高齢者の住環境に対して福祉用具専門相談員がするべきコト
今年も後残り少なくなってきました。
今年も高齢者の環境整備に精を出し、突っ走った一年だったような気がする。
環境整備においては、ご存知の通りICFのカテゴリーにある【環境因子】にカテゴライズされる。
例えば、その手すり一本で、
安全に上り框が昇降出来る→趣味の俳句会に行ける→友達と話す→日光にあたる→家に帰る→お腹が空く→ご飯が美味しい→程良く疲れ→夜寝れる
と言うような、“良い”一日のサイクルが送れるその要因が、その利用者にとっては、玄関に取り付けたその手すり一本かもしれない。
その前提として、キチンとした位置に取り付けていることが最低条件だと言うことは、敢えて付け加えておきたい点である。
環境整備と言うと、「劇的ビフォーアフター」のような大掛かりな工事を考えがちな面もあるが、決してそうではなく、それが先程書いたような、手すり一本だけだったとしてもその利用者にとっての大事な「住環境整備」なのです。
一般リフォームの営業をしている人からすると、
「そんな、金額の低い仕事なんてしてらんねーよ。」
って、思う人も少なくないでしょう。
ま、それはそれで、そのような人はこの業界の改修工事には不向きでしょうけど、大手ゼネコンの清水建設の考えの中に、渋沢栄一さんが残した、
「新規に受注した大工事には自然と注意が払われる。しかし日々の小さな工事こそ注意を怠ってはならない」
と言う言葉があります。
この高齢者に対する住宅改修でも、100万円や500万円なんて工事も沢山ありますし、そして、1000万円を超える案件すらもあります。
しかし、そんな工事でも、小さな工事の金額の積み重ねがその金額になっていることが頭に無いと、大枠だけが良くて、結局使ってみると、「あれ?」という小さな不便さが出てきて、それが最終的に大きなクレームに繋がりかねませんし、この業界の住宅改修は国民の税金を使って工事をしている、という意識も大事なところです。
だからこそ、“きちんと”した目で、提案をしないと、いや、出来ないと最終的には、その不利益は、利用者やそのご家族に降りかかるのです。
これは、住宅改修だけに限らず、福祉用具専門相談員として、福祉用具の貸与、購入の時にも必要な目線です。
福祉住環境を考えるにあたり、貸与で対応出来る課題なのか?購入なのか?住宅改修なのか?を考える。
そして、福祉用具で良ければ納品する訳ですが、その説明はどう伝えるのか。
どう心に残る言葉として説明するのか?
その上で、その後自分がいないその利用者の日常を支える福祉用具が、自分に変わって活躍してくれるように、
“福祉用具に自分の想いを乗せて”
置いて帰るのです。
それによって、安全にも使ってもらえるでしょうし、その利用者の活動に生かされるでしょうし、何よりも、利用者の“したいこと”を手助けする一助となるのです。
しかし、福祉用具専門相談員の殆どが目にいかない視点としてあるのが「杖先ゴム」。
福祉用具専門相談員が行う業務の中で最も金額の安い部類に入るでしょう。
だからなのか、
「杖は売ってもゴム売らぬ」
そんな福祉用具専門相談員が多くいます。
しかし、そのような福祉用具専門相談員は、「専門相談員」ではなく、単なる物売り。
福祉用具専門相談員は、本来一つ一つの福祉用具の使い方を熟知し、その利用者の身体状況と住環境に合わせることが出来る人こそが専門相談員だと思うのです。
更には、そんな小さな点にも気付き、説明出来る人。
そして、その上をいく「至極」の福祉用具専門相談員は、貸与、購入、住宅改修、制度の4つを適切に組み合わせ提案出来る。更に、他職種の置かれている立場や思考、考え、動きなどを勘案し、連携が取れる。
そんな人が、至極なのです。
その、第一歩目が、
「手すり一本、杖先ゴムをキチンとみれること」
なのです。
この点は、これから先もずっと変わらない。
いくら、綺麗事を言われようと、理論的に言われようと、変わらない。
その“見る目”を養わないと、提案もクソも出来ない。
そう思わないですか?
家という環境って、高齢者に限らずどんな人でも大事な場所の筈ですよね。
福祉用具の「福祉」は、幸せという意味もあります。
と、すると、福祉用具は、幸せにする用具。
幸せ届けたいですね。
福祉用具と住宅改修で、ね。
by inochi
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【inochi プロフィール】
これまでの、福祉用具、住宅改修の実績は2500件を超える。
【資格】
二級建築士/福祉用具専門相談員/福祉住環境コーディネーター二級/ホームヘルパー二級/神戸市キャラバンメイト/既存住宅状況調査技術者
〇執筆実績
日総研出版
「訪問介護サービス」、「達人ケアマネ」にて、福祉用具・住宅改修の「村上式 福祉用具のQ&A」を2年半執筆連載。
〇講師実績
福祉用具専門相談員指定講習会主任講師
介護職員初任者研修
認知症サポーター養成講座(地域住民・NPO・企業・介護施設など)
〇施設向け研修
「明日から使える!福祉用具の使い方」
「知っているようで知らない福祉用具活用法」
「どこにも載っていない、手すりの取り付け方と考え方!」
など
「サポートしてくれたらモチベーション上がります!良いと思ったらサポートしてください」