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中小企業診断士の受験を止めた理由についてまとめる

2022年から開始した中小企業診断士に向けた勉強を止めようと思います。2024年は受けない。本日これまでに買い揃えたふぞろい6冊をブックオフに持っていきました(買取価格が安すぎて泣けた)。

中小企業診断士の受験ヒストリー

  • 2022年1月からAWS Solutions Architect Professionalの勉強やってて3月に合格したので、勉強クセが付いていて、その勢いにのってなにか難しい資格に挑もうと決意

  • 2022年4月~8月

    • とてもじゃないが数ヶ月の勉強で1次試験の7科目受かるわけ無いと思ったので1年目は4科目の合格を目指す。4科目は2次試験との結びつきの薄いものをピックアップ

    • 経済学・経済政策

      • 知識ゼロだけど、2次と関連薄いから1年目の受験 →合格

    • 財務・会計

      • 2次の事例4との結びつき強いので来年に回す

    • 企業経営理論

      • 2次の事例2との結びつき強いので来年に回す

    • 運営管理

      • 2次の事例3との結びつき強いので来年に回す

    • 経営法務

      • 経済学同様2次と関連薄いので1年目 →合格

    • 経営情報システム

      • 一応その業界の人なのでノー勉でいけるやろ、なので1年目→合格

    • 中小企業経営・中小企業政策

      • 経済学同様2次と関連薄いので1年目 。中小企業経営のグラフの読み取りが苦手で失敗→不合格

    • 1年目は3勝1敗でした

    • 勉強が楽しかったーという印象。経済学とか勉強すると以前にラジオで高橋洋一さんが言ってた話の通りで、金融のセオリーってそうなんだー、と目から鱗だったり、経営法務では著作権とか株式会社が持つべき機能とか勉強できて楽しかったね。勉強も散歩しながらタブレットで過去問を回したりしてね。

  • 2022年9月~2023年8月

    • 残りの科目の勉強しつつ、財務・会計対策用に、簿記2級とFP3級と2級を受験して合格

    • 受験2年目は残りの財務・会計、運営管理、経営理論、中小に加えて、総合点アップのためにノー勉で情報システムも受験し、全部合格

    • 1次試験合格し、2次への切符を獲得!

  • 2023年9月~10月

    • 2次試験対策がんばるも不合格

    • 事例1:61

    • 事例2:63

    • 事例3:44

    • 事例4:57

    • 合計225点で不合格(240点で合格)

    • 落ちたから言うのもよくないけど、2次の勉強はモチベーションが湧かなかったんだよね(後述)

なんで受けようと思ったんだっけ

2022年に受けようと思ったときの動機は以下です。

  • 分かりやすい資格を取って、今後のキャリアに活かす

  • いつまでも会社の庇護下にいないで、自分が自分の人生や働き方を決めれるように、いつか独立したいと思っていた

  • この資格取ったからといって独占業務はないのだろうけど、中小企業診断士のインナーサークルでは仕事を回しあったりしているようだったので、そのインナーサークルに入るためのチケットが資格だと思っていた

  • 難しい資格を取ってみたかった

まぁ、この動機が2年後のワタシによって否定されるようになるのだけど

2次試験の勉強/受験を通じて覚えた違和感

中小企業診断士の2次試験は、4科目に分かれてて、1科目80分で全部手書きの論文形式(事例4は計算問題)なのです。
与件文と言われる、個社の状況についてA4で3枚くらいの記述があり、それを読んで、診断士としてどういう分析をしたのか、どういうアドバイスをするのかというのを書くわけです。事例4は異色で財務諸表から財務分析したり原価計算したりとか計算がメインです。さすがに電卓は使わせてくれるがつらい。
結構な時間かけて勉強するのだけど、勉強している時から以下の違和感がありまくってて、落ちたあとに再受験するモチベーションを完全に失ったわけです。

  • なんで手書き?

    • 短時間(80分の試験なんだけど、回答する文字数が多いので、書いてたらあっという間にTime over)で自分の考えを書かないといけないのだけど、手書きでマス目を埋めるのがまぁつらい。途中で論旨変えようと思っても、No turning backなのですよ。そして字が汚い人はそれだけでDis-advantageで、それは診断士の能力じゃないでしょう

    • 今どき手書きで仕事する人いるか?手書きOnlyだったら逆に信用なくし、手書きを止めようというソリューションを提案する側が死ぬ気で手書きで試験に挑むなんてナンセンスだと思うのよね

    • 採点する側もきついでしょうに、まとまった人数に対してPCを与えるという運営側の予算制約も分かるけど、非効率まっしぐらなのだけど、主催者側の変えられなさも呆れます

    • その後も手書きスキルが求められるような資格であれば、納得できるけど何のための手書きなのかが全く理解できん。運営側の経済的・スキル的な負担を受験者側に強いているだけで、この非効率なやり方を改善するのを試験問題に出したら、全国の受験者からいいアイデアもらえるんじゃないかな?

  • 厳しい字数制限

    • せめて「XX文字~XX文字近辺」のような制約とか、マス目は比較的自由に使って良い(削除線とか吹き出しで追記とか)とかしてよ

    • 文字数にあわせにいく意味が分からん。200文字と201文字で回答の価値が変わるんか?

