「家族」だからって分かりあっていないこともあるでしょ、ってお話し。
第17回 相続対策会議です。
『家族なんだから大丈夫!』
『家族の絆』
『家族だから、分かりあえるはず!』
こんな言葉が、相続対策や遺産分割の現場では、たまに聞こえてきます。
相続対策の際には、お父様がよく言われます。私には、安心してくれということだと思いますが。
しかし、よく考えてみると、
「絆」、「分かりあえる」という言葉は、別の表現では「両想い」ですよね。
家族だからって、みんな両想いなんでしょうか?
別の言葉では、「信頼」という言葉がありますが、これは一方的な場合にも使われます。必ずしも、両想いでなくとも片想いでも使うことができます。
個人的には、「信頼」は、自分自身が思うことであって、相手の気持ちが自分に向いていなくとも使える言葉です、相手の気持ちなどとは関係のない言葉です。
あくまでも「自分が想っている」ことです。
先ほど述べた、「絆」などは、本当に両想いの方々で使える言葉です。しかし、片想いの方が「絆」「絆」「絆」と発したとしても、相手はあなたのことをどう思っているかは、正直、分かりません。分かっていないはずです!
お互いが、「分かりあえる時」は、本当にやって来るのか分かりません。いつか分かりあえる時が来ると信じていることはあっても、両想いであることの確証は、どうやって得られるのでしょうか。
「家族だから」という言葉が、意外にも安心感よりも窮屈な感じや閉塞感をもたらしていることもあります。
「絆」という言葉が一時期、流行りました。最近も、よく聞かれるようになりましたが、少々、軽薄に聞こえてきます。
今まで家族のことを大事にしていなかった方が、この言葉を使うことで、家族への愛情を示しているという姿勢を打ち出したいということが見え隠れします。
私は、「絆」という言葉を否定しているつもりではありませんが、「絆」という言葉は非常に重いものだと認識しているために、軽々しく使う方に違和感を覚えることがあります。
相続対策では、父親の考えを主張している様子を多く見かけますが、家族のことを想っているのか疑心暗鬼になることもあります。
本当に家族の立場に立てていない、考えていないところで、「家族の絆」を遺言書に書き込もうとする姿は、軽薄でしかありません。
家族への想いが少ない方が増えているように思います。
相続対策を行う際には、誰のために行うのかを再度確認してから、検討して頂きたいです。
相続対策は、自分のために行うわけではありませんよね。
相続対策は、家族のために行うものです。家族って、一人ひとり違います。一人ひとり違う相続の形や考えがあるはずです。
「家族の絆」の元、自分の考えを押し付けるような対策や遺言書は、受け入れられません。
ぜひ、家族の顔を一人ひとり思い浮かべて考えてみませんか?
また、家族のことを理解、信頼してこそ、相続対策も受け入れやすい内容になるものと考えます。
家族と言えども、両想いばかりではありません。
遺言書などは、「片想い」の内容でOKです。
とにかく、相手のことを考えて検討を!
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