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外観はツタまみれの建物の二階は薄暗く、点在する年寄り客がヒソヒソ話をしている。屋根裏部屋のような低い天井の店内はフレンチレジスタンスのアジトのような雰囲気で、今にもナチスのSSが階段を駆け上がって乗り込んできそうだ。今や絶滅危惧種になってしまった全席喫煙喫茶では、他人同士に奇妙な連帯感が生まれる。潰れてしまったらまた行き場を失ってしまうので足繁く通わなくてはならない。

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最近の批判の仕方というのは圧倒的にSNS上というのが主流らしい。自分のフォロワーが味方としてまわりを取り囲んでいる状態で言いたい放題ぶちまけ、事情を直接知らないフォロワーもそれに同調して受け入れてしまう。客観意見も反対意見もない守られた閉鎖空間で一端の口を利いていてもまさに「井の中の蛙大海を知らず」。自分の矮小な承認欲求を満たす以外役にはたたないだろう。

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インスタレーション制作その他で3、4ヶ月関わっていた『ニュウマン横浜』が約1ヶ月遅れでソフトオープン。客も館側もコロナ渦での恐る恐るのオープン。タグラインは「未知なるme」。自分も未だ知らないもうひとり自分に出会う場所という意味合いだが集められたテナントの既知感は否めない。エスカレーターから見える横浜駅のホームの風景とかテラスから眺める雑多な風景とか、「永遠の未完成」的な横浜の魅力をもっとフューチャーすればいいのにと個人的には思った。

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終日オフ日。近所の定食屋で遅めの昼食ポークジンジャーを食べて、本屋をのぞいて、喫煙喫茶でひと休み。コロナの感染者数が着実に増えていることを除けばごくごく平凡な一日。

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一昨日55人と跳ね上がった新型コロナウィルスの新規感染者数。昨日48人、今日また54人と高止まりが続いている割に都知事もメディアも我関せずなムード。不安だけばら撒いてあとは各自の自己責任で働け稼げと無責任にも程があるんじゃないか?首相は全責任は自分にあると軽く連発するがその責任をどう取るかについては言及しないので話にならない。都合が悪くなると専門家に責任転嫁、専門家が批判的な発言をすれば専門家会議を廃止って北朝鮮もトランプも安倍も独裁者はどこも一緒。

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I♥NYのロゴで有名なミルトン・グレイザーが91歳の誕生日に亡くなった。僕がデザインやイラストレーション、アートに興味を持ったそもそもの入口が彼やシーモア・クワストのプッシュピン・スタジオの存在だったので感慨深い。"Certainty is a closing of the mind. To create something new you must have doubt"(確信は心を閉じてしまう。なにか新しいものを創造するには疑念をもたなくてはならない)彼の残した言葉を聞くとなにか禁欲的な修行僧のようにも思えてくるが、そんな彼の作品の多くが人間味溢れる印象なのも彼の人間性を表しているのかもしれない。

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日記のようなものを書きはじめて4週間がたった。これが何かの役に立つのかどうかはまだよくわからないし、こういった書き方が正しいのかももう少し続けてみないとわからない。どうしても架空の読み手を意識して説明口調になってしまう。先日亡くなったミルトン・グレイザーの言葉に"If you have to explain it, it ain't working"(もし説明が必要なら、それは機能していない)というのがある。まさにその通りで、説明を必要としている時点で出来損ないなのだ。なにかを説明するのではなく、思考の記録のようなものを書いていければ自分にとって多少有益なものになる気もするのだが……。

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