  • 求められていることに合わせにいく回答方針

    • 2次試験の模範解答は開示されないので、何が正解かはわからないのだけど、ふぞろいを読むに出題側の意図を汲んで解答を作るということに重きを置いているようです

    • となると、与件文をどう読み取るか次第であり、実際のビジネスでは与件分を作ってくれる人など、どこにもいないので、与件分を読み解くスキルというのは実際の現場では活用しようがないと思っています

    • 2次試験の過去問演習の中でも「XXXの記載を読み取って、YYYの課題だと整理して、ZZZの手を打つべし」みたいな解説なのですよね。XXXを回答すべしと匂わせているという意図が試験用であって、実務的じゃないよねと思いました

  • 求められる回答が定型化してて古い

    • 回答例には以下のようなテンプレが蔓延してるのです

      • 顧客接点を増やすためには → メルマガ打ちましょう

      • 自社ブランド確立のためには → 自社ECサイトで販売しましょう

      • 認知度向上のためには →顧客の口コミを期待して、SNSに拡散を呼びかけましょう

    • いや、本気か?コンサルがこういうのを有償で言ったらソッコーで契約打ち切られるよ

      • 地元の友達の会社が地場の商品を買ってもらうためにECモールを作ったが、集客ができない、運営費が高い、とかの課題持ってて「おぉ、定番の対応しているが、実際はそれだけだと全然足りんのやね」と思った。

    • 確かに、この試験はオリジナリティを発揮する場ではなく、定番を回答する場なのだけど、古すぎてむしろやっちゃいけないだろうと思われることが回答として期待されているのよね。にも関わらず、違和感覚えながら「これが求められているんだろうな―」と思いながら回答するというのは試験としてどうかなと思ってしまった

  • 事例4の電卓→手書き回答

    • 事例4は結構なボリュームを電卓で計算します。そして計算の過程を手書きで解答用紙に写します。写し間違え、電卓打ち間違えが当たり前のように発生します。

      • はぁ?何のための手打ち、転写?ホント意味分からん。

      • 現場では誰も電卓使わんので、表計算ソフト使わせてくれ、ホントに。理論分かってるのに、打ち間違い、転写に時間取られる、間違う人を落とすのは止めてくれ。そこを評価したいのではないのでしょうに。

    • 与件分を読み取って、5年間のCF(キャッシュフロー)を手書きで計算します。計算すべき項目は表で書けますが、計算と転写は手です。全く謎です。何を求めているんでしょうか。

落ちた自分が、↑のような不満を言うのは負け犬の遠吠えであることは理解していますが、結構な時間と労力(特に家族に対する貢献の低下)を割いた試験が、試験のための試験のような気がしてて、他社をコンサルティングするような立場になるための試験がボロボロすぎて、頑張ろうという気にならないのです。

でどうするの

上記の理由により、現状もう一回2次試験をがんばるのは意味ないと考えて、2024年の受験はやめにしました。とはいえ、1次試験の座学の勉強であったり2次試験で学んだセオリーは無駄だったかというと全くそんなことはなく有用です。むしろ一度学んだから色々気づいたわけです。

はい、そういうことで次をやっていこうと思います

  • 資格無くてもコンサルティングはできるし会社作れるので、これまでの自分の経験+今回までの勉強ベースで会社を作る

  • インナーサークルは、中小企業診断士のインナーサークルだけじゃないので、地元の経営者とか前職や出身校のOBや別の資格(FP)のサークルもあるので、それを活用してみよう

  • 自分が会社やって経営者側の立場に立ったり、様々なクライアントの課題を解決してく中で経験を積み、診断士の試験の形式が変わったところで次の受験を頑張ってみよう(何歳になっているだろうか...)

改善に向けた提言

言いっぱなしもよくないので、2次試験の改善に向けた提言を考えました。似たような試験ですがITストラテジストの試験を受けた時に「全然こっちがいいじゃん」と思ったので、その経験ベースです。1次試験は、そのままで良いのかなと思います。1回しか受けていない私が言うのも僭越ですし、評価する側の視点が抜けていると思いますが、Examinee firstってことでご容赦ください。

  • 手書きを止めてCBT(Computer Based Testing)にする

    • 散々↑に書いたように、受ける側、採点する側もメリットしかない。採点コスト下がるから、その分運営側のPCコストに回そう

    • Thin Appとかのようなアプリケーションの仮想化技術があるんだから、ボロいPCでもかき集めるか企業or大学のPCルーム借りてCBTやろうよ。WordやExcelライクな最低限のアプリがあるだけで死ぬほどみんな助かるよ

    • PC使えません、のような人は診断士になれませんと足切りでOK

  • 問題数を減らし、回答する問題を選択式にする

    • ITストラテジストの午後2試験では3問与えられるけど答えるのは1問みたいな感じです。

    • 当たり外れ、得意不得意を慣らすために、現在の全員同じ4問を、3問から1問選択+財務会計にしたほうが良いんじゃないか。

      • 事例3のような生産現場のような試験は1次試験だけで良いと思っている。2次試験程度の知識では現場で通じないので、経験ある人が2次試験頑張る、関係ない人は1次試験の知識で十分

    • 問題数を減らすことで、1問に対する問いや洞察を深めて、与件文を自分で書かせるくらいのことをやったほうが良いんじゃないか。

      • そうすると与件文→課題→ソリューションをワンセットで準備する人もいるんだろうけど、そこのロジックがちゃんとしてたらそれでもいいんじゃないかと思うな。与えられた課題に寄せていくというより、如何に自分のロジックに寄せていって、それがリーズナブルなロジックかというのを評価するのでも良いのではないかと思います。

私の浅い受験経験から↑のことを感じました。評価する側、運営する側、欲しい人材を定義する側、いろんな思惑があると思いますが、受験する側にとって納得感のある制度と試験であることを望みます。受験者数が増加しているので、今のスタイルを変えなくて良いと運営側は思っているかもしれませんが、本質以外のところで受験者側に無駄な量力を使わせているということは理解していただきたいと思っており、改善を切に願います。

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