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デジタルのモノクロはフイルムのモノクロに追いつけるのか考察してみた

こんにちは、ワダトオル(@torufoto)です。

今回はデジタルモノクロの話というか、考察をしていく。

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「モノクロやるならフイルムだよ」って聞いたことない?

なんかムカつくけど、これにはちゃんとした理由がある。


JPEG8bit問題

デジタル画像で一般的なJPEGデータは8bit

この8bitデータは256(2の8乗)の階調で表される。

カラーの場合

R:256×G:256×B:256=16,777,216

R=レッド G=グリーン B=ブルー (光の三原色)

およそ1670万色で表現できる。

これが、モノクロになった場合

256階調

モノクロのJPEG画像を見る場合、真っ黒から真っ白までの256階調でしか表現出来ない。

しかし、モノクロ手焼きプリントをスキャンした、キレイな階調の写真をスマホやモニターでも見れることから、bitの問題より大きな問題があると思われる。(手焼きプリントを生で見る方がキレイなのは間違いない)

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カラーセンサーの問題

デジカメセンサーの拡大図

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これは、一般的なベイヤー配列センサーというデジカメのセンサー

このセンサーに当たった光の量を電気信号に変え、画像処理エンジンで処理し、写真データとして保存される。

RGB各色は同じRGBの光しか受け取れない、例えばRのピクセルではRの光の量しか測定できない。(色に関係なく1ピクセル=1画素)

画像処理エンジンはRGB各色のピクセルと、その周辺にあるピクセルに当たった光の量で、色味を計算している。(噂で同じセンサーを使っているのに、メーカー事に色味やノイズ処理が違うのは、主に画像処理エンジンの違い)

ここで大事なのは、センサーの仕様上、モノクロ設定で撮ったとしても、カラー画像から変換されているということ。

つまり、一般的なデジタルのモノクロ写真は、カラー写真から色を抜いたデータになってしまう。

そして、1670万色のデータから256階調にする際、細かな色の違いで表現していたディテールが潰れてしまう。

結果として、階調をベタっと塗り潰したような眠たいモノクロ写真が出来上がる。

モノクロ変換

※ライカQで撮影、右上にある花の階調がわかりやすく潰れている。


デジタル現像による対処

・ハイコントラストにする

眠たい階調をハイコントラストにすれば、フイルムで撮るハイコントラストに近づける。だって階調があんまりないんだから。粒子を混ぜるとよりフイルムに近くなるかもしれない。

ハイコントラスト

・RAW現像で色味を調整する

画像の劣化を避けるため、RAW形式で撮影、モノクロにしながら、色味を調整して階調を出す。おそらくこれが一般的な方法。

スクリーンショット (1)

※画像はLightroom


各メーカーの特殊なセンサーによる違い

・富士フイルム:X-Transセンサー

X-Transセンサーは、モアレの発生を防ぐために、一般的なベイヤー配列とは違う特殊な配列をしている。モノクロの場合はやはり、カラー画像として保存しモノクロ変換するため、ベイヤー配列センサーと変わらない処理をすると思われる。しかし、富士フイルムはモノクロ写真にも力を入れており、フイルムシュミレーション:アクロスでは他のメーカーより階調が出ている気がする。画像処理エンジンの性能なのか不明だが、カラー画像からモノクロ変換する際、より階調が出るような色味の調整がされているのかもしれない。

・シグマ:Foveonセンサー

Foveonセンサーは他のベイヤーセンサーとはまったく異なり3層式のセンサー、解像力は他のセンサーとは別格。特殊な構造のため、画素数が多くなってしまい、高感度に弱く、カメラとしてシグマdp系の動作の遅さがあるが、好きな人は好き。人を選ぶカメラである。モノクロ写真も優秀と聞くが、あまり使った事がないのでわからない。知ってる人はDMで教えてほしい。

・モノクロ専用センサー

現在、モノクロ専用センサーを販売しているメーカーは、ライカと中判デジタルのフェーズワン。他のカラーセンサーと異なり、純粋に1画素ごとに当たった光の量を測定し、モノクロ写真データとする。つまり、カラー画像ではなく、直接モノクロ画像として記録されるため、デジタルモノクロの欠点だった階調が潰れにくくベタっとしにくい、解像力も高い。デジタルモノクロの最適解だと思われる。欠点はとにかく値段が高い。モノクロしか撮れないカメラに高額なお金を払う人は稀である。あくまでデジタルカメラのためJPEG8bit、256階調を超える事はできない。

結論

以上の理由から、モノクロ写真はフイルムで撮る方が階調的にはキレイになると言える。

まとめ

フイルムモノクロ写真での高階調は手焼きプリントを生で見る。ということが前提である。手焼きプリントをスキャンや複写等でデジタルデータとした場合、JPEG8bitになるが、元の階調が良いためキレイな階調の写真として見れる。デジタルモノクロで到達できるのはJPEG8bitという同じ制約のスキャンしたデータまでってとこだろうか。

解像力や手軽さ、現像の手法など、デジタルモノクロの可能性を模索していく事で、フイルムでは出来なかった新しい表現をする事ができるかもしれない。

この前、デジタルモノクロのプリントを展示していたが、フイルム手焼きと間違える人が何人かいた。見る人が見ればわかるが、少しフイルムをやっていたぐらいの人にはわからない。デジタルよりフイルムの方がキレイなのは間違いないが、丁寧な現像とプリントをすれば、そんなもんである。というか大事なのはそこじゃない。

自分がやりたいように、好きにするのが一番いい。

※あくまで考察なので、間違っている点や意見等があればTwitterのDMに送ってください。訂正、加筆します。

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