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相続トラブル、身内ばかりが原因ではない!?

第21回 相続対策会議

前回、相続トラブルは、「人間関係」が主な原因とお伝えしました。
では、人間関係以外の理由は、あまりないのか?と言えばそうではありません。今回は、第三者が招くトラブルをお伝えします。

私は、ある士業資格を持っていますが、ケースによって「相続コンサルタント」という肩書で活動をしています。
遺産分割など、家族間での話し合いをする際に、直接的に「このような分け方をしたら、いかがですか?」というような提案、交渉の補助や対応をするのは「弁護士」のみできることです。
私たちが、いろいろと法律上の話しをしても、遺産分割がうまくできないと、最後は弁護士のところへご案内することとなります。
弁護士の先生も、相続業務を数多くやっているところと、あまり経験をしていない先生もいます。このような話しは、ドクターの分野に合わせて話しをします。
ドクターも、内科、外科、胃腸、皮膚、脳など専門性をお持ちで、その分野に特化しています。弁護士も、そのような考え方ができる職種です。
弁護士は、多くは企業法務、民事、刑事、民事でも離婚、交通事故など専門性をもって活動されている先生が多いようです。
しかしながら、今回の相続トラブルの話しは、このような専門性を持つはずの士業や相続コンサルタントと称する方々の話しです。

士業にお願いするときは?
相続関係でお願いする士業として、次のような先生方が登場します。
・司法書士 → 土地や建物の名義変更など
・行政書士 → 遺産分割協議書の作成、金融機関の口座解約などの代理手続き
・弁護士 →  遺産分割がうまくできなかったときの対応など
・税理士 →  相続税申告書の作成
また、上記の士業以外に相続関係の取りまとめを行う相続コンサルタントがいます。この相続コンサルタントは、かつて士業事務所に勤務していた、生命保険の外交員、信託銀行の元行員など、相続手続きの経験をお持ちの方々がなるようです。
このような方々も、トラブルを招くことがあります。事例をご紹介します。

ケース1
遺産分割協議がうまくいかないということで、将来的には不動産の名義変更を行うからという理由で、司法書士へと相談に行ったA家の家族の皆さん。司法書士へ不動産名義変更の手続きを依頼するのですが、遺産分割の内容が気に食わない様子。
相続マーケット界隈では、不動産の共有となるような分割はNGだと言われています。A家は、今回、「共有での遺産分割をお願いしたい」のですが、司法書士が抵抗し、遺産分割の内容を変更するように説得を始めました。
A家の皆さんは、共有にする目的、意図がはっきりしていたのですが、司法書士に反対され止む無く変更しました。
実は、この共有を予定していた不動産は、近い将来売却する予定で、その売却代金を分割することを見越したうえでの結果であり、単独所有にした後に売却すると、所有者のみ売却代金を受け取るということになります。
この説明を司法書士にしたところ、後で分けるのは問題ないと登記完了後に説明を受けたのですが、実際の売却後は、譲渡所得に対する税金、資金を渡したことによる贈与税がかかるということで、余分な税金の負担となってしまいました。

ケース2
兄弟ふたりで遺産分けの話し合いがうまく進まず、それぞれ弁護士へと相談しに行きました。その弁護士は、「相続関係?お任せください!」と言いつつも、進まないままに2年以上の時間が経過。
その後、調停や裁判になると、その都度、着手金を請求するといったことに兄弟共に憤慨。すでに5年近くが経過。
兄弟は、当初から遺産分割では民法通りの割合に落ち着くという話しを外部から聞いていました。裁判でその通りの結果がでてしまったので、今まで使った時間、「5年」が無駄だったのではないかという主張へと変化。兄弟そろって、それぞれの弁護士へ、損害請求を検討するといった争いが起きたこともありました。

ケース3
相続コンサルタントと称する方、または所属する団体は、相続関係の手続きを代行するというサービスを行っています。
この代行サービスの報酬が、意外にも士業が行う報酬よりも「お高い」ことが多くあります。
例えば、戸籍の収集など、行政書士は、内容にもよりますが数万円で終わるところを、代行サービスは、倍以上の金額になることがあります。
それはなぜかというと、代行サービスをしている方々は、士業ではないので、自分たちの報酬を代行サービスの料金に上乗せしないといけません。
このようなサービスを悪く言うつもりはありませんが、金融機関、葬儀社、または高額な宣伝費用を負担していますので、上乗せ金額もお高くなる感じです。
私も、実際に相続関係の手続きを見積もりした案件で、アイミツを取られたお客様がいました。
報酬料金の差額は、100万円を超えていました。
アイミツの段階で、料金関係が判明したので直接的なトラブルにはなりませんでしたが、アイミツの相手は、そこに遺品整理などの提案もしており、その見積もりも私の提携業者と比較すると、かなり安い金額となっていました。
一部の遺品整理業者の方々は、安く見積もりを行い現場へ入りたがる傾向があります。金目のものをそのまま回収してしまう、ひどいケースでは現金を見つけても持って行ってしまうことがあります。
安く見積もる遺品整理業者は、十分に気を付ける必要があります。
前回の「家族の人間関係」でのトラブルは、正直、回復させることは困難です。
しかし、こちらのトラブルは、「回避する」「予防する」ことは可能です。可能ならば、回避したいですよね。いろいろとお願いする前に、士業や業者さんとの話しをよく聞くことと、インターネットなどの情報も活用しながら、対策を講じていただければと思います。
 
 
 


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