みを他人事にしていたらとんでもないことになるな、と考えさせられています。
新年早々、真面目な投稿になりましたが、今年もどうぞよろしくお願いします!

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