江ノ島は今日も霧雨 vol.3

変態変態と三回もタイトルに使ってしまったが。いわゆるブリーフを頭からかぶってしまうスーパーヒーローだけが変態ではないし、変態は決して悪口ではないと私は思っている。

若気の至りという言葉があるがまさに言い得て妙なのであって私黒柳にも青春があり思えば日々を一生懸命過ごしていたように思う。もう何十年も前になるが、とある競艇場にていわゆる予想屋の人間と揉めたことがある。ギャンブルは自己責任それはあたりまえのことであるが、いまでこそ分別があるし、我慢もきくようになったので博打でいくら熱くなろうとも、端からみれば冷静である。しかし当時の俺はそうではなかった、あくまでも衝動的であり我慢の効かない極潰しであった。

当時はつねにお金がなかった。なけなしのお金をボートに競馬につぎこんでは泣きをみていた。愚かな若者であった。F市にTというボートレース場があり。その日は調子がよくいわゆるコロがしってやつがうまくはまり、奇跡的に50万ほどになった。そして運命のレース。あとすこしで帯になる。というところで俺は一応人の意見も聞いてみようということで怪しい男から幾ばくかの小銭で情報を仕入れた。かんじんなところで他人に下駄を預けるのは当時の俺の悪いくせだった。この判断が後に悲劇を産む。

ここからの流れは割愛するが、当時の自分にとってはまさに天王山。これに勝てばどん底から浮上できる。人生のなかで極めてまれに訪れるスーバービッグチャンス。その時はまだみぬ帯に指くらいはかかっていたのだろうか?ほんとうにあと少しで掴めたはずだった。あとすこし。心技体は充実し知らないおじさんに牛炊を振る舞ったりして、良い調子だったのである。がしかし、がしかし、がしかし、、、俺のヒキはここまでだったのである。

さあっピット離れよーし!まえづけしかける輩もいない。きれいに123/456と並んだのである。3対3ここまでは完璧。あとは練習通りにスタートして1マークで普通にターンを決めれば俺の勝ちは確定し俺は帯びる。さあダッシュ勢がスタートをきった。それからイン勢なのだが、よしよし俺の1はどうだ?ん!ちょっと遅れた‼️の‼️か?あらっ?

現実は常に厳しい。ここぞという場面で決められないのは俺のそれまでの行いのせいなのだろう。そう1は本当に出遅れたのだ。スタートをしくじったあげくまさかまさかの格下の2号艇におもいっきりまくられたのである。格下に直マをくらい引き波の中でキャビる1号艇を見たとき。空間が歪んだ気がしたよ。カイジとかに良くあるぐにぁ~ってやつ。本当俺には博才もなければ博運もないなぁと思ったよ。結果的に帯びるどころか、半帯ほどあった銭はすべてT摩川の水面に消えたのである。こんな大勝負であるもちろん本線の他に抑えも買っていたさ。しかし俺の抑えは4号艇。その時は2着だった、、、

自分を呪ったよ。ほんの数分前まで、あわよくば車でもかっちまうか?とかリア充な未来を描いていたんだから。反動はすさまじく飛んだ1号艇に罵詈雑言のコンビネーションを叩き込むと、怒りの矛先は怪しい予想屋にむけられたのである。博打はてめえの責任だの。俺は悪くない。買えなんて言ってない。だの。むこうも鬼の形相で捲し立ててきたが当時の俺にそんな理屈は通じない。俺に教えたことでお前にも責任がある。おまえはおれから銭とってんだろ?と。おれの半帯返せ。と。怒りマックスで突撃したものだ。結構な騒ぎになり人も集まってきたがそのなかに完全に普通じゃない人間がいたのである。

「おい兄ちゃんずいぶんあれてるじゃねえか?ぜんぶすっちまったのか?てめぇの気持ちもわからないでもないが回りにも迷惑がかかるからよ」妙に貫禄のあるおじさんだった。おれだってこの※おじさんが何者かくらいはすぐにわかった。当時は不良全盛期。カタギの中でもガキにだけは絶対になめられちゃいけない人たちである。どう振る舞うべきか俺にもそれくらいの分別はある。「オケラになっちまったか?まあいいや飯でも食うか?」断る理由はあっても逃げる知恵も根性もなかった俺はそのままその人についていき、近所の中華で飯をごちそうになる。博打は熱くなったらまけよ。とか。使っちゃいけない金は使うなよ。とか博打3ヶ条なんかを教えてもらった気がする。忘れちゃったけど。その後なんとなくそのおじさんとつきあうようになり、その人の属する※※組織とも縁をもつことになるのだが。

それはまた別の話である。

最後になるが人と人の出会いは不思議なものである。一人の人と出会う確率はどうやら宝くじにあたるより低いらしい。一期一会とはよくいったものでみなさんもよい出会いをして欲しいと思う。しかし中には、なんでこんなやつとであってしまったんだ?と思うような悪い出会いもあるだろう。しかし一時が万事塞翁が馬という有名な諺があるように悪い出会いからも自分にとってはもしかしたら未来に繋がるような、良い知恵が隠されているのかもしれないのである。それではよい人生を。

思い出しても涙がでそうになるその1押忍

※おじさんは近所の雷親父

※※所属する組織とは町内会

それではよしなに

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