構造審査よもやま話 第6話 〜審査業界のデジタル化はまだまだ遠い〜

システム内を書き換えられる権限が欲しい。




副本を設計者にお渡しする際にサインを頂く、受領書という書類が有ります。
来店してその場で書いてもらえば終わるんですが、電子だったり郵送だったりで後日になることも。

私はPDFをメールで送ってもらえれば良く、その旨とメールアドレスを書いてあるのですが
先日は大手のハウスメーカーの方から電話があり「受領書をFAXで送りたいのでFAX番号を教えてください」と。






メール、使えないの?



「PDFの方がありがたいのですが」まで言ったのですが、FAXの方が良い、と。

なにか送った履歴が残るとまずい場面もあるのかもしれないですが、この場合にどうにも思いつかないんです。メールが嫌な理由が分かれば何も思わないんですけどね。


で、より大きな話なんですが、FAX番号にしてもメールアドレスにしても弊社のホームページに載ってるんです。

なぜ調べずに電話するのか理解できないです。時間泥棒め。



年寄りだったら仕方がない、とも思いますが大手ハウスメーカーの中堅ですよ?

D-R○○MってFAXで注文受けんのか。◯は伏字です。





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20年くらい前は、審査の指摘をFAXで送ることが当たり前でした。

私は当時はFAXを貰う側だったわけですが、ご想像の通り「届いてない」「どっかいった」「もっかい送って」が頻発していた記憶です。


指摘以外でもFAXは普通に使われていまして、送り間違いの情報漏洩が怖いね、って声が大きくなってきた時代で
送る側も人間が二人でFAX番号を指さし確認して届いたか電話して、、、阿保らしいですね。


メールも既にあったのに何故かたくなにFAXだったのか。

指摘の話に戻しても、FAXで来たやつの回答とその後のやり取りはメールで送りあうんですよ。

申請するときに「指摘はこちら」とメールアドレスを示しても、一発目の指摘はFAXでしたね、当時は。
FAXが来たら「回答を書くためにデータをメールで欲しい」と連絡してました。

私は組織の設計事務所でしたが、個人の設計事務所だとFAX置かない人も出てき始めた頃合いだったかと。
個人事務所の知人が嘆いていたことを思い出しました。



「FAX(笑)とか、これだから行政上がりの審査者は」なんて当時20代のトゲついてた私も思ったりしましたが無理やり審査側を弁護してみます。



審査業務は全て紙で履歴を残さないといけないです。

何故かというと行政が監査に来た時に紙を見せないといけないから。何らかのデータを見るのは彼らの監査手順書に無いのですね。
「帳簿」が「紙」で定義されているのです。(※最新は変わっています。変わってきています。まだ変わってないとこもたくさん有ります。)


仮にメールで何か送ったとすると、そのメール本文を印刷して、添付書類を印刷して、ファイリングする、と。
FAXならそのままファイリング可能、なので、FAXが理にかなってたのか、と。





いやいや全然弁護できないわ、そんな理由。どっち向いて仕事してんだよ。



…40代でトゲとれたつもりだったけど、自戒。


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とかなんとか言ってるんですけど、弊社でも、現代でも、FAX使う人いるんです。

向かいの席に70歳超えの判定員が居ますが、時に資料をFAXで設計者に送ったり。
複合機のスキャンが難しいようです。

PCスキルについては自分も20代の方からどう見られているか自信は無いので一概に馬鹿にはしません。



弊社の事務員はFAXで行政に資料を送ったりします。
これは行政がFAXを指定しているところもある、という話なのですが
単に、単純に、従前の仕事に疑問を抱かず今まで通り言われた通りやっているだけの人なので馬鹿だと思っています。ピーヒョロロー。


この事務員の話は他にも色々あるんですよ。地名地番の「一丁目」が「1丁目」で書いてあるから受付してくれない、とか。

愚痴と罵倒に終わらずに面白く話に出来る文才がまだなくて。その前に新しい人こないかなー。





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今日の本題

未来というか既になりつつある話なんですが
電子申請が発達しますと指摘事項も電子申請のシステム内でやり取りがされることになります。

全ての履歴が残ることになります。


さて、輝かしい未来になるでしょうか‥?



レアケースの想定ですが、
例えば指摘送信した日を前日以前にしたり翌日以降にしたり、例えば抜けてる回答にこちらが追記したり、
まぁ大っぴらにやっているとは言わない事柄なのですが上手く回すためのことも、履歴が残るなら出来なくなります。


もっと単純な話で、
例えば申請書で採用欄が□のままで■にしなきゃいけない、例えば申請書に日付が入ってない、
さっと自分で書いてたものも今後は指摘を出して修正したものをUPしてもらうことになるかと。


図書の受け渡しについても、まだ図書が届いてないけど受け付けたり、など絶対に出来なくなります。




結果として上手く回っているから何かをしてもらった意識が無い方も居るかと思いますが個人的にやってあげてることは、そこそこあります。


社内の会議で何度か喚起したのですが、そもそも正しいことではないので。

正論に勝つ手段が見つからない。





あいまいなことをせず公明正大に。


という建前は人を選びたいなぁ、が本音です。

無茶振りしてくる設計者には「あー、それ、もう出来ない時代なんすよー」って言うと思う、公明に。


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