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自分用にお試しで作った「フォト」代替アプリにそこそこ反響がある、というどうでもよい話し

自分が個人としてアプリを作る一番の理由は「自分が使いたいから」です。逆に言うと、自分が使いたいと思えるアプリが存在しないから作る、みたいなこともあります。

ソフトウェアを作るには、それなりのモティベーションが必要であり、「プロダクト」として完成させるにはそれなりのコミットメントが要求されます。日本語で言うと、一言で「作る理由」ですね。ちゃんとした理由がなければプロダクトとして世に出る事もないし、メンテも続きません。

ソフトウェアは生き物なり

不動産業界にいた頃、一時世の中で「デジタルサイネージ」というのが流行ったようです。ようするに「店頭の電光掲示板・電子広告板」ですね。頻繁にチラシが舞い込んだり、営業の方がいらした時期がありました。

当時、自分的には内心、「てか、それって単にフルスクリーンにしたスライドショーを動かしているだけやん!」と、常々、なんでそんなのが商売になるのか疑問でありました。月々ウン万円とかサブスクリプションタイプでしたしね。

「そんなん不要になったPCのディスプレイにスティックタイプPCを突き刺してスクリーンセーバー動かしておくだけでいいやん!2万円もしないで出来るぞ」、みたいな。まぁ、面倒だったのでやりませんでしたが。

時は流れてWindows10が登場します。

当初、Microsoftは既定のアプリをUWPのストアアプリに変えてくる、という所業をしました。UWPについては言いたい事は沢山あるのですが、あの遅い起動、気持ち悪いニョリョニョロした挙動、ボタン等の間の抜けたスペース感、と良い事が一つもありません。Windows8のメトロスタイルという黒歴史。

毎日パソコンを使っている上で、こりゃダメだ、と思うアプリの使用を強制されることほどイヤな事はありません。Windows10は基本的には素晴らしいOSで、場合によってはMacやLinuxよりも完成度や開発する上でも良い事が多いです。

そんなWindows10ですが、画像を表示するだけのWindowsデフォルトのアプリ(昔は何だったか覚えていない)がUWPの「フォト」に代わってしまい、個人的にあのUIに拒絶反応を起こしていました。繰り返しますが、あのUWPの遅い起動、気持ち悪いニョリョニョロした挙動、間の抜けたスペース感です。単に画像のプレビューをしたいだけなのに、「編集メニュー」やら不要な機能がついていて、(それでいて)その機能は中途半端。編集するならPaint.NetとかPhotoshopとか専用のを使うし・・・と強烈な不満を感じていました。

自分は画像プレビューに特化したシンプルでサクサク動くアプリが欲しいのだ、と。

しかし、Windows10では、ファイルの関連付けをして画像を開くデフォルトのアプリを開く設定をするためには、UWPで作ったストアアプリでないといけない、というあくどい仕様になっていました。普通のソフトが登録出来ない、という・・・。ゴリ押しは良くありません。

仕方なくMirosoftのストア(これもUWPアプリ、最近は少しマシになった)で検索してみましたが、どれもUWPのもので、見た目も操作性もダメダメでした。

UWPがあまりにも不評でストアに碌なアプリも集まらず、困ったMicrosoftはついにアプリの種類をUWP製だけでなく、C#/WPFや、Win32/64アプリ、つまりC++やDelphi等で作ったネイティブなアプリも登録・公開できるよう、ストアの基準を緩めました。

ならばいっちょ自分で使いたいシンプルなアプリを作るか、と。シンプルいずベスト。2018年の事だったと思います。

どうせなら、デジタルサイネージ向けにも使えるようにスライドショー機能付きのアプリにしよう、と。一石二鳥という言葉は大好きです。

C#/WPFで作っても良かったのですが、自分はプライベートではLinuxやMacを使うことも多い(特にLinux)ので、ついでにクロスプラットフォーム開発が出来る開発環境を試したいと思い、その評価の為、お試しでLazarusという開発ツールを選択しました。実際に作ってみて、LinuxとMacとWindowでちゃんと動く、という事を確認したかったのです。

頭で知っているのと実際にやってみるのとでは、経験値として天と地ほどの差が出てきます。

一度Lazarusでアプリを作れば、LinuxとMacとWindow各プラットフォーム向けのバイナリがネイティブにコンパイルできるということで、実際の所、どれだけのものなのか検証するのに丁度良い機会になる、これは一石三鳥だ、と。ますますよろしい。

