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【読んだ本】 21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由/佐宗 邦威

どのようなことが学べる本か

ビジネスサイドの人間がデザイン思考を手に入れ、右脳を使った創造的問題解決を行う方法

どのような人にオススメか

① 0→1のイノベーションを求められているビジネスサイドの人

② デザイナーと協働しているが、仕事の進め方や思考の違いに戸惑っているビジネスサイドの人

③ デザイン思考に興味があるすべての人

どのような内容か

① 米国ではMBAと並んで「デザイン思考」を学ぶ潮流がある。デザイン思考は、論理的思考(ビジネスをより効率的ににするための考え方)をベースにしたこれまでのビジネスの考え方とは異なる。今までの延長線上にない、まったく新しい事業・サービス・ブランドを作ることに長けた方法として注目されている。

② デザイン思考は、左脳と右脳の両方を活用したハイブリッドな思考で知的生産を行う。具体的には、、、

・インプット…テキストと比較して、圧倒的に情報量が多くインスピレーションの湧きやすい「ビジュアル(画像・動画など)」を大量に集めてリサーチする。また、普段自分が接している世界と全く異なる世界の情報に触れて、意図的に発想を広げる。

・ジャンプ…全く異なる要素をむりやり結びつけたり、それらの共通点を見つけるなどして、意図的に発想を飛躍させて新しくユニークなアイデアを生み出す。

・アウトプット…正しさによる説得などではなく、印象的なストーリーで共感を得るアウトプットを行う。また、1枚の絵でサマリーを表現することで極限まで余計な要素を削ぎ落とす。

③ デザイン思考は、何を作るか考えてから作るのではなく「作りながら考える(プロトタイピング)」。また、そのような企画段階では、何が正しい・間違っているという価値判断は行われず、意図的にカオスな状態を作り、新たなアイデアを生み出しやすくする。

④ デザイン思考は、リサーチ・分析・統合・プロトタイピングの4つのプロセスを短時間で何度も実施することで、徐々にユニークで創造的なアウトプットを生み出す。その過程では、ユーザーの課題に積極的に共感し、その課題を自分ごとに捉える。また、思考に制限を作らず、スピーディーに物事を変化させて行く。

⑤ イノベーションにおいては「デザイン・ビジネス・エンジニアリング」の3つの要素を交差させることが重要。それぞれの領域を積極的に交差させていく「越境人材」の存在がこれから重要になる。

読んで思ったこと

① 左脳人間のビジネスマン向けに「ビジネスマンとデザイナーの考え方や問題解決のアプローチがどのように違うのか」という視点で書かれた本。これまでガチガチに論理的思考を実践してきた人間にはとても読みやすい本だった。もっと右脳の力を解放したい。

② とはいえ、ビジネスサイドの人がこのような本を読むと「デザイナーって本当にそんな考え方してるの?そんな人に出会ったことない」と思う人も多いのでないかと思う。多くのビジネスマンはそもそもデザイナーという職種の人間と関わりを持ったことがない。また、関わりがあったとしても、デザイナー全員がデザイン思考を実践できているわけではない。

デザイン思考を学ぶ際は、同時に、世の中に実在する素晴らしいデザイナーことやその人の手がけた仕事のことを知る方が、学ぶが深くなりそう。そうでないと、デザイン思考がどこか絵空事のように思えてしまう。原研哉さんの「デザインのデザイン」なんかを読むと、デザイナーの認識能力の高さや、抽象⇆具体の行き来の能力の高さを実感できる。

③ ちなみに、この本を読む前にまずは要約版をAmazonのAudibleで聞いてみた(https://www.amazon.co.jp/dp/B01E3CTJSY/)。初めてAudibleを使ってみたけど、10分程度でこの本のあらすじを理解することができた。本当は要約版を聴くだけで済まそうと思っていたが、思いのほかちゃんと読みたくなる内容だったのでKindle版を購入。まず要約版を聞いて購入するか判断する、という購買体験はなかなかユーザーファーストだなと思った。



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