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溜池随想録

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コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)時代に書いたソフトウェアに関するエッセイです。
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#パッケージソフト

溜池随想録 #4 「SaaS と規模の経済」 (2009年9月)

溜池随想録 #4 「SaaS と規模の経済」 (2009年9月)

規模の経済

 SaaSと規模の経済の話をする前に、規模の経済とは何かを簡単に説明しておこう。

 まず、事例としてパッケージソフトのビジネスを考えてみよう。あるパッケージソフトの開発に要したコストが1億円で、このソフトをCDに格納し、説明書をつけてパッケージにして販売するコストを1本につき1000円かかると仮定しよう。
 もし、このソフトを1万本生産すれば、総コストは1億円+1000円×1万本=

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溜池随想録 #2 「ソフトウェアのオーバーシューティング」 (2009年7月)

溜池随想録 #2 「ソフトウェアのオーバーシューティング」 (2009年7月)

オーバーシューティングとは何か

 先月紹介した”IT Doesn’t Matter”の中で、カーは、ITが抱えるもう一つの問題を指摘している。それが「オーバーシューティング」である。オーバーシューティングとは、目標に向けて何かを調整する場合に目標を超えてしまうことをいう。ここでは、ITの技術進歩が利用者のニーズを超えてしまい、IT製品が利用者の必要とする以上の性能や機能を持つことを言う。

 実

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