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第20講モーニング娘。『Fantasyが始まる』考察〜童話の中の羽ばたく自由とはなんだろう?〜

最近朝からばんまでモーニング娘。を聞くくらいにハマっています(笑)
きっかけは何気なく流れてきた高橋愛さんのYouTube。
この面白い人は誰だろうと思って調べたらモーニング娘。のエースだったと知り、今までアイドルに興味のなかった僕が激ハマりしてしまいました。
2021年に知り、入り口がプラチナ期という少しおかしな入り方をして、少しずつ時代に追いついています。


さて、そんなわけでここのところモーニング娘。の曲をよく聞いているのですが、最近ダントツで気になっているのが「Fantasyが始まる」です。
初めに聞いた時からどことなく違和感を抱いていたのですが、何度も聞いているうちに、「こういうことなんちゃうかな?」というものが見えてきて。
というわけで、今回は「Fantasyが始まる」の歌詞考察をしてみたいと思います。

主人公が求める「自由」は何?

この曲を聞いた最初の違和感は、主人公が求める自由と、それを求める手段とのギャップでした。
主人公は自由になりたい!相手は一方的に束縛するのに自分には厳しく当たるのがいや!という、「解放されたい」という風な主張を繰り返します。
ここに関しては聞き手の僕たちも「確かにな」と共感します。
ただ、その解決策が「シンデレラ」。
僕はここに違和感を抱くと同時に面白いなと思いました。

自由の象徴としての「シンデレラ」の違和感と意味

改めて歌詞を見ていきたいと思います。
全3回ある1番のAメロのうち、初めの2回は自分の自由を主張した歌詞になっています。
出だしがこうだからこそ、僕は初めてこの曲を聞いた時、「いざとなれば独り立ちできるような強い女がパートナーに別れを告げる歌」くらいに思っていたんです。

ただ、その解釈だと3回目の1番のAメロにある思い出を回想する場面が繋がらなくなってしまう。
〈時に抱きしめて欲しい夜に 連絡つかないくせに〉
このワンフレーズには、明らかに恋人に対する「私を見て!」という感情が含まれています。こうした心情を受けてのサビのフレーズにある〈ガラスの靴はこの手の中にある fantasyが始まる〉という歌詞。
僕はここに2重の違和感を抱きました。

ひとつはなぜ彼氏から解放される象徴が「ガラスの靴」なのかということ。
そしてもう一つはなぜその苦しさからの"解放"を[fantasy]という言葉でまとめたということ。

ここで補足するまでもなくガラスの靴は12時になったら切れてしまう魔法をかけてもらったシンデレラを象徴するモチーフです。
夢と現実という対比で行くのなら、ここに描かれるガラスの靴は舞踏会という「夢」の中に自分を導いてくれるもの。
主人公のいう「自由」はここに重なるように思います。
ただ、この自由は「12時まで」という制限付きなんですよね。

もちろんシンデレラはその後王子様に見つけられてハッピーエンドを迎えますが、一般には12時を過ぎれば日常に戻ると受け取るでしょう。
主人公が彼氏への不信感の先にチラつかせた反発を「ガラスの靴」に託したことに、とても違和感を抱きました。

また、「連絡のつかない」相手に対する対抗手段に対して使う「fantasy」と言う言葉。
僕はここにも違和感を抱きました。
普通、不満を持って本当にその人の元を離れようとするのなら、むしろfantasyは付き合っている側の彼だと思うのです。
にもかかわらずこの歌では相手から離れる側を「fantasy」と呼んでいる。
僕はここもすごくおもしろいなと思いました。

大人になりたい自分と子供でいたい自分でゆれる「ファンタジー」

2番のAメロ〜Bメロにかけては、また大人になる、独り立ちするというようなメッセージ性の感じられる歌詞が続きます。
恋人を諦めて身体が求めるままに向かう。
そんな匂わせをして迎える2番のサビ。

「あなたの元を離れていく」
そんなメッセージ性の強い2番のAメロ、Bメロですが、そこで頼りにするのはやっぱり「カボチャの馬車」なんです。
これもまた一時の夢の中に導くモチーフです。
一方、その後に続く〈体が勝手に動き始める〉などは紛れもなく大人の女性の印象。

僕はこの両面を同時に成り立たせる解釈としては、自由気ままで自分のことをぞんざいに扱う恋人に対して自分も自由にやってやると思いつつも、どこまでもその人が好きで仕方がない主人公像だと思うのです。
でなければここまで強い言葉で相手を非難しつつも自分の"反旗"はどこか絵空事みたいな構成にはならない。
僕がこの歌を何度も聞くうちに頭に浮かんだ主人公は、「自分を雑に扱う恋人に対して背伸びする少女」でした。

恋人の態度に愛想をつかし、自分も自由に振る舞うフリをするけれど、実はそれ以上に相手が好きで仕方がない。
「わたしにかまって!」という歌なんじゃないかと言うのが僕の感想です。
もちろん歌詞に関してはそれぞれの解釈があります。
もし「私はこう思う!」みたいなものがある人がいれば、ぜひ文章にしてご紹介下さい。

リリックパネルという歌詞考察youtubeをやっています。
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