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学芸デザインミーティングGDM #3 「ページとレイヤー」

日程:23.7.25火 14:00-17:00
テーマ:ページとレイヤー
参加者:17名

高知学芸高校美術部との3回目のワークショップ。テーマは「ページとレイヤー」。#1「文字のデザイン」、#2「レイアウト」でひとつの面におけるデザインに触れたのち、#3では複数の面におけるデザインを考える。また、8月10、11日に開催予定のリソグラフのワークショップイベントは自分のプリントと他の参加者のプリントをひとつに綴じてオリジナルの「本」をつくるワークショップ。今回のワークがイベントへ向けた練習としても機能することを意識してプログラムを設定した。今回は夏休みを迎えての補講がある火曜日の午後に開催。参加者は17名。

14:00〜14:05 イントロダクション
14:05〜14:20 レクチャー①:ページの効果を学ぶ
漫画/絵本/雑誌からそれぞれに数ページを参考例として取り上げ、ページという機能をそれぞれどのように活用しているかを学ぶ。

14:20〜15:00 課題①「自分の通学をページを使って表現する」
表紙 + 6ページをつかってそれぞれの通学を描く課題。家から学校まで、もしくはその一部をとりあげるため、必然的に“移動”を描くことになる。場所の移り変わり、時間の移り変わりを、ページの切り替わりによってどうやって表現できるかがポイント。開始後、皆の手はすぐに動いていた。なかにはこちらから特にアドバイスをもらわずに自主的に“台割”をつくって構成を検討する生徒もいた。

15:10〜15:30 レクチャー②:リソグラフとレイヤーを学ぶ
課題①の作品をコピーしている間、リソグラフの構造を説明しながら“レイヤー”についてレクチャー。イベントの前になんとなくでもリソの仕組みが伝われば。

15:30〜15:40 休憩

15:40〜15:55 製本作業
ひとりにつき10部コピーして、それぞれの手でホチキスでとめる。

15:55〜16:20 フィードバック

16:20〜16:30 まとめ、次回予告
16:30〜17:00 アフタートーク *自由参加

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#3 を振り返って
今回は本をつくる課題がひとつ。そのなかでもいかに「ページ」という存在を意識しながら本づくりができるか、というのがテーマだった。そのため、レクチャーではページの視覚的な効果をいくつかのパターンを提示して説明してみた。そのなかで一番伝わったな、という感覚があったのは「漫画」を例に説明したパターン。漫画の中でのページの機能をわざわざ概念的に言葉で説明したけれど、きっと皆は言語化せずとも日々の漫画の読書体験でその感覚を養ってきたのだろう。
実際に制作の様子を見ても、悩んで手が止まっている生徒はほぼ見かけなかった。前回のワークショップで学んだ「レイアウト」についても、漫画的な技法でうまく表現できているものも多く見かけた。
完成したそれぞれの作品を、円になって皆で読み合う。今回は傑作と呼びたくなる作品が多く、課題の狙いに対して、さまざまな角度からの回答をもらうことができた。ページの切り替わりにあわせてスムーズに場面転換をするようなスタンダードな描写ではなく、時間がおおげさに飛んだり、あえて数秒のなかの細かな変化を数ページをつかって描いたりと、たくさんの工夫がありフィードバックの時間は大いに盛り上がった。今までの課題の中では生徒それぞれのキャラクターが一番引き立っていたように思える。「通学」という、プライベートでありつつ、本人としてはそこまで気に留めない大したことのない場面を課題のテーマとして据えたのは成功だったのかもしれない。今のところ手を動かす“練習”的な意味合いが強いGDMのワークショップだけれど、段々と自分のことと表現をつなげることも視野に入れてみたい。

*写真・文章は許諾を受けて掲載しています*

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