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外国人から教わったことVol.9「中華式交渉術」

香港人のFさんから学んだことを今日は書きます。

某競馬場をPRする仕事があってそこの繁体字の原稿を作る上で、Fさんという都内でバリバリに活躍する香港人の翻訳者にお仕事を頼んだわけですよ。

1.いきなりの先制パンチ

こんにちは、中国人のWさんの紹介で連絡してます。日本語→中国繁体字の翻訳の仕事があります。一文字xx円でyyy文字でトータルzzz円で、納期1週間です。良かったら、お仕事頼めませんか?

とjob descriptionを書いてメールをしたところ返信は

『前金を全額もらえるならやります』

えっ!?翻訳業務って、作業完了の検収をしてからお支払いすることの方が日本ではスタンダードなのではないの???

もしかしてゴルゴ13を尊敬していて、前金で振り込みを確認しないと動かんタイプか???

と疑問符が頭の中で飛び交ったのですが

インターナショナルな仕事なので、日本の常識100%を求めても仕方がない。こちらが払う保証ができない状態をビビってるならせめて前金として一部を支払うのが筋。現に動画制作や取材、撮影の様に、先に支払い先にキャッシュアウトが発生する場合は、前金を渡しています。納品の前に全額払うと持ち逃げされるリスクがあります。

ということでFさんは、自らのリスクをゼロにして、利益を確保し、こちらにリスクを全て押し付ける全力パンチが飛んできたわけです。

2.右の頬を打たれる瞬間に、左の頬にカウンターパンチ

私はキリストみたいにできた人間ではないので、喜んでその要望を受け止めて、お金を振り込みはしません。

『要望は理解しました。ですが、前金では払えません。翻訳原稿受け取り、検収して末月に締めて、翌月末に振り込みます。会社の看板背負っているので不誠実なマネはしないし、外国人に日本を好きになってもらう仕事なのに、進んで外国人に嫌われることはしない。ただし、この条件がのめないなら他をあたる』と

進んでリスクは引き受けない。リスクを全面的に押し付けるなら付き合う気はない。と

全力のカウンターパンチを叩きこんでみたところ

『それは困る。あなたの要求をのむから発注してくれ。過去に払わなかったクライアントがいて、初回取引は前金を頼んでいた』と

最初の威勢の良い先制パンチはなんだったんだよ

と拍子抜けしたことを覚えてます。

3.国の違い、落とし所へのアプローチ

それからのFさんとの仕事の進行は良好だったのですが、初回のパンチの応酬はなんだったのかと、振り返ると日本の交渉と中国の交渉はちょっとスタイルが違うことに気付きます。

日本の場合

はじめまして!〇〇いう者で、これこれこういうことをやっていて相談があります。

→どんな内容でしょうか?まずはご挨拶方々訪問させていただきます。(最近はコロナで減ったけど)

いやーまだ物量ハッキリしてないんだけど翻訳の仕事があって、頼みたいところ探してるんだよ。

→弊社、得意としておりまして納期はいつぐらいでしょうか。条件がわかれば見積をお出しいたします。

わかりました。〇日が締め切りです。

→では戻って見積を....

→難しいかもしれないですけど、ご相談で、御社って前金での取引とかってされたりしますか?あっ、要望じゃなくて、確認ですよ。あくまで

と、イメージ両者が一歩一歩近づいて行きながら、合意できる中間地点が落とし所になるような感じですかね。

対して中華系(私の接した人)は、全力で自分に有利な条件を主張してくる(全力で押し込まれるイメージ)ので、仕方がないのでこちらは全力で押し返しつつ、それなら付き合わないというwin-win or no deal作戦を発動する。

結果、両者のパワーが拮抗する中間の落とし所地点に落ち着くイメージです。一発目のパンチで自分達に利する要求が通ったらラッキーで、結果、ある程度引き戻されても別に構わないというスタイルなんですかね。

ともかく向こうの要求を反射的に対応せず、落とし所をキチッとイメージして、優しさは捨ててビジネスする。ちょうどこの仕事した時に思い出したことは、尖閣諸島に中国の漁船がぶつかってきた事件。真意はよくわからんですが、テレビで報道されてることと、中国側の真意と駆け引きはきっと別のところにあったんだろうなと



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