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実務録Vol.3:観光ストーリーと野球の打順

こんにちは、DeepJapanの木立(きだち)です。
日本を元気にするために、インバウンドや観光DXの支援をしています。

多言語サイトやメディア掲載、動画制作もそうなのですが「観光ストーリー」が重要!と頭でわかっていても、現実は難しい点が存在します。

そんな事を解説してみます。

それは公共事業ならではの宿命なのですが「税金」を元に運営をしている点です。例えば南北に長い県があって、税収は都市部に近かったり工場の多い北部が多くて、農業と観光業がメインの南部は税収も人口も少ない。

そうなった際に、観光で人が来ることを目指して「南部」中心の物語を作るのか?税収や人口の比率に合わせて「北部」中心の物語をつくるのか?

外国人目線、マーケティング、ターゲットを決めようとか言っても、この集めた税金をどう使うのかが非常に難しい。使い方を「自治体担当部署の自由」とするのか、首長や議員も選挙が存在する以上「有権者のバランスに配慮」を重視するのか?

これによってPRすべき物語が大きく変わってくる。

特に県はともかく、県や市など複数事業が集まったコンソーシアム型の共同事業だと余計にこの問題が大きい。

出資したカネは平等なのにアウトプットは不平等

このジレンマをいかに乗り越えていくか?というところは非常に重要であるにも関わらず、あまり表舞台には上がってこない課題です。

1.野球の打順に例えてみる。

観光を地域を巻き込んだチームスポーツに例えてみようとすると、その目的は勝利とか、健康増進とか、地域のコミュニティつくりとか、になってくる。その中で何を優先順位にしていくか?

チームの目指す先が甲子園に出ることだとすると、そのチームのために各部員が投下した時間は平等だとしても、勝利のために合理的なオーダーにこだわれば機会の不平等が起きる。でもそれは各選手間で大切なモノ(そのチームで言えば勝利)が何なのか理解していれば機会の不平等に文句は言わない。むしろ勝ちにこだわらないと、次の試合の機会が無くなることをわかっている。

もちろん勝利至上主義すぎると保護者の方が何かを言うケースもあるとは思うが、野球なんかは割と役割が明確で、攻撃はファアザチームじゃないと勝てない競技なので、割とみんな納得を得られる。高校野球ならハードな練習の学校は入学前からわかるでしょって選別も働くでしょうし

逆に楽しむための日曜日の草野球で隠し球とかビーンボール投げたりしたら大顰蹙。エースのために、上手じゃ無い人に出番与えずに、玉拾いばっかさせることもないでしょう。

目的がなんなのかで打順が変わってくるのです。県に人を呼び込みたいのであればキラーコンテンツ君をクリンナップにして、インスタ映えするような観光地君を1番2番に据えて、見込みのないマニアックスポットはとりあえずコンテンツには加えない。

それで地域に外国人が来て、宿泊して、あれ?この地域面白いんじゃないって勝ちパターンが見えてきたら、コンテンツ投下していなかった調整中の選手を試合に出すというやり方もでき、選手層の厚さを活かすことができる。

2.悪平等と部分最適

高校野球の先生が保護者に対して説明責任があるように、観光サイトも何か税金を出してくださっている方に戦略や説明が必要なのかも知れない。

県のサイトで明らかにキラーコンテンツにまだならない町のスポットを外そうとしたら議員さんからご指摘をいただいた事がある。もうその議員さんはジャンヌダルクのような勢いで、我が町を入れるべきと主張をされてました。本当に観光のためにそこを推すべきなのか、その町のために主張をする事が自分の票に繋がるためにそういうポーズをされていたのか、私にはわかりかねました。

ただ、その時の県庁職員さんは困った様子だったことを今でもハッキリと覚えています。

素晴らしいマーケティングの戦略を描いたところで、インナーブランディングができておらず、戦略、戦術の説明が不十分で、各地域がそれを理解されていないと、実行段階で換骨奪胎なのか空中分解なのか言葉は様々ですが、上手くいかんのです。

野球でいえば、監督が『この試合ではバントを一切使わずヒッティングだけで行こう。何故ならフィールディングが異常に上手いピッチャーなので失策になる確率が高い。だからバントの名手のA君は今日は8番に回して打順を繰り上げる』と優先順位とその根拠を提示してくれればA君もそれ以外も納得する。

監督は気分で打順を決めているわけではないけど、説明が足りないと『気分で選んだ』と思われても仕方ない。ただインバウンドにおいてはデータが揃ってないというところが中々大変で、少ない材料から類似拡張しているデータから意思決定しないといけない。

チームにスコアラーがおらず、それぞれのヒット打ってるとか記憶ベースの印象と自己申告で打順決めてたらそりゃ打線が繋がらないよね。

3.DMOの規模による役割分担

広域DMO、地域連携DMO、地域DMOの方々とお話しさせてもらう機会も多いですが、『一昨年→去年→今年』と、年を経るにつれ、無邪気にプロモーションしましょう。カッコいい動画撮ってYouTubeでばら撒きましょう。インフルエンサー呼びましょうという相談は減ってきました。(単にウチ以外のところに相談がいってるだけかも知れませんが笑)

それよりも収益化していくために、どうすべきか?の前に、どうあるべきか?という話が増えてます。

私の勝手なイメージ、地域DMOがバッターで、地域連携DMOが打撃コーチで、広域DMO(ここの立ち位置が一番難しい)やJNTOはプロ野球コミッショナーのような立場ですかね。

それぞれの役割の中で上手く対戦国別のバッターの打率データがあって、対象国に合わせて侍ジャパンみたいにオールスターで打線を組めると、チームが勝ってファンが増えれば球団の収益が上がります。そのためにはまずチーム意識の醸成が第一歩です。

ちなみに弊社で支援させてもらってる喜多方は、地域内での横の連携と官民の足並みが非常に揃ってます。ティール組織だと私は思ってて、有機的な繋がりがあるので、旅行商品を造成して流通にのせるところがスムーズに動いています。

まだ現在進行形のプロジェクトなので、4月くらいには喜多方のこともnoteで書いていけたらなって思ってます。

上手な取捨選択を覚えて、日本を元気に!
そんじゃーね



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