【読んだ本】 ジョブ理論/クレイトン・M・クリステンセン
この本を一言で言うと...
イノベーションの成功確率を高める「ジョブ理論(=人はジョブを解決して進歩したいから、商品を購入する)」について学べる本
読むべき人は...
① イノベーションを起こしたい、新規事業や新規サービスの開発担当
② ユーザーのニーズや気持ちを把握したい、プロダクト担当やCS担当
読んで学んだことは...
① ジョブ理論とは「顧客が進歩を求めて苦労している点を理解し、彼らの抱えるジョブ(求める進歩)を片付ける解決策とそれに付随する体験を構築すること」である。
・顧客が新しい商品を購入する(=自分の人生に引き入れる)決断を下すシンプルな理由は「片付けるべきジョブを解決して進歩したいから」である。
・この特定の状況で人が成し遂げようとする進歩を見出すことが、ジョブ理論の中核。
② ジョブ理論は「イノベーションの成功確率を高める」ための理論である。
・顧客が「なぜ特定のプロダクト/サービスを購入するのか」を理解する事で、イノベーションの成功確率を高めることができる。また、真の差別化と長期的な競争優位を可能にする。
・成功するイノベーションは、顧客の成し遂げたい進歩を可能にする。また、それまでは物足りない解決策しかなかったジョブ、あるいは解決策が存在しなかったジョブを片付ける。
③ ジョブ理論は特定の状況における「機能面だけでなく、社会面・感情面のニーズ」を重視する。
・特定の状況における顧客の社会的・感情的ニーズが購買に大きな影響を与える。
・例えば、土曜の夕方にミルクシェイクが売れるのは「夕食までが小腹が空いたから気軽に何か食べたい」という機能的ニーズだけでなく「父親が母親に内緒で息子に買ってあげて、優しい父親の気分に浸りたい」という社会的・感情的ニーズが大きく影響している。
・この特定の状況におけるジョブの機能面・社会面・感情面のニーズを明らかにするのがジョブ理論である。
読んで思ったことは...
① 問いがシンプル。
この本は、突き詰めると「なぜ人は商品を購入するのか?」というシンプルな問いについて深く掘り下げている。問いがシンプルだと、答えもシンプルで「今この状況において片付けたいジョブがあり、それを解決して進歩したいから」となる。このシンプルな問答を基にした理論構成はわかりやすい。
② 特定のケースを掘り下げよう、という本質的な話。
問答がシンプルなのだが、答えを実践するには「顧客の特定の状況における社会的・感情的ニーズを把握して、商品をつくろう」というなかなかムチャぶりな理論。でも、個人的にはとても好きな考え方で、顧客の人物像をむりやり1つにまとめ上げるペルソナやCJMのようなフレームワークは、個人的にあまり好きじゃないし、無理が生じるケースも多い。
よりセグメントをかけた特定の状況の人物のリアルな感情を、いくつもいくつも掘り下げて、それにぴったりの解決策を作り上げることの方が好きだし、本質的。なので、適切な機会にぜひジョブ理論で考えてみたい。
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