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溜池随想録

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コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)時代に書いたソフトウェアに関するエッセイです。
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#ソフトウェア

溜池随想録 #3 「SaaS (Software as a Service)」 (2009年8月)

溜池随想録 #3 「SaaS (Software as a Service)」 (2009年8月)

SaaSとは何か

 SaaS(サース)とは、ソフトウェア・アズ・ア・サービスの略で、直訳すれば「サービスとしてのソフトウェア」となる。簡単に言えば、ソフトウェアが提供していた機能を、インターネットを通じてサービスとして提供(あるいは販売)する仕組みのことである。

 これまではソフトウェアを自分のパソコンや社内のサーバーにインストールして利用していたが、SaaSの場合には、ソフトウェアはインター

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溜池随想録 #2 「ソフトウェアのオーバーシューティング」 (2009年7月)

溜池随想録 #2 「ソフトウェアのオーバーシューティング」 (2009年7月)

オーバーシューティングとは何か

 先月紹介した”IT Doesn’t Matter”の中で、カーは、ITが抱えるもう一つの問題を指摘している。それが「オーバーシューティング」である。オーバーシューティングとは、目標に向けて何かを調整する場合に目標を超えてしまうことをいう。ここでは、ITの技術進歩が利用者のニーズを超えてしまい、IT製品が利用者の必要とする以上の性能や機能を持つことを言う。

 実

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溜池随想録 #1 「ソフトウェアのコモディティ化」 (2009年6月)

溜池随想録 #1 「ソフトウェアのコモディティ化」 (2009年6月)

IT Doesn’t Matter

 もう6年前になるのに、今読んでも”IT Doesn’t Matter”に古さは感じられない。この論文は、ハーバード・ビジネス・レビュー2003年5月号に掲載されたもので、著者はニコラス・G・カーである。

 当時、この論文の結論を「IT投資はお金の無駄遣いである」だと誤解した人が少なくなかったが、カーの主張は「ITは、もはや企業にとって持続的な競争優位の源

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