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マイナポータルによる情報連携(年末調整)

私自身の給与所得に係る年末調整のために、マイナポータルを使って、生命保険料控除等のデータを入力した。
具体的には、生命保険会社等から送信されたXML形式のデータをマイナポータルを通じてダウンロードし、職場が使っているクラウドサービス(以下「年末調整クラウド」)にアップロードした。
デジタル活用により、生命保険会社等から毎年10月頃に郵送されてくる紙の証明書の記載事項を紙の書類に転記したり、複数の保険による控除額の総計を電卓で計算する手間も省ける。

これは、マイナポータルが国によって運営されていることと、ログインの際に厳格な当人認証がなされていることによって実現している。
ログインは、以下の2つの手段がある。
(1) ICカードリーダライタを使う方法
・マイナンバーカードを市販のICカードリーダライタに翳して、利用者証明用電子証明書の暗証番号(4桁)を入力する。
(2)QRコードを使う方法
・事前にスマートフォンにマイナポータルアプリをダウンロードしておく。
・パソコンによるマイナポータルへのログイン画面に表示されるQRコードをスマートフォンのカメラでスキャンし、スマートフォンに、マイナポータルアプリに利用者証明用電子証明書の暗証番号(4桁)を入力した後に、マイナンバーカードを当該スマートフォンに翳す。

(1)、(2)どちらでも、マイナンバーカードが必要であるが、カードに印刷されている顔写真等の情報は関係ない。ICチップに格納されている利用者用電子証明書を用いて、マイナポータルにログインする当人が何者かを認証しているのである。これは、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が提供している公的個人認証サービスの用途の一つである。

ここまで読んだ方の多くは、マイナポータルにログインして何が嬉しいのか?という疑問を持つかもしれない。
しかし、実際に年末調整の作業を行えば、生命保険料控除等のための複数の紙の証明書類をハサミで切りはがし、台紙に糊で張り付けて、証明書にボールペンで番号をつけて区分したりする手間の大変さを思い知るだろう。

実は、ここまで到達するのに、マイナンバーカードの交付が開始された2015年度から7~8年程度を要した。
生命保険会社等は、保険等の加入者の情報をマイナポータル側(正確には「e-私書箱」)に提供するための同意を、加入者本人から得る必要がある。保険外交員(生保レディ他)がそんな手間のかかる仕事をするはずもなく、各社のWebサイトを通じての申請手続を整備してきたのだが、システム開発、広報宣伝等に力を入れる度合いは、各社によって異なっていたようだ。
私は、2年前に、加入している某生命保険会社に電話して、抗議したことがある。当該生命保険会社のWebサイトを通じて情報連携に同意した上で情報連携を申請したのに、マイナポータル側(正確には「e-私書箱」)に生命保険料控除証明書のXMLデータへの提供が、10日経っても実行されなかったからだ。
職場の総務部への「年末調整クラウド」を使った提出期限である11月末までに間に合わなくて、やむなく紙の生命保険料控除証明書をスキャンして添付して総務部に提出した。

民間の生命保険会社の対応はそこそこ進んだが、公的な制度における情報連携への取り組みは遅々としている。例えば、国民年金基金連合会が運営している「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は、小規模企業共済等掛金を所得控除できることが大きなメリットなのだが、マイナポータルを通じた情報連携(「小規模企業共済等掛金払込証明書」(XMLデータ)をダウンロードできること)は、何と、今年(2023年)の10月24日に開始されたばかりだ。

デジタル庁等が普及に取り組むマイナンバーカードは、官民を超えた情報連携が実現してこそ、国民はそのメリットを実感できる。私自身は「まあまあ」という感想。とりあえず、11月中に職場の総務部に「年末調整クラウド」で、所得控除に係る証明書データを送信できたので、ホッとしたところだ。

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