結果としては、まぁまぁ使えるのが出来ました。LinuxとMacとWindowで動作します。試してはないですが、Raspberry Piみたいなマイクロコンピュータ(マイコン、今風にいうとIoT笑)でも動くはず。

画像の表示やスライドショーと言った機能自体は単純ですし、その昔Delphiも使っていたので、Lazarusはその慣れていた環境に似ているため、形としては1週間ぐらいでサクッと出来上がりです。見た目も機能も極力シンプルに抑える、というのは絶対に外せない条件でありましたので。

そこで、いざ自分で使おう、という段階で、やはりストアに公開してからインストールする、という回りくどい手順を踏まないと、画像からクリックで開く「関連付け」が出来ない状況には変わりはありません。

という事で、自分の為にお試しで作り、自分が個人で使う、というだけの目的で、世の中の万人に向けてMicrosoftのストアでアプリを公開する、という所業をするに至ったわけであります。

な~んにも考えていませんでした。

現時点で、5万を超えるダウンロード数があり、レビューの評価も「五つ星」を頂いております。アクティブユーザーセッションもそれなりにあるようで、正直、自分で使うためだけに作ったものが世界中でこれだけ使われていると少々ビビります

Microsoftが変なことするから、自分が使うためにだけにMicrosoftのストアを利用してやったぜ、へへへへ。ぐらいに考えていた自分・・・。

まぁ皆さん考える事は同じで、やはりデフォルトのUWPアプリ「フォト」が相当にウザかったのでしょう。ミニマリスト的な機能とネイティブなアプリがゆえの高速起動が一部の層にはウケたようです。

と言っても、ほぼ全て非日本語圏で利用されているようです。なんでやねん。

因みに、ダウンロード数というのは新しいバージョンをリリースすれば、その新しいバージョンがダウンロードされて数に加算されるので、頻繁にバージョンアップをリリースするアプリほどダウンロード数は増え、アプリ間での比較対象としてはあまりあてになりません。ただ、自分の場合は、作ってほぼ放置していた時期が長かったので、そういうケースとはちょっと異なります。むしろ、更新しなさすぎ・・・というかシンプルさにこだわっているので追加機能も何も・・・という感じで。

ちょっとした改善の要望や不具合の報告なら、ありがたく受けて、その場でチョチョっと弄って、1時間後にはもう新バージョンが公開されている、みたいな、企業とかではありえないスピード感なんで、ユーザーの皆さんにはビックリされるのと同時に、喜んでもらえていた気がします。

最近では、Zoomでミーティングをしながらプレゼンするのに使えるとかなんとか・・・。

作ったアプリのソースもGithubで公開していますが、ここでもチラホラと反応とか要望を貰うんですよねぇ。自分の為だけに作ったのに・・・ってボヤいてもしょうがないですね。

コマンドラインからも引数指定で起動できるようにしているので、他の商用ソフトから起動されて使われるケースもあるらしく「うちのカスタマーが~」・・・ってそんなん責任持てねーぞオイ、みたいな。あと、Mac版をApp Storeで~とか、いやAppleのAppストアは登録年会費とか手続きが面倒なんだよなぁ・・・誰か手伝って、みたいな。

もともと英語で作り、日本語化するという「多言語化」はしてあったのですが、オープンソースで公開した結果、海外の人から新たな言語翻訳ファイルが送られてきた(Pull Request)時は嬉しかったです。もし自分が明日死んでも誰かが引き継いでくれるかも知れません。

もしオープンソースにせず、一人ソースコードを抱えたままある日突然死んでしまった場合、そのアプリも死ぬことになります。誰もアプリを更新してバージョンアップすることも出来なくなるからです。例え死んでなくても、飽きっぽい自分は単純に放置してしまう可能性もあります。

自分がアプリをオープンソースにするというのは、もし誰かがこのアプリを有用だと思ったら、誰でも好きに使っていいから、面倒をみてやってくれたらうれしい、という遺言代わりみたいなところもあります。

ある意味、アプリを更新してGitHubにソースコードをコミット(アップロード)するたびに、よし、これでもう明日死んでも大丈夫だ、とか安心する訳です(笑)。

てか、面倒を見なければならないアプリは他にも沢山あるので、もう引き継ぎたいw

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