ジェイン・オースティンの作品に想う
ジェイン・オーステインは18世紀後半の英国の女流作家です。『隣3軒あれば小説が書ける』という言葉が残っているように、心理描写に優れた作品は今読んでも十分に面白いものばかり。
事実、BBCでは全作品がドラマ化され、「プライドと偏見」など映画もされています。かなりデフォルメされていますが、「ブリジット・ジョーンズの日記」もオースティンの作品をベースにされていると言われています。
彼女が生きてきた時代は、ヨーロッパではフランス革命勃発を経て英国がナポレオン戦争に勝利、英国内では産業革命が進んで都市に人が流出したりと、決して穏やかな時代ではありませんでした。でも、彼女が住んでいた南部の地主社会では戦争の影響もあまり受けなかったため、ひと昔前の、のんびりした雰囲気が温存されていました。
それが作品にも反映されていて、女性はいかに良い家に嫁いで、品位を落とさずに済む生涯の暮らしを勝ち取るか、というテーマが大前提の社交が繰り広げられています。
男女の恋のもつれを軸にした喜劇が多いのですが、それにまつわる噂話や世間体、思慮深い・上っ面だけの性格、教養のある・なし、経済力のある・なし、結婚観はロマンティックなのか、現実的・打算的なのか・・・うんざりするくらい、人間社会を捉えています。
どんな時代でも、どの国でも繰り広げらえてきたことでしょう。いつの世も、人間は一生の間に恋愛や結婚に多大なエネルギーを費やしてきたのだなと愕然とします。
最近では、台湾のオードリー・タンや宇多田ヒカルさんのように、才能豊かな人で、性別を規定しないと宣言する人も出てきました。恋愛・結婚は人生の華ですが、もしそこに拘泥されないとしたら、そのエネルギーはどんな形で昇華され、どんな世界になるのだろうか?と想いを馳せてしまいます。