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Torus (トーラス) by ABEJA

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Torus(トーラス)は、AIの社会実装を手がける、株式会社ABEJA(https://abejainc.com/ja/)のオウンドメディアです。「テクノロジー化する時代に、あえ… もっと読む
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2019年10月の記事一覧

「僕は楽しいからそうする」。大学の外で研究する「在野研究者」たち

 「なにかおもしろいことが生まれる可能性はアカデミアのなかにもあるだろうけど、在野や世間にだって同じくらいある。その区別も今となってはどうでもいい。僕はどっちにも存在している。学びはどこでもできる。何度でも始めなおせばいい。僕は楽しいからそうする」 (『在野研究ビギナーズ』逆卷しとね 「第一二章 彷徨うコレクティブ」より) 「大学に属してませんけど、なにか?」 そんな帯文の本が話題です。「在野研究ビギナーズーー勝手にはじめる研究生活」(明石書店)。 研究者といえば

「コレジャナイ」。 内なる声に従って、ベンチャーに飛び込んだ戦略コンサル

話を聞いたらいろいろ出てきそう。なんだかほじりがいがありそうだ。ABEJAには、そう思わせる人たちがいます。何が好きで、どんなことが大事だと思っているのか。そんなことを聞き書きしていきます。 今回は山本直樹さん。コンサルタント会社の「パートナー」だった58歳のとき、ABEJAに移りました。給料は10分の1に。だけど本人は自分の心に正直に従ったと言います。 なぜ?話を聞きました。 「コンサルタントってSEと同じじゃないか」天狗からの挫折ーー日立製作所の技術者だったそうですね

「満足度60%がこのあと10年続くって地獄じゃないか?」 私たちがキャリアに悩む本当の理由

「私がやりたいことって、なんだっけ…」「ここにいてもいいのかな…」 生きる上で、仕事の悩みはなかなか尽きません。今の会社でがんばるべきか、転職すべきか、それとも独立か……。将来に不安を感じることもあるでしょう。 そんな悩める人々が週1回、平日の昼間に集まるスナックが東京・麻布十番でひっそりと看板を出しています。その名は「スナックひきだし」。 カウンターの中でお客さんの話に耳を傾けるのは、人材開発会社を経営する木下紫乃さん(51)。通称「紫乃ママ」です。 これまでに訪れ

「本のない家」で育った私が、ブックデザイナーになったわけ。

『クイックジャパン(太田出版)』、『文藝(河出書房新社)』、『生理ちゃん(KADOKAWA)』など人気タイトルを数多く手がけてきたブックデザイナーの佐藤亜沙美さん。装丁や本づくりへの思いを語ってもらった。 そんな佐藤さんは意外にも「本のない家」で子ども時代を過ごしたと話す。それでも本づくりに携わる仕事に就いたのはなぜ? 本はルールをちょっと外すと刺激的になる 佐藤)学生のころに、デザインの勉強をはじめました。そのあと働き始めた出版社のデザイン室は、ひとりひとりがプレイヤー

人気ブックデザイナーが考える 「いい装丁」とは?

本好きなら、気になっている人も多いはず。装丁家という仕事。 装丁に込められた思いを知りたくて、人気ブックデザイナー佐藤亜沙美さんのもとを訪れた。 佐藤さんは2006年から8年間、デザイナー祖父江慎(そぶえ・しん)さんが代表を務める「コズフィッシュ」に在籍。2014年に独立し「サトウサンカイ」を設立した。 2016年からは『Quick Japan(太田出版)』のアートディレクターになり、その後も『静かに、ねぇ、静かに(講談社)』、『生理ちゃん(KADOKAWA)』などの人

鶴から悪魔、宇宙、認知まで。折り紙、その奥深き世界

話を聞いたらいろいろ出てきそう。なんだかほじりがいがありそうだ。ABEJAには、そう思わせる人たちがいます。何が好きで、どんなことが大事だと思っているのか。そんなことを聞き書きしていきます。 今回は安宅雄一さん。週1度開かれている社内勉強会「ABECON」(アベコン)で、折り紙について話してくれたことがあります。歴史、技法、宇宙に行った話、果ては人の感性まで。その奥深さといったら...! 安宅さんにいざなわれ、折り紙の世界をのぞかせてもらいました。自作の折り紙も見ものです

この世界にあえて身を投じた。七宝焼きの名門“ゴダイメ(五代目)”の覚悟

6月1日、即位からほどない天皇皇后両陛下が、初の地方訪問で訪れた場所がある。愛知県あま市七宝町。金属にクリスタルガラスを焼き付ける伝統工芸品「尾張七宝(しっぽう)」で知られる地域だ。 かつて美術宝飾品として人気を博したが、時代の流れとともに状況は激変。最盛期は同町に200軒あった窯元も、現在では8軒まで減った。 「存在を知られないまま音もなくひっそり消えていくなんて耐えられない。ただ作ってるだけじゃ、それで終わっちゃう」 当地で130年以上続く七宝焼の名門「田村七宝工芸