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「ロバート・ツルッパゲとの対話」との対話

ワタナベアニさんの著書「ロバート・ツルッパゲとの対話」が手元に3冊ある。Amazonで予約した分と、トークショーの整理券の為に友人が購入してくれた分に加えてサインを頂く為にトークショー当日に購入した一冊、握手会目当てにCDを爆買いする方々のことをとやかく言えない立場になってしまった。

通して読んだ後、ところどころ拾い読みを繰り返してまた通して読んだ。こんな読み方が楽しいのも哲学の本。楽しい、というのは読みながら色々な事を考えてしまうからで、飄々とした平易な文章にも関わらずちょっと読んでは、考え込んでしまってなかなか先に進まない。ついつい頭の中で「ロバート・ツルッパゲとの対話」と対話してしまう。対話をすると自問自答していて落とし所を見失っていた様々な考え事が、どんどんクリアになっていくのがわかるのです。

思考と言葉、言葉の定義について書かれた章には膝を打つ思いを、そしてキジウチのこれほどエレガントな描写は泥棒日記(犬だけど)を読んで以来の感動を覚えた。クレクレタコラを筆頭にたくさんのダジャレをちりばめつつ、エッジの効いた考察を品と喉越しの良いスマートな言葉で、にもかかわらず些かの明晰さも失っていない、(おそらく膨大な)実績と体験と教養で培った“品の良さ”を満喫できる本でした。

品を身につけることは難しいけれど、品について学ぶことはできるのではないかと、気持ちが明るくなったところで… 後書きの最後が気になって仕方ない。

“レッツ・ブックオフ”

あながち冗談でもなさそうな気がしてならないのです。モノの価値や質といった事柄にスルドイ考察を重ねているアニさんはもしかして本気でそれを期待しているのでは?

サイン入りと友人に買ってもらった2冊は永久保存版ですが、手元にはもう1冊。品薄で入荷を待っている人が多いなか3冊持っている罪悪感もあるのですが、世の中の古本しか買わない層にも是非読んで欲しいと。瓶の中に手紙を入れて海に流すのはこんな気分なのかなぁ。

そんな訳で1冊“レッツ・ブックオフ”しますので、運良く巡り会った方は大切に読んで欲しいと思います。